外食の現場で働いている人に、見過ごせないニュースが入ってきた。
特定技能1号での外国人受け入れが上限に達し、新規の受け入れがストップした。ただでさえ足りていない人手が、さらに細る。現場はもう待ったなしだ。
出典:Yahoo!ニュースによると、「世界の山ちゃん」では従業員の半数が外国人。上限5万人の枠が埋まったことで、働く夢を絶たれる留学生まで出ているという。
労働者の味方の社労士として、はっきり言っておきたい。人手不足のしわ寄せを、現場のあなたが黙って引き受ける義務はない。この記事で、その理由と備え方を書く。
この記事で分かること
- 特定技能1号が止まると、外食の現場で何が起きるのか
- 人手不足の波が、あなたの労働時間や賃金にどう響くのか
- しわ寄せを押し付けられないために、今やっておくこと
特定技能1号が止まると現場はどうなるか
特定技能1号は、外国人が日本で働くための在留資格だ。外食業では2019年に受け入れが始まり、多くの店が人手不足対策の柱にしてきた。
その受け入れが、上限の5万人に達して止まった。新しく入ってくる戦力が、当面ゼロになるということだ。
ここで勘違いしてほしくない点がある。外国人スタッフは「足りない分の補助」ではない。多くの店では現場を回す主力だ。
従業員の半数が外国人という「世界の山ちゃん」の例は、決して特殊ではない。それだけ外食の人手不足は深刻で、外国人の力なしには店が回らない構造になっている。
つまり、その主力の入り口が閉じた。残された人にしわ寄せが行く。これは想像ではなく、ほぼ確実に起きることだ。
現場で起きはじめる3つの変化
特定技能1号が止まると、こんな変化が出てくる。
- 今いるスタッフの負担増
- 新規採用が進まない
- 営業時間の短縮や時短の検討
どれも、今まさに働いているあなたに直接ぶつかってくる話だ。「会社が困っている」という空気の中で、無理が当たり前にされていく。そこに歯止めをかけるのが、次に説明する法律のラインだ。
あなたにとっての追い風と逆風
追い風:賃金が上がるチャンス
人が足りないとき、賃上げの可能性は確実に高まる。
理由はシンプルだ。人が来ないなら、企業は条件を良くして引き留めるしかない。実際、多くの外食チェーンで時給アップが進んでいる。正社員への登用枠が広がる店も出てくるだろう。
だから、ここは交渉のタイミングでもある。「人が足りないなら、待遇で報いてほしい」と言っていい場面だ。
逆風:負担だけが増える危険
一方で、待遇は変わらず仕事だけ増える。これが最悪のパターンだ。
人が足りないと、こういう形でツケが回ってくる。
- 残業が増える
- 休日出勤を頼まれる
- 一人あたりの仕事量が膨らむ
これは気合いの問題ではない。健康に直結する。倒れてから「無理させてすみません」と言われても、戻らないものがある。
人手不足でも消えない、あなたの権利
会社が人手不足でも、あなたの権利が薄まることはない。
むしろ逆だ。会社が苦しいときほど、自分の権利を正確に握っておく。それが身を守る盾になる。
残業について
会社は「人がいないから」を理由に、無制限に残業を命じることはできない。
上限は36協定の範囲だ。それを超える残業命令は違法になる。そして残業代は、例外なく支払われなければならない。サービス残業に「うちは仕方ない」は通用しない。
有給休暇について
有給を取るのは、あなたの権利だ。
人手不足でも、会社が有給の取得そのものを拒むことはできない。それどころか、年5日の有給を取らせるのは会社側の義務だ。「忙しいから無理」は、義務違反の言い訳にすぎない。
よくある疑問 Q&A
- Q: 人手不足を理由に残業を断れませんか?
- A: 36協定の範囲を超える残業は断れます。健康に支障が出そうなときも、拒否する権利があります。
- Q: 外国人同僚が減って自分の仕事が増えるのは仕方ないですか?
- A: 増えた仕事量に見合う対価(昇給・残業代)が支払われるべきです。一方的に負担だけ増やされるのは、おかしいと言っていい話です。
- Q: こういう状況で転職を考えるべきですか?
- A: まずは今の職場で条件交渉を。人手不足は交渉材料になります。それでも変わらないなら、転職も立派な選択肢です。
今日やること 3つ
- 自分の労働条件を確認する – 契約書・就業規則を開き、残業の上限と休暇のルールを把握する
- 労働時間の記録を始める – 出退勤を正確に記録し、残業代がちゃんと出ているかを確かめる
- 会社の動きを見ておく – 人員補充の計画や待遇改善について、上司や人事に直接聞いてみる
まとめ
- 特定技能1号の受け入れ停止で、外食の人手不足はさらに加速する
- 賃上げのチャンスになる一方、負担だけ増えるリスクも大きい
- 人手不足でも権利は消えない。見合った対価と、まともな労働環境を求めていい
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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