2026年6月、長野県飯田市の老舗洋菓子店「トップ」が破産手続きの開始決定を受けました。創業1978年、年商7,500万円の地域に根ざした店舗でした。(出典:Yahoo!ニュース)
こうした倒産ニュースを見るたびに、私が真っ先に心配するのはそこで働いていた社員の給料です。
閉店の直前、給料が払われないまま会社がなくなる。最悪の事態は実際に起きています。
でも、あきらめないでください。国が給料を立て替えてくれる制度があります。
この記事では、会社倒産時に使える「未払賃金立替払制度」を社労士の立場から解説します。
- 未払賃金立替払制度とは何か
- 申請の手順(どこに、何を持って行けばいいか)
- よくある落とし穴と注意点
未払賃金立替払制度とは?国が給料を立て替える仕組み
「未払賃金立替払制度」とは、会社が倒産して給料を払えなくなったとき、国(独立行政法人 労働者健康安全機構)が未払い分の80%を立て替えてくれる制度です。
民間ではなく、厚生労働省が所管する公的機関が対応します。安心して利用できます。
対象になる「倒産」の2パターン
この制度が使えるのは、次の2パターンです。
①法律上の倒産:裁判所が破産・特別清算・民事再生・会社更生の手続き開始を決定した場合。
②事実上の倒産:裁判所の手続きなしに、実態として事業を続けられなくなった場合。この場合は労働基準監督署長が「倒産の事実」を認定します。
何が、いくら立て替えられるのか
対象となるのは、倒産が確定した日の6か月前から2年以内の間に働いた分の未払い賃金と退職手当です。
立替払の金額は未払い額の80%。全額ではありません。残り20%は自己負担となります。
また、退職時の年齢によって立替払の上限額が定められています。最新の上限額は労働者健康安全機構の公式サイトで必ず確認してください。
手続きの手順:3ステップで申請する
では、実際にどう動けばいいか。3ステップで説明します。
ステップ1:労働基準監督署に相談・証明を取る
まず、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に行きます。
持参するものの例:
- 未払いの月の給与明細
- 雇用契約書または労働条件通知書
- タイムカード・出勤記録のコピー
- 会社の倒産手続きが分かる書類(ある場合)
法律上の倒産であれば裁判所の手続書類があります。事実上の倒産であれば、監督署が実態を確認して「倒産認定」を行います。
ステップ2:立替払請求書を作成する
監督署から未払賃金に関する確認書類を受け取ったら、次は立替払請求書を記入します。
請求書の様式は、労働者健康安全機構または労働基準監督署で受け取れます。
ステップ3:労働者健康安全機構に請求する
書類をそろえて、独立行政法人 労働者健康安全機構に提出します。
審査が通れば、指定口座に立替払金が振り込まれます。
よくある疑問 Q&A
- Q: 会社がまだ正式に「倒産」と決まっていない。申請できますか?
- A: 裁判所の手続きが始まる前でも「事実上の倒産」として認定される場合があります。会社が機能を停止し、給料の支払いが見込めない状態なら、まず労働基準監督署に相談してください。個別の状況を一緒に確認してもらえます。
- Q: パート・アルバイトでも使えますか?
- A: 使えます。雇用形態は問いません。パート・アルバイト・契約社員でも、実際に働いた分の賃金が未払いであれば申請対象です。
- Q: 退職金(退職手当)も対象になりますか?
- A: 対象になります。ただし、退職手当は通常の賃金と上限額の計算が異なります。具体的な金額は労働基準監督署で確認することをおすすめします。
すぐやること 3つ
- 書類を今すぐ保管する:給与明細・雇用契約書・勤務記録のコピーを手元に保存する。会社が完全に閉まると書類が取れなくなります。
- 労働基準監督署に連絡する:「会社が倒産した、未払いがある」とそのまま伝えて大丈夫です。手続きの入口を教えてもらえます。
- 一人で抱え込まない:社労士・弁護士・労働組合への相談も選択肢です。手続きが複雑に感じるなら、専門家と一緒に進めましょう。
まとめ
- 会社が倒産しても、未払賃金立替払制度を使えば未払い給料の80%を取り戻せる
- 手続きは「労働基準監督署への相談 → 請求書の作成 → 労働者健康安全機構への提出」の3ステップ
- 申請期限は倒産確定から2年以内。書類は今すぐ保管・早めに動くことが鉄則
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