5月17日、東京都心で今年初の真夏日、30.2℃を記録しました。まだ体が暑さに慣れていないこの時期こそ、熱中症は起きやすい。「暑いのは我慢するもの」——そう思っている人が、毎年倒れています。出典:Yahoo!ニュース
結論から言います。職場の熱中症対策は、会社の法的義務です。
「暑い中で働かされて体調を崩した」「休憩も水分補給もまともに取らせてもらえない」。そんな状況は、あなたの我慢不足ではありません。会社の義務違反です。現役の社会保険労務士として、何が義務で、対策されていないときに何ができるのかを解説します。
会社に義務付けられている熱中症対策
労働安全衛生法は、会社に「安全配慮義務」を課しています。働く人の命と体を守る義務、ということです。これは努力目標ではありません。守らなければ罰則の対象になります。
さらに2025年6月からは、一定の暑熱環境で作業する場合に、熱中症の体制整備や手順づくりが事業者の義務として明確化されました。「うちは小さいから」「今までやってこなかったから」は通用しません。
厚生労働省の「職場における熱中症予防対策マニュアル」が示す柱は、大きく3つです。
作業環境管理
まず、環境そのものを整えること。会社が確保すべきものは次の通りです。
- 冷房設備のある休憩場所の確保
- 冷たい飲料水の常時提供
- WBGT値(暑さ指数)の定期測定
作業管理
環境を整えても、無理な働かせ方をすれば意味がない。だから作業の組み方にもルールがあります。
- 連続作業時間の短縮(1時間作業・15分休憩など)
- 水分・塩分の定期的な摂取の指示
- 高温時間帯の作業回避
健康管理
作業を始める前に、その日の体調を確認する。これも会社の役目です。
具体的に見るべきはこのあたりです。
- 前日の睡眠時間・体調
- 水分摂取の状況
- 既往歴(心疾患・腎疾患など)の把握
「体調が悪いなら自分から言え」では遅い。倒れてからでは取り返しがつかないからです。
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職場で熱中症になったら労災になる
勤務中に熱中症で倒れた。これは労災として認定される可能性があります。「自己管理が甘かったから」と泣き寝入りする必要はありません。
業務が原因だと認められやすいのは、次のようなケースです。
業務との関連性
- 業務中または業務直後の発症
- 高温環境での作業
- 会社が適切な対策を講じていなかった
たとえば、空調のない倉庫で炎天下に近い環境のまま長時間作業させられて倒れた、というケース。これは「本人の不注意」ではなく、環境を放置した会社側の問題として見られます。
会社が対策を怠ったときの罰則
義務を守らなければ、安全衛生法違反として処罰され得ます。具体的にはこうです。
- 6か月以下の懲役
- 50万円以下の罰金
「忙しいから対策は後回し」では済まない。法律は、そこまで会社に責任を負わせています。
会社が動かないとき、あなたができること
義務は分かった。でも現実の職場は動かない。そういう人のために、具体的な打ち手を書きます。
労働基準監督署への相談
まず労働基準監督署に相談する。これがいちばん効きます。
監督署は会社に立ち入り、是正を指導する権限を持っています。手ぶらで行くより、材料を持って行ったほうが話は早い。準備しておきたいものはこちらです。
- 職場の温度・湿度の記録
- 休憩場所や飲料水の提供状況
- 会社の対策状況(または対策不足の証拠)
労働組合への相談
労働組合があるなら、組合を通じて会社に改善を求める手もあります。一人で言うと黙殺されることでも、集団で要求すれば話が変わる。人数は力になります。社内に組合がなくても、誰でも一人から入れる社外のユニオンという選択肢もあります。
よくある疑問 Q&A
- Q: 小さな会社でも熱中症対策は義務ですか?
- A: はい。会社の規模に関係なく、すべての事業主に安全配慮義務があります。
- Q: 在宅勤務でエアコンがない場合はどうすればいいですか?
- A: 在宅勤務でも会社の安全配慮義務は及びます。エアコン設置費用の補助や冷房のある場所での勤務を要求できます。
- Q: 熱中症で倒れた場合の治療費はどうなりますか?
- A: 労災認定されれば治療費は全額支給されます。まずは労災申請を検討してください。
すぐやること3つ
- 職場の温度を記録する – スマートフォンの温度計アプリで毎日測定
- 会社の対策状況を確認する – 休憩場所・飲料水・作業時間の調整があるかチェック
- 体調管理を徹底する – 水分補給・十分な睡眠・朝食の摂取を心がける
まとめ
- 職場の熱中症対策は会社の法的義務であり、違反すれば罰則もある
- 労働者には適切な作業環境を求める権利がある
- 会社が対策しない場合は労基署への相談が効果的
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

