85歳送迎運転手の事故は労災?業務中交通事故の労働法を社労士が解説

労災・安全衛生

2026年1月、名古屋市南区で85歳のアルバイト運転手がマイクロバスで信号無視をし、2人が死亡する痛ましい事故が発生しました。(出典:Yahoo!ニュース)

この事故から、業務中の交通事故における労働者の責任と会社の義務について考える必要があります。

現役社労士として、このニュースを踏まえて「業務中の事故と労災」「高齢労働者の安全管理」について解説します。

  • 業務中の交通事故は労災認定されるのか
  • 会社の安全管理義務はどこまでか
  • 高齢労働者を雇用する際の注意点

業務中の交通事故は労災認定されるか

今回のような送迎業務中の事故は、原則として労災認定されます。

業務遂行性と業務起因性の両方を満たすからです。

📌 ポイント:業務中の事故は、故意・重過失がない限り労災です

労災認定の条件

労災認定には2つの要件があります。

業務遂行性とは、会社の指示で業務を行っている状態のこと。

業務起因性とは、業務が原因で事故が発生したことです。

今回のケースでは、スイミングスクールの送迎業務中でした。

会社の指示による業務遂行中の事故なので、労災認定される可能性が高いです。

故意・重過失がある場合は除外

ただし、故意や重大な過失がある場合は労災から除外されることがあります。

信号無視は重過失に該当する可能性があります。

しかし、認知症や体調不良による判断力低下があれば事情は変わります。

⚠️ 注意:85歳という年齢を考慮すると、故意ではなく能力的な問題の可能性もあります

会社の安全管理義務と使用者責任

会社には労働者の安全を守る義務があります。

特に運転業務では、定期的な健康チェックと適性確認が必要です。

安全配慮義務違反のリスク

労働契約法第5条により、使用者は労働者の安全配慮義務を負います。

85歳の運転手に対する適切な管理を怠った場合、義務違反となる可能性があります。

具体的には以下の義務があります:

  • 定期的な健康診断の実施
  • 運転適性検査の実施
  • 安全運転教育の実施
  • 労働時間の適切な管理
📌 ポイント:運送業では3か月に1回の適性診断が義務付けられています

使用者責任による損害賠償

民法第715条により、会社は従業員の業務中の事故について損害賠償責任を負います。

今回のケースでは、被害者遺族から会社に対して高額な損害賠償請求がなされる可能性があります。

会社が責任を免れるには以下を証明する必要があります:

  • 従業員の選任・監督に相当の注意を払ったこと
  • 相当の注意を払っても損害を防げなかったこと

高齢労働者雇用の注意点

70歳就業確保措置により、高齢労働者の雇用は今後も増加します。

しかし、安全管理の観点から特別な配慮が必要です。

運転業務での年齢制限

法的に運転業務の年齢上限はありません。

しかし、会社が安全管理の観点から年齢制限を設けることは可能です。

✅ やること:運転業務では定期的な適性検査と健康チェックを実施しましょう

労働者側の対策

労働者側も自身の安全と他者への責任を考慮する必要があります。

体調や認知機能に不安がある場合は、会社に相談することが重要です。

以下の点をチェックしてください:

  • 視力・聴力の低下はないか
  • 反応速度の遅れはないか
  • 薬の副作用で眠気はないか
  • 運転に支障をきたす持病はないか

よくある疑問 Q&A

Q: 85歳で運転業務につくのは違法ですか?
A: 法的な年齢制限はありません。ただし、会社は安全配慮義務を果たす必要があります。定期的な適性検査や健康チェックが必要です。
Q: 業務中の事故で刑事責任を問われても労災は出ますか?
A: 刑事責任と労災は別の問題です。故意や重大な過失がない限り、労災認定は可能です。ただし、個別の事情により判断が分かれることがあります。
Q: 会社から「年齢を理由に退職してほしい」と言われました
A: 年齢のみを理由とした退職強要は違法です。ただし、業務遂行能力に問題がある場合は別です。まず会社と話し合い、必要に応じて専門家に相談してください。

すぐやること 3つ

  1. 運転業務に従事している方は健康状態をチェック – 定期的な健康診断を受け、運転に支障がないか確認する
  2. 会社の安全管理体制を確認 – 適性検査や安全教育が実施されているかチェックする
  3. 不安があれば早めに相談 – 体調や運転能力に不安がある場合は会社や専門家に相談する

次のステップ

パワハラの相談先・相談の進め方はこちらの記事で詳しく解説しています

パワハラ相談先はどこがベスト?社労士が教える正しい相談順序 »

まとめ

  • 業務中の交通事故は原則として労災認定される
  • 会社には高齢労働者に対する特別な安全配慮義務がある
  • 労働者も自身の能力を客観視し、適切な相談をすることが重要

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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