退職金は法律で義務?廃止・不払いへの対処法

労働契約・就業規則

「うちの会社も退職金を廃止するのでは?」

そんな不安を感じている方が増えています。

退職金廃止のニュースが相次ぐ中、自分の退職金がどうなっているのか、もらえるのかを確認したいという声が急増しています。

現役社会保険労務士として、この問題をフラットに解説します。

参考ニュース:出典:Yahoo!ニュース

  • 退職金は法律上の義務かどうか
  • 自分の退職金を確認する方法
  • 規程があるのに払われないときの対処法

退職金は「もらって当然」ではない

退職金の支払いは、法律で義務づけられていません。

労働基準法には「退職金を払え」という条文は存在しないのです。

つまり、退職金制度がない会社は法律違反ではありません。

⚠️ 注意:「大企業なら退職金があるはず」という思い込みは危険です。制度の有無は会社ごとに異なります。

ただし、就業規則や退職金規程に定めがあれば、それは労働条件の一部になります。

規程があれば、会社は支払う義務を負います。

「規程に書いてある=もらう権利がある」と理解してください。

なぜ今、退職金廃止が増えているのか

企業側の事情も知っておきましょう。

背景には、終身雇用の崩壊と人件費の固定化への懸念があります。

「長く勤めた人を厚く報いる」という発想が、雇用の流動化とかみ合わなくなっています。

退職金を廃止して、その分を毎月の給与や確定拠出年金(iDeCo型)に組み替える会社も増えています。

📌 ポイント:廃止自体が違法ではありません。ただし、既存の労働者への不利益変更には、合理的な理由と適切な手続きが必要です。

自分の退職金を確認する3ステップ

まず自分の状況を把握することが先決です。

以下の順番で確認してください。

ステップ1:就業規則・退職金規程を確認する

会社には就業規則を労働者に見せる義務があります。

労働基準法第106条で「周知義務」が定められています。

「見せてもらえない」は法律違反です。堂々と請求してください。

✅ やること:人事部門または総務に「就業規則と退職金規程を確認したい」と申し出る。コピーをもらえると後で比較できます。

ステップ2:退職金の計算方法を把握する

規程があれば、計算式が書いてあるはずです。

多いのは「基本給×勤続年数×支給率」という方式です。

自分の現時点の試算額を出しておくと、いざというときに役立ちます。

ステップ3:変更があれば書面で確認する

「規程を変更した」と言われたら、変更後の規程と変更日を書面でもらってください。

口頭だけの説明は後からトラブルのもとです。

変更前後で自分の受取額がどう変わるかも計算しておきましょう。

規程があるのに払われないときの対処法

退職金規程があるにもかかわらず支払われない。これは深刻な問題です。

規程に基づく退職金は「賃金」に該当します。

賃金不払いは労働基準法第24条違反になります。

まず会社に書面で請求する

口頭ではなく、書面(内容証明郵便)で請求することが大切です。

「請求した事実」が残るからです。

請求書には退職日・勤続年数・計算根拠・金額を明記します。

それでも払われないなら外部機関へ

書面請求後も無視または拒否されたら、次の機関を活用してください。

  • 労働基準監督署:賃金不払いとして申告できます。無料です。
  • 都道府県労働局(あっせん):話し合いによる解決を仲介してもらえます。
  • 弁護士・社労士への相談:金額が大きい場合は専門家に依頼するのが確実です。
📌 ポイント:退職金の請求権には時効があります。現行法では原則5年(当面は3年)です。退職後は早めに行動してください。

よくある疑問 Q&A

Q:退職金規程が途中で廃止された。もらえなくなる?
A:すでに勤続した期間に対して発生した権利は、原則として消えません。廃止時点までの分は請求できる可能性があります。ただし規程の内容や廃止の手続きによって異なるため、専門家に相談することをおすすめします。
Q:懲戒解雇されると退職金はゼロになる?
A:規程に「懲戒解雇の場合は不支給」と書いてある場合は、不支給になることがあります。ただし全額不支給が有効かどうかは、非違行為の重大性によって判断が分かれます。あきらめる前に確認が必要です。
Q:中退共(中小企業退職金共済)に加入している場合は?
A:中退共は会社ではなく、独立した共済制度が退職金を管理しています。会社が倒産しても退職金は守られます。加入しているかどうかは会社に確認するか、中退共の加入者向け窓口に問い合わせる方法があります。

すぐやること

  1. 就業規則・退職金規程を確認する:人事・総務に請求して、規程の有無と内容を把握する。
  2. 自分の試算額を計算しておく:規程の計算式に現在の基本給・勤続年数を当てはめて金額を把握する。
  3. 変更の動きがあれば書面を要求する:「廃止・変更する」という話が出たら、必ず書面での通知を求め、変更前後の条件を比較する。

次のステップ

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まとめ

  • 退職金は法律上の義務ではないが、就業規則・規程に定めがあれば会社は支払う義務を負う
  • 自分の退職金は、就業規則・退職金規程を確認することで把握できる(会社には周知義務がある)
  • 規程があるのに払われない場合は、書面で請求し、それでも解決しなければ労働基準監督署や専門家に相談する

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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