上司からセクハラ|権力を使った嫌がらせの相談先は?

懲戒

福岡県田川市の村上卓哉市長が、元秘書の女性職員からセクハラ被害を訴えられた。第三者調査委員会は、4件のセクハラ行為を認定している。

出典:Yahoo!ニュースによると、公用車内で手を握る行為や複数回の性交渉などが認定された。

これは、職場の権力関係をそのまま利用したセクハラの典型だ。

公務員の話だと思って読み飛ばさないでほしい。同じ構造は民間企業でも毎日起きている。社労士として、このニュースから労働者が知っておくべきことを整理する。

  • 職場のセクハラの法的定義と、権力型セクハラの正体
  • 「断れなかった=同意」が法的に成り立たない理由
  • 被害を受けたとき、今すぐ取るべき具体的な行動

職場のセクハラには2つの型がある

今回のケースは「対価型セクハラ」だ。

職場のセクハラは、大きく2つに分かれる。

対価型セクハラ

職務上の地位を盾にして、性的な関係を迫ること。

拒否したら不利益をちらつかせる。解雇、降格、減給。これが対価型の特徴だ。

今回、職員は「力関係の下で断り切れなかった」と証言している。まさに対価型の構造そのものだ。

📌 ポイント:上司が部下に対して職務上の立場を利用した性的行為の強要は、明確な対価型セクハラです。

環境型セクハラ

性的な言動で、職場の環境そのものを悪くすること。

見返りを求めなくても違法だ。性的な冗談、不必要な身体接触。それだけで「働きにくい職場」が完成する。被害者が黙っていても、加害者の責任は消えない。

PR

職場のストレス、一人で抱えていませんか?

公認心理師(国家資格)によるオンラインカウンセリングで、仕事や人間関係の悩みを相談できます。

オンラインカウンセリング【Kimochi】で相談する ›

「断れなかった=同意」が成り立たない法的理由

セクハラには、根強い誤解がある。

「拒否しなかったのだから、同意していたはずだ」という理屈だ。これは完全に間違いだ。

権力関係の下では、本当の同意は生まれない

上司と部下のあいだに、対等な同意は存在しない。

理由は一つ。拒否したときのリスクを、部下だけが背負わされるからだ。仕事を失うかもしれない側と、失わない側。この非対称が「同意」を不可能にする。

今回の報告書も「市長に逆らえない組織風土」を指摘している。これが権力型セクハラの本質だ。

⚠️ 注意:「嫌なら断ればよかった」は加害者側の論理です。職場の権力関係を無視した発想といえます。

法的根拠:男女雇用機会均等法11条

事業主には、セクハラを防止する措置義務がある。これは均等法11条が定めるれっきとした法的義務だ。

2020年6月1日からは、中小企業も含めて全企業が対象になっている。「うちは小さい会社だから」は、もう通用しない。

会社は、職場のセクハラを防ぐ義務を法律で負っている。守らなければ、責任を問われるのは会社のほうだ。

セクハラ被害を受けたときの対処法

もしあなたが被害を受けたら、何をすればいいのか。順番に書く。

証拠の記録と保存

最優先は記録だ。これだけは、被害に気づいたその日から始めてほしい。

具体的には、こうやって残す。

  • 日時・場所・相手・行為の内容を、できるだけ細かくメモする
  • LINEやメールのやり取りはスクリーンショットで保存する
  • 可能であれば録音する(相手の許可を得るか、法的リスクを確認したうえで)
  • 目撃者がいれば、証言の協力をお願いしておく
✅ やること:被害を受けた直後から記録を開始してください。時間が経つと記憶が曖昧になります。

社内相談窓口の活用

会社にセクハラ相談窓口があれば、まず使ってみる選択肢がある。

でも、加害者が上司のときは慎重に。相談した内容が、めぐりめぐって加害者本人に伝わるリスクがあるからだ。窓口の独立性が怪しいと感じたら、無理に社内で抱え込まなくていい。

外部機関への相談

社内で解決できそうにないなら、外部に頼る。相談先は次のとおり。

  • 労働局の雇用環境・均等部(無料相談・調停)
  • 労働基準監督署(労働相談コーナー)
  • 法テラス(法的相談)
  • 社会保険労務士・弁護士(専門家相談)

よくある疑問 Q&A

Q: セクハラの相談をすると会社にいづらくなりませんか?
A: 法律では相談者への不利益取扱いを禁止しています。もし不利益を受けた場合は、それ自体が法違反となります。労働局に申告することができます。
Q: 証拠が少なくてもセクハラとして認められますか?
A: 証拠は多いほど良いですが、被害者の詳細な証言だけでも認められるケースがあります。諦めずに相談することが重要です。
Q: 公務員と民間企業でセクハラ対策に違いはありますか?
A: 基本的な考え方は同じです。どちらも職場のセクハラは許されません。ただし、救済機関や処分の仕組みに違いがあります。

すぐやること 3つ

  1. 自分の会社のセクハラ相談窓口を確認する – 就業規則や社内規程で相談先を把握しておく
  2. セクハラの定義を正しく理解する – 対価型・環境型の違いを知っておく
  3. 被害を受けた場合の記録方法を覚える – 5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)で記録

次のステップ

パワハラの相談先・相談の進め方はこちらの記事で詳しく解説しています

パワハラ相談先はどこがベスト?社労士が教える正しい相談順序 »

まとめ

  • 職場のセクハラには対価型と環境型があり、今回は典型的な権力を利用した対価型セクハラ
  • 「断れなかった=同意」は誤解で、権力関係がある場合は真の同意は困難
  • すべての事業主にはセクハラ防止措置義務があり、被害者は法的に保護される

PR

職場のストレス、一人で抱えていませんか?

公認心理師(国家資格)によるオンラインカウンセリングで、仕事や人間関係の悩みを相談できます。

オンラインカウンセリング【Kimochi】で相談する ›

PR

今の働き方、このままでいいのか迷っていませんか?

キャリアのプロがあなたの強み・価値観を整理し、納得のいくキャリアプランを一緒に考えます。初回相談は無料です。

キャリアコーチング【ポジウィルキャリア】に無料相談する ›

※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

Photo by dylan nolte on Unsplash

タイトルとURLをコピーしました