台風が近づいている。でも会社は「普通に出社して」と言っている。
そんな状況、台風シーズンのたびに全国各地で起きています。
出社しなければいけないのか。休んだら給料はどうなるのか。社労士として正直にお伝えします。
今回は、台風接近時の労働者の権利を3つに絞って解説します。
- 会社の出社命令は合法か
- 休業手当はもらえる条件
- 電車が止まった場合の扱い
(参考:出典:Yahoo!ニュースによると、今回の台風は強い勢力で沖縄方面に接近する見込みです。台風シーズンを前に、自分の権利を今確認しておきましょう。)
台風でも出社命令は合法か?
結論から言います。台風を理由に出社を命じること自体は、違法ではありません。
労働契約を結んでいる以上、基本的には会社の指示に従う義務があります。台風だからといって、自動的に「休んでいい」にはなりません。
ただし、大切な条件があります。
「身の危険を冒してまで出社しなければならない」わけではないのです。
「台風でも出社しろ」と言われて休んだ場合、欠勤扱いになる可能性はあります。
ただし、合理的な理由のある欠勤を重く処分することは「権利の濫用」として無効になるケースがあります。
休業手当はもらえる?もらえない?
台風で会社が「今日は休みにします」と決めた場合、賃金はどうなるか。
ポイントは「誰の事情で休みになったか」です。
労働基準法第26条に、こう定められています。
「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、労働者に平均賃金の60%以上の手当を支払わなければならない」
会社の事情で休みになった場合は、平均賃金の60%以上を支払う義務があります。これを「休業手当」といいます。
問題は、台風がどちらの事情に分類されるかです。
台風前に会社が先手を打って休みにした場合は?
ここが多くの人が見落としているポイントです。
台風が「来る前」に、会社が予防的に「明日は休業にします」と決定した場合。
この場合は使用者の判断による休業とみなされ、休業手当が必要になるケースがあります。
理由は明快です。台風がまだ来ていない。つまり「不可抗力」がまだ発生していないからです。
【実践メモ】
「休業手当は出ない」と言われたら、会社に「労働基準法第26条に基づく確認をしたい」と伝えましょう。やり取りはメール・書面で残すことが重要です。納得できない場合は、労働基準監督署への相談も選択肢です。
電車が止まって出社できない場合は?
台風で公共交通機関が運休になり、物理的に出社できないケースも多いです。
この場合、欠勤扱いにされても争う余地があります。
交通機関の運休は、あなたの責任ではありません。
「なぜ来なかったのか」と問われた場合は、客観的な運休情報を証拠として保存しておけば、不当な処分に対抗できます。
ただし、「賃金が必ずもらえる」わけではありません。
ノーワーク・ノーペイの原則(働いていない日は賃金が発生しない)が適用されるのが一般的です。
よくある疑問 Q&A
- Q: 台風で休んだら有給休暇を強制的に使わされました。合法ですか?
- A: 会社が有給取得を促すこと自体は合法です。ただし、有給を使うか欠勤にするかはあなたが選べるのが原則です。強制的に有給にされた場合は、会社に書面で確認を求めましょう。
- Q: 台風で出社したのに、会社から途中で帰宅を命じられました。その日の給料は出ますか?
- A: 出ます。働いた時間分の賃金は必ず支払われます。帰宅命令後の時間についても、使用者の判断による休業として平均賃金の60%以上の休業手当が発生します。
- Q: 台風前日に有給休暇を申請したら断られました。どうすればいいですか?
- A: 有給休暇の取得は労働基準法第39条で認められた権利です。会社が断れる「時季変更権」は業務に著しい支障がある場合に限られます。台風前日の申請を合理的な理由なく拒否することは問題のある対応です。
すぐやること 3つ
- 就業規則を確認する:「災害時の取り扱い」「特別休暇」の規定があるか今すぐ確認する。
- 交通機関の運休情報を保存する:スクリーンショットを手元に残す。「欠勤扱い」への対抗材料になる。
- 会社とのやり取りを記録する:「出社せよ」「休業にする」という指示はメール・チャットで残ることを意識する。
まとめ
- 台風でも出社命令は違法ではない。ただし身の危険を冒す義務はない。
- 台風が来る前に会社が先に休業を決めた場合は、休業手当(平均賃金の60%以上)が発生するケースがある。
- 電車の運休で出社できない場合、賃金は必ずしも出ないが、証拠を残して不当な処分に備えること。
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