「スポンサーがついたら払います」。そう言われて3ヶ月、番組に出続けた。
でも、約束は果たされなかった。
歌手・畑中葉子さん(67歳)が2026年6月に降板した。コミュニティFM「コマラジ」のポッドキャスト番組からだ。理由は出演料の未払い。この経緯をポッドキャストで公表し、話題になっている。(出典:Yahoo!ニュース)
「口約束で無償出演させられた」——これはフリーランス全般で起きている問題です。
2024年11月に施行されたフリーランス新法を知っていれば、予防も回収も変わります。現役社会保険労務士の立場から解説します。
- フリーランス新法で何が変わったか
- 下請法が使えるケースと使えないケース
- 未払い報酬を取り戻す3ステップ
今回の件を法的に整理する
正直に言います。今回のケースはグレーゾーンです。
「2〜3ヶ月は無償」という説明を受けて出演を開始している。最初から無償の合意があったとみなされると、請求の根拠が弱くなります。
ただし3ヶ月後以降は別の話です。「スポンサーがついたら払う」という条件があった。その条件が果たされなかった。だから条件終了後の出演分は、請求できる余地があります。
フリーランス新法が変えた「発注者の義務」
2024年11月1日、フリーランス保護新法が施行されました。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。
フリーランスに仕事を発注する側に、新たな義務が3つ課されました。
- 書面等で取引条件を明示する義務(報酬額・支払期日・業務内容)
- 成果物の受領から60日以内に報酬を支払う義務
- 不当な報酬減額・受領拒否の禁止
下請法も使えるケースがあります。ただし条件があります。情報・役務の委託であれば、発注者の資本金が1,000万円超であることが必要です。コミュニティFMのような小規模事業者には適用されないことも多いです。
未払い報酬を取り戻す3ステップ
ステップ1:証拠を今すぐ保存する
まず動くのはここです。メール・LINEのスクリーンショット。打ち合わせ時のメモ(日付・場所・発言内容)。出演の記録(番組データ・スケジュール)。削除される前に確保してください。
ステップ2:内容証明郵便で正式請求する
「払ってください」とLINEで送るだけでは弱い。内容証明郵便で請求することで、法的な記録になります。記載内容は「請求金額」「支払期限」「振込先」の3点だけでOKです。
ステップ3:行政の無料窓口に相談する
フリーランス新法の相談窓口があります。「フリーランス・トラブル110番」(0120-250-974、平日9時〜17時)に無料で相談できます。内閣官房・中小企業庁が運営しています。
下請法が適用できるケースでは、公正取引委員会への申告も有効です。申告に費用はかかりません。違反が認められれば、国が発注者に是正を勧告します。
よくある疑問 Q&A
- Q: 最初から「無償で」と承諾した場合、後から請求できますか?
- A: 難しいケースです。ただし「無償の期間」が曖昧だった場合や、期間終了後も無償が続いた場合は請求できる余地があります。フリーランス・トラブル110番に状況を話してみてください。
- Q: 下請法とフリーランス新法はどう違うのですか?
- A: 下請法は「発注者の規模」に条件があります(資本金1,000万円超など)。フリーランス新法は規模に関係なく適用されます。両方使えるケースもあります。
- Q: 弁護士に頼む必要がありますか?
- A: 最初から弁護士でなくてもOKです。フリーランス・トラブル110番や各都道府県の消費生活センターも無料の相談先です。状況を話してから判断できます。
すぐやること
- やり取りの記録を今すぐ保存する——メール・LINEのスクリーンショット。削除される前に。
- フリーランス・トラブル110番に相談する——0120-250-974、平日9時〜17時(無料)。
- 次の仕事から書面で条件を確認する——報酬額・支払日をメールで確認するだけでいい。口約束をなくす。
まとめ
- 「口頭の無償合意」はグレーゾーン。証拠の有無が勝負を決める。
- フリーランス新法で、発注者に書面明示・60日以内支払いが義務化(2024年11月〜)。
- 未払いがあるなら、証拠確保→内容証明請求→フリーランス・トラブル110番の順で動く。
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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