退職金を会社が一方的に廃止できる?社労士が解説

解雇・退職

「退職金がなくなる」というニュースが増えています。
自分の会社は大丈夫か、と不安になっている方も多いでしょう。
出典:Yahoo!ニュースによると、退職金制度の廃止・減額を検討する企業が広がっており、既存社員の権利をどう守るかが問題になっています。

結論から言います。会社は退職金を一方的には廃止できません。
ただし、条件次第では合法的に変更できるケースもあります。
現役社会保険労務士として、労働者が知っておくべきポイントを整理します。

退職金は「約束」だ。簡単には消せない

退職金制度が就業規則に定められている場合、それは労働条件の一部です。
「会社が決めたものだから会社が変えられる」は間違いです。
労働者にとっての権利になっている以上、一方的な廃止は原則として許されません。

📌 ポイント:労働契約法第10条は、就業規則の不利益変更を原則として禁止しています。変更するには「合理的な理由」と「労働者への周知」が必要です。

裁判所は不利益変更の合理性を判断するとき、いくつかの要素を見ます。
変更の必要性がどれだけ切迫しているか。
労働者が被る不利益がどれだけ大きいか。
代替措置や経過措置があるかどうか。
これらを総合的に判断して、合理性がなければ変更は無効とされます。

退職金はほかの賃金と比べて、不利益の度合いが特に大きいと判断されやすい項目です。
それだけハードルが高い、ということを覚えておいてください。

会社が変更できるケースも存在する

一方で、会社側にも事情があることは事実です。
業績が極端に悪化していたり、制度の維持が財務的に困難になったりすることもあります。
そういった切迫した経営上の必要性がある場合、変更が認められることがあります。

⚠️ 注意:会社が「合理性がある」と主張しても、自動的に認められるわけではありません。最終的に争いになった場合は、裁判所が判断します。

また、労働者本人が変更に同意した場合は、個別に変更が成立することがあります。
ただし、この「同意」は形式的なサインだけでは不十分です。
自由な意思に基づく、真の同意であることが求められます。
上司に迫られてサインした、という状況では同意とは認められないことがあります。

企業型確定拠出年金(DC)への移行という形で退職金制度が変わるケースも増えています。
これは「廃止」ではなく「制度変更」ですが、労働者にとって不利になるなら同様の問題が生じます。
移行内容をきちんと確認することが大切です。

よくある疑問 Q&A

Q: 退職金規程がない会社でも退職金をもらえますか?
A: 就業規則や雇用契約書に退職金の定めがない場合、原則として請求できません。ただし、長年の慣行として支払われてきた事実があれば、労働条件として認められるケースもあります。過去の支払い実績を確認してみましょう。
Q: 廃止を通告された場合、どこに相談すればいいですか?
A: まずは労働基準監督署か、各都道府県の労働局にある「総合労働相談コーナー」に相談できます。費用はかかりません。状況によっては弁護士や社労士への個別相談も有効です。
Q: 既に退職した人の退職金が後から減らされることはありますか?
A: すでに退職して支払いが確定した退職金を後から減らすことは、原則としてできません。在職中の制度変更が、退職済みの人に遡及して適用されることはありません。

すぐやること

  1. 就業規則の退職金規程を確認する
    会社には就業規則の閲覧を求める権利があります。退職金の計算方法・支給条件・変更手続きが記載されているか確認してください。
  2. 変更の通知があれば内容を書面で残す
    口頭で「退職金を変更する」と言われた場合も、日時・内容・誰から聞いたかをメモしておきましょう。後で争う際の証拠になります。
  3. 不安があれば早めに専門家へ相談する
    変更が合法かどうかの判断は個別事情によって異なります。「うちの会社の場合はどうなのか」を確認したいときは、社労士や弁護士に相談するのが確実です。

次のステップ

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まとめ

  • 退職金制度の廃止・減額は、会社が一方的に行うことは原則できない
  • 変更には「合理的な理由」と「労働者への周知」が必要で、切迫した経営上の理由がない限りハードルは高い
  • 会社から変更の通知があった場合は、まず就業規則を確認し、内容を記録しておくことが大切

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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