退職金で損する?転職前に確認すべきこと

解雇・退職

「転職したら退職金がほぼゼロだった」——そんな声をよく聞きます。

出典:Yahoo!ニュースでも報じられているとおり、退職金は勤続年数が長いほど急増する設計になっている会社が多くあります。転職が当たり前になった時代に、この設計はミスマッチを起こしています。

社会保険労務士として、転職を考えている方が知っておくべきことを整理します。

なぜ「勤続年数が長いほど退職金が急増」するのか

多くの会社の退職金は、「ポイント制」や「基本給連動型」で計算されます。どちらも勤続年数が増えるほど、受け取れる金額が加速度的に増える設計です。

たとえば、こんなイメージです。

  • 勤続5年:退職金50万円
  • 勤続10年:退職金200万円
  • 勤続20年:退職金800万円
  • 勤続30年:退職金2,000万円

単純に「年数×金額」ではなく、後半になるほど急増します。これは「長く勤めてほしい」という会社側の意図が制度に反映されているからです。

📌 ポイント:退職金制度は法律上の義務ではありません。あくまで会社が任意で設けているものです。就業規則や退職金規程に記載があれば労働条件の一部となり、支払いが義務になります。

この設計自体が違法なわけではありません。会社には制度設計の自由があります。ただ、「転職が不利になる」という副作用が出ているのは事実です。

転職する人が「損」をする構造

問題はここです。勤続5年で転職した場合と、30年勤めた場合を比べてみます。

30年間で転職を2回した人(各10年勤務)と、1社に30年勤め続けた人。単純計算では同じ年数ですが、受け取れる退職金の合計は大きく差が開きます。

これが「勤続年数リセット問題」です。転職するたびにカウントがゼロに戻るからです。

⚠️ 注意:退職金が「自己都合退職」と「会社都合退職」で異なる場合があります。転職(自己都合)では減額されるケースが多いため、必ず規程を確認してください。

一方で、最近は退職金制度そのものを廃止する動きも出ています。代わりに毎月の給与に上乗せする「退職金前払い制度」や、「確定拠出年金(DC)」に移行する会社が増えています。

これは転職者にとって、むしろ有利な変化です。勤続年数に関係なく、積み上げた分がそのまま持ち運べます。

転職前に必ず確認すること3つ

退職金で損をしないために、転職を決める前に以下を確認してください。

① 現在の会社の退職金規程を読む

就業規則の中に退職金規程があります。総務部や人事部に確認を求める権利があります。いくら・どの計算式で・いつ支払われるかを把握してください。

② 転職のタイミングを計算する

退職金が急増するポイント(節目の年数)があります。たとえば「勤続10年を超えると支給率が大きく上がる」場合、あと1年待つだけで数十万円変わることがあります。

✅ やること:退職金規程の「支給率テーブル」を確認し、直近の節目年数を計算する。転職の時期を1〜2年ずらすだけで、受け取れる額が大きく変わることがあります。

③ 転職先の退職金制度を確認する

転職先に退職金があるかどうかも重要です。確定拠出年金(DC)の場合は持ち運びができます。「退職金ゼロ」の会社も珍しくありません。事前に確認してから判断してください。

よくある疑問 Q&A

Q:退職金は必ずもらえるものですか?
A:いいえ。退職金は法律上の義務ではありません。就業規則や退職金規程に定めがある場合のみ、支払い義務が生じます。まず規程があるかどうかを確認してください。
Q:退職金が減額されそうです。拒否できますか?
A:すでに規程に定められた退職金は「賃金」と同じ扱いです。会社が一方的に減額・廃止することには制約があります。変更には従業員の合意や、合理的な理由が必要です。不当な変更には異議を唱えることができます。
Q:確定拠出年金(DC)と従来の退職金、どちらが得ですか?
A:転職が多い人にはDCが有利です。勤続年数に関わらず積み立てた分を持ち運べます。一方、一つの会社に長く勤める場合は従来型の方が有利になるケースもあります。どちらが得かはライフプラン次第です。

すぐやること

  1. 就業規則・退職金規程を確認する(総務・人事に請求できる)
  2. 自分の「退職金支給額シミュレーション」を計算する(規程の支給率テーブルを使う)
  3. 転職先の退職金・DC制度を内定前に確認する(オファー面談で質問してよい)

次のステップ

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まとめ

  • 退職金は勤続年数が長いほど急増する設計が多く、転職するとリセットされる
  • 退職金は法律上の義務ではないが、規程があれば賃金と同じ扱いになる
  • 転職のタイミングを少し調整するだけで、受け取れる額が大きく変わることがある

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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