「うちの会社も退職金を廃止するのでは?」
そんな不安を感じている方が増えています。
退職金廃止のニュースが相次ぐ中、自分の退職金がどうなっているのか、もらえるのかを確認したいという声が急増しています。
現役社会保険労務士として、この問題をフラットに解説します。
参考ニュース:出典:Yahoo!ニュース
- 退職金は法律上の義務かどうか
- 自分の退職金を確認する方法
- 規程があるのに払われないときの対処法
退職金は「もらって当然」ではない
退職金の支払いは、法律で義務づけられていません。
労働基準法には「退職金を払え」という条文は存在しないのです。
つまり、退職金制度がない会社は法律違反ではありません。
ただし、就業規則や退職金規程に定めがあれば、それは労働条件の一部になります。
規程があれば、会社は支払う義務を負います。
「規程に書いてある=もらう権利がある」と理解してください。
なぜ今、退職金廃止が増えているのか
企業側の事情も知っておきましょう。
背景には、終身雇用の崩壊と人件費の固定化への懸念があります。
「長く勤めた人を厚く報いる」という発想が、雇用の流動化とかみ合わなくなっています。
退職金を廃止して、その分を毎月の給与や確定拠出年金(iDeCo型)に組み替える会社も増えています。
自分の退職金を確認する3ステップ
まず自分の状況を把握することが先決です。
以下の順番で確認してください。
ステップ1:就業規則・退職金規程を確認する
会社には就業規則を労働者に見せる義務があります。
労働基準法第106条で「周知義務」が定められています。
「見せてもらえない」は法律違反です。堂々と請求してください。
ステップ2:退職金の計算方法を把握する
規程があれば、計算式が書いてあるはずです。
多いのは「基本給×勤続年数×支給率」という方式です。
自分の現時点の試算額を出しておくと、いざというときに役立ちます。
ステップ3:変更があれば書面で確認する
「規程を変更した」と言われたら、変更後の規程と変更日を書面でもらってください。
口頭だけの説明は後からトラブルのもとです。
変更前後で自分の受取額がどう変わるかも計算しておきましょう。
規程があるのに払われないときの対処法
退職金規程があるにもかかわらず支払われない。これは深刻な問題です。
規程に基づく退職金は「賃金」に該当します。
賃金不払いは労働基準法第24条違反になります。
まず会社に書面で請求する
口頭ではなく、書面(内容証明郵便)で請求することが大切です。
「請求した事実」が残るからです。
請求書には退職日・勤続年数・計算根拠・金額を明記します。
それでも払われないなら外部機関へ
書面請求後も無視または拒否されたら、次の機関を活用してください。
- 労働基準監督署:賃金不払いとして申告できます。無料です。
- 都道府県労働局(あっせん):話し合いによる解決を仲介してもらえます。
- 弁護士・社労士への相談:金額が大きい場合は専門家に依頼するのが確実です。
よくある疑問 Q&A
- Q:退職金規程が途中で廃止された。もらえなくなる?
- A:すでに勤続した期間に対して発生した権利は、原則として消えません。廃止時点までの分は請求できる可能性があります。ただし規程の内容や廃止の手続きによって異なるため、専門家に相談することをおすすめします。
- Q:懲戒解雇されると退職金はゼロになる?
- A:規程に「懲戒解雇の場合は不支給」と書いてある場合は、不支給になることがあります。ただし全額不支給が有効かどうかは、非違行為の重大性によって判断が分かれます。あきらめる前に確認が必要です。
- Q:中退共(中小企業退職金共済)に加入している場合は?
- A:中退共は会社ではなく、独立した共済制度が退職金を管理しています。会社が倒産しても退職金は守られます。加入しているかどうかは会社に確認するか、中退共の加入者向け窓口に問い合わせる方法があります。
すぐやること
- 就業規則・退職金規程を確認する:人事・総務に請求して、規程の有無と内容を把握する。
- 自分の試算額を計算しておく:規程の計算式に現在の基本給・勤続年数を当てはめて金額を把握する。
- 変更の動きがあれば書面を要求する:「廃止・変更する」という話が出たら、必ず書面での通知を求め、変更前後の条件を比較する。
まとめ
- 退職金は法律上の義務ではないが、就業規則・規程に定めがあれば会社は支払う義務を負う
- 自分の退職金は、就業規則・退職金規程を確認することで把握できる(会社には周知義務がある)
- 規程があるのに払われない場合は、書面で請求し、それでも解決しなければ労働基準監督署や専門家に相談する
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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