「退職金がなくなるかもしれない」。そんな話が職場で出始めたとき、あなたはどうしますか。
諦める?黙って受け入れる?それは早い。
出典:Yahoo!ニュースによると、退職金制度の廃止・減額を検討する企業が広がっています。既存社員の権利をどう守るかが、今まさに問題になっています。
結論から言います。会社は退職金を一方的には廃止できません。
条件次第では合法的に変更できるケースもある。でも「一方的に」は原則アウトです。
現役社会保険労務士として、労働者が知っておくべきことを整理します。
退職金は「約束」だ。会社が好き勝手に消せるものではない
退職金制度が就業規則に書かれている。それだけで、もうあなたの権利になっています。
「会社が決めたから会社が変えられる」という理屈は通りません。
裁判所が不利益変更の合理性を判断するとき、見るポイントが3つあります。
まず、変更の必要性がどれほど切迫しているか。
次に、労働者が被る不利益がどれほど大きいか。
そして、代替措置や経過措置があるかどうか。
これらを総合的に見て、合理性がなければ変更は無効です。
退職金は毎月の給与と違い、長年働いた対価として積み上げてきたものです。だから、ほかの労働条件の変更よりも「不利益の度合いが大きい」と裁判所に判断されやすい。変更のハードルはかなり高い、と思っておいてください。
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会社が変更できるケースも、確かに存在する
会社側に事情があることは否定しません。業績が極端に悪化し、制度の維持が財務的に限界というケースも現実にあります。
そういった切迫した経営上の必要性が認められる場合、裁判所が変更を有効と判断することがあります。
ただし、それは自動的に認められるわけではない。
もう一つ気をつけてほしいのが「同意」の問題です。
労働者本人が変更に同意すれば、個別に変更が成立することがあります。
でも、その同意には条件があります。
自由な意思に基づく、真の同意であることが必要です。
「上司に呼ばれて、断れない雰囲気でサインした」では、同意とは認められないことがあります。サインを求められたら、すぐに書面の内容を確認してください。
最近は企業型確定拠出年金(DC)への移行という形で、退職金制度が変わるケースも増えています。「廃止ではなく移行だ」という説明を受けることもある。でも、あなたにとって不利になる変更なら、同じ問題が生じます。移行先の制度が自分にとって有利か不利かを、必ず自分で確認してください。
よくある疑問 Q&A
- Q: 退職金規程がない会社でも退職金をもらえますか?
- A: 就業規則や雇用契約書に退職金の定めがない場合、原則として請求できません。ただし、長年の慣行として支払われてきた事実があれば、労働条件として認められるケースもあります。過去の支払い実績を確認してみましょう。
- Q: 廃止を通告された場合、どこに相談すればいいですか?
- A: まずは労働基準監督署か、各都道府県の労働局にある「総合労働相談コーナー」に相談できます。費用はかかりません。状況によっては弁護士や社労士への個別相談も有効です。
- Q: 既に退職した人の退職金が後から減らされることはありますか?
- A: すでに退職して支払いが確定した退職金を後から減らすことは、原則としてできません。在職中の制度変更が、退職済みの人に遡及して適用されることはありません。
今すぐやること
- 就業規則の退職金規程を確認する
会社には就業規則の閲覧を求める権利があります。退職金の計算方法・支給条件・変更手続きが書かれているかを確認してください。「見せてもらえない」と言われた場合も、閲覧を求めること自体は労働者の正当な権利です。 - 変更の通知があれば内容を記録する
口頭で「退職金を変更する」と言われた場合も、日時・内容・誰から聞いたかをすぐにメモしておいてください。後で争うことになったとき、その記録が証拠になります。 - 不安があれば早めに専門家へ相談する
変更が合法かどうかは、個別の事情によって変わります。「自分の会社の場合はどうなのか」を判断したいときは、社労士や弁護士に相談するのが一番確実です。
まとめ
- 退職金制度の廃止・減額は、会社が一方的に行うことは原則できない
- 変更には「合理的な理由」と「労働者への周知」が必要で、切迫した経営上の理由がない限りハードルは高い
- 会社から変更の通知があった場合は、まず就業規則を確認し、内容を記録しておくことが大切
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

