居酒屋の倒産が過去最多のペースで増えています。
結論から言います。勤め先が倒産しても、労働者を守る制度があります。
現役社労士として、このニュースが働く人にどう影響するか解説します。
出典:Yahoo!ニュースによると、2026年1-4月の居酒屋倒産は88件(前年同期比54.3%増)。食材・光熱費・人件費の上昇が原因で、大手は最高益を更新する一方、中小の個人経営居酒屋が淘汰される「二極化」が進んでいます。
居酒屋倒産が急増している背景
まず、なぜ居酒屋の倒産が増えているのかを整理しましょう。
**最大の要因はコストの三重苦です。**
食材費、光熱費、人件費がすべて上昇しています。
特に個人経営の居酒屋は価格転嫁が難しく、経営を圧迫されています。
飲み放題の価格上昇で客離れも起きています。
大手チェーンは効率化で対応できますが、小規模店舗は厳しい状況です。
会社が倒産したとき労働者を守る制度
**会社が倒産しても、労働者の権利は法律で保護されています。**
知らずに損をしないよう、重要な制度を確認しましょう。
未払賃金立替払制度
**これが最も重要な制度です。**
会社が倒産して給料が払われなくても、国が代わりに支払ってくれます。
具体的には以下の通りです:
- 労働者健康安全機構が未払い賃金の最大80%を立替払い
- 倒産前6か月間の未払い賃金・退職金が対象
- 申請は倒産から2年以内
解雇予告手当の権利
**倒産による解雇でも、30日分の解雇予告手当を受け取れます。**
この権利は倒産でも免除されません。
会社に支払い能力がない場合は、上記の未払賃金立替払制度の対象になります。
雇用保険の特別扱い
**倒産による失業は「会社都合」として扱われます。**
これにより以下のメリットがあります:
- 給付制限なしですぐに失業給付を受けられる
- 給付日数も自己都合退職より多くなる
- 「特定受給資格者」として手厚い保護を受けられる
飲食業特有の労働問題への対策
居酒屋などの飲食業では、特有の労働問題があります。
**倒産リスクが高まる中、早めの対策が重要です。**
シフトカットは休業手当の対象
経営悪化でシフトを大幅に減らされた場合、**休業手当の対象になる可能性があります。**
平均賃金の60%以上を請求できます。
ただし、会社に支払い能力がなければ実際の回収は困難です。
労働基署への相談と並行して、転職活動も検討しましょう。
社会保険の加入確認
**飲食業では社会保険未加入のケースが多くあります。**
以下を確認してください:
- 健康保険・厚生年金に加入しているか
- 雇用保険に加入しているか
- 労災保険の適用事業場か
よくある疑問 Q&A
- Q: 居酒屋が倒産しそうです。どのタイミングで転職活動を始めるべきでしょうか?
- A: 給料の遅配が始まったタイミングが目安です。**経営が悪化してからの転職は不利になります。**早めの行動が重要です。在職中の転職活動なら、雇用保険の基本手当を使わずに済みます。
- Q: 未払賃金立替払制度は、アルバイトでも使えますか?
- A: **はい、使えます。**正社員・パート・アルバイトの区別はありません。ただし、雇用保険に加入していることが条件の一つになります。週20時間以上勤務していれば加入対象です。
- Q: 倒産前に自主退職したら、会社都合の扱いになりませんか?
- A: **タイミング次第で会社都合扱いになります。**倒産の直前に、経営悪化を理由に退職した場合は「特定受給資格者」として扱われる可能性があります。ハローワークで相談してください。
すぐやること 3つ
- **給与明細と労働契約書を保管する**:未払賃金立替払の申請に必要です
- **雇用保険の加入状況を確認する**:離職票の発行や失業給付に影響します
- **転職サイトに登録する**:経営悪化の兆候があれば早めの準備が大切です
まとめ
- 居酒屋倒産が過去最多ペースで増加、中小個人経営店が特に厳しい状況
- 倒産しても未払賃金立替払制度や雇用保険の特別扱いで労働者は保護される
- 飲食業特有の問題(シフトカット、社保未加入)への早めの対策が重要
※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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