王子ホールディングスが2026年春入社の新入社員から退職一時金を廃止すると発表しました。出典:Yahoo!ニュース
結論から言うと、これは労働者の働き方に大きく影響する変化です。
社労士として、このニュースが労働者に与える影響を解説します。退職金制度の変化の背景と、あなたが知っておくべきポイントをお伝えします。
ニュースの要点整理
今回のニュースで重要なポイントは3つです。
まず、対象は2026年春入社の新入社員のみです。既存の社員の退職金制度は継続されます。
次に、退職金を廃止する代わりに月給に上乗せするとのこと。一見すると労働者にとって不利に見えますが、実は複雑な話です。
そして、Yahoo世論調査では81.2%が「非常に影響がある」と回答。多くの人が不安を感じています。
退職金廃止の法的な仕組み
労働者が最初に知るべきことがあります。退職金は法律上の義務ではありません。
退職金は会社が自主的に設ける制度です。就業規則や労働契約で定めた場合のみ支払い義務が発生します。
新入社員と既存社員で扱いが違う理由
なぜ新入社員だけが対象なのでしょうか。法律的な理由があります。
既存社員の退職金を廃止するのは「不利益変更」に該当します。労働契約法9条・10条により、合理性が必要になります。
一方、新入社員は入社時点で「退職金なし」の労働条件に同意します。そのため不利益変更にはなりません。
労働者にとってのメリット・デメリット
退職金廃止は必ずしも悪いことではありません。メリットもあります。
メリットは毎月の手取りが増えることです。退職まで待つ必要がありません。転職時にも不利になりません。
デメリットは自己管理の負担です。老後資金を自分で貯める必要があります。
2026年税制改正の影響も考慮すべき
実は2026年には退職所得控除の改正も予定されています。これも今回の判断に影響しているかもしれません。
現在の退職所得控除は勤続20年以下で「40万円×勤続年数」です。2026年からは5年→10年ルールに変更される可能性があります。
つまり退職金の税制優遇が縮小される方向です。会社としては退職金制度の魅力が下がったと判断したのかもしれません。
地方と都市部の格差への対応
経済ジャーナリスト酒井富士子氏は「転職が一般的になる中で長期雇用前提の制度は形骸化」と指摘しています。
確かに地方では終身雇用が残る一方、都市部では転職が当たり前です。この格差に対応する動きとも言えるでしょう。
よくある疑問 Q&A
- Q: 他の企業でも退職金廃止は広がりますか?
- A: 可能性はあります。特に転職が多い業界や若い企業では同様の動きが出るかもしれません。ただし、既存社員への影響が大きいため、慎重に判断する企業が多いでしょう。
- Q: 退職金がない会社に入社するのは損ですか?
- A: 一概に損とは言えません。毎月の給与が高く、自分で資産運用できるなら有利な場合もあります。重要なのは総合的な労働条件を比較することです。
- Q: 既存社員の退職金制度はずっと安全ですか?
- A: 法的には保護されていますが、会社の経営状況によっては変更される可能性もあります。ただし、労働契約法により厳しい要件があるため、簡単には変更できません。
すぐやること 3つ
- 自分の会社の退職金制度を確認する – 就業規則で制度の内容を把握しましょう
- iDeCoやNISAを検討する – 退職金がない場合の自助努力として有効です
- 転職市場での退職金の傾向を調べる – 業界や企業規模による違いを理解しましょう
まとめ
- 王子HDの退職金廃止は新入社員のみが対象で、法的に問題はない
- 退職金廃止には毎月の収入増というメリットもある
- 自己責任での資産形成がより重要になる時代の変化
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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