退職金廃止で世代間格差?中高年が今すぐやること

採用・試用期間

「退職金が廃止されるかもしれない」。そんなニュースが話題になっています。

中高年社員は強く反発し、若手は歓迎する傾向があるという、世代間で真っ二つに割れた実態が報じられています。(出典:Yahoo!ニュース

社労士として、このニュースの「本当の意味」を解説します。感情論ではなく、法律と制度の話として聞いてください。

退職金廃止は「合法」だが、落とし穴がある

まず結論から言います。会社が退職金制度を廃止すること自体は、違法ではありません。

ただし、条件があります。

退職金制度は、就業規則や労働協約に定められていることがほとんどです。これを変えるには、労働者にとって不利益な変更になるため、原則として労働者の同意が必要です。

📌 ポイント:就業規則の「不利益変更」には、①労働者への十分な説明、②変更の合理的な理由、③代償措置の有無、が問われます(労働契約法第10条)。

特に問題になりやすいのが、「既存社員と新入社員で扱いを分ける」ケースです。

新規採用者にだけ適用するなら、既存社員の既得権には触れません。一方、在籍中の社員に遡及して適用しようとすると、法的なハードルが一気に上がります。

⚠️ 注意:「会社が説明会を開いた=同意した」ではありません。署名や同意書へのサインは慎重に行いましょう。

なぜ若手は「歓迎」するのか?制度の構造的な問題

若手社員が退職金廃止を歓迎する理由は、感情的なものではありません。退職金制度が「長く勤めた人ほど有利」な設計になっているからです。

多くの退職金制度は、勤続年数に比例して支給額が大幅に増える仕組みです。転職が当たり前の時代に、この設計は若い世代には響きにくい。

代わりに求められているのが、毎月の基本給への上乗せや、確定拠出年金(DC)への移行です。これなら転職してもお金が持ち運べます。

📌 ポイント:退職金を廃止して基本給を引き上げる、または確定拠出年金に切り替える企業が増えています。どちらが得かは、個人の勤続年数・転職予定・税制によって変わります。

ただし注意が必要です。「退職金廃止+基本給アップ」でも、総額が減っているケースがあります。

数字だけ見て判断せず、計算してみることが重要です。

よくある疑問 Q&A

Q:会社から「退職金制度を変更する」と言われました。拒否できますか?
A:個人として拒否する権利はありますが、会社が合理的な理由と代替措置を示した上で変更した場合、裁判所が変更を有効と認めることがあります。まず就業規則の変更内容を確認し、不明点は組合や社労士に相談してください。
Q:長年勤めてきた分の退職金は守られますか?
A:制度変更前に積み上げた分(既得部分)は、原則として保護されます。「これまでの分はゼロにする」という変更は、法的に無効になる可能性が高いです。
Q:確定拠出年金への移行を提案されました。どう考えればいいですか?
A:一概に悪いとは言えません。転職する可能性が高い方、投資に関心がある方にはメリットがある場合もあります。ただし運用リスクは自己負担になるため、老後の受取額が保証されない点は理解しておく必要があります。

すぐやること 3つ

  1. 就業規則・退職金規程を確認する。会社に請求すれば必ず開示してもらえます。
  2. 退職金の現時点での「積み上げ額」を把握する。人事部に確認するか、規程の計算式で試算しましょう。
  3. 会社から変更の説明があったら、書面で内容を保存する。口頭の説明だけで同意書にサインしないこと。

次のステップ

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まとめ

  • 退職金廃止は違法ではないが、既存社員への適用には厳格な要件がある
  • 若手の「歓迎」は感情ではなく、制度設計の構造的な問題が背景にある
  • 「廃止+基本給アップ」が得かどうかは必ず自分で計算して判断すること

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash

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