2026年5月18日、厚生労働省がストレスチェックを2028年4月から全事業所で義務化すると発表しました。
出典:Yahoo!ニュースによると、これまで従業員50人以上の事業所だけが義務で、50人未満は努力義務にとどまっていました。それが全事業所へ拡大されます。
結論から言います。これは中小企業で働くあなたにとって、はっきり追い風です。
現役の社会保険労務士として、このニュースが現場で何を意味するのか、労働者目線で解説します。経営者の都合は脇に置きます。
ストレスチェック義務化の背景と意味
なぜ今になって全事業所へ拡大するのか。理由ははっきりしています。
精神障害による労災認定が増え続けているからです。2024年度の認定件数は1057件。過去最多でした。心を壊して働けなくなる人が、それだけ職場で生まれているということです。
これまでの制度の何が問題だったのか
従業員50人未満の中小企業は、ストレスチェックが「努力義務」でした。やってもやらなくても罰則はない、という扱いです。
結果はどうなったか。実施していない職場が大量に残りました。
小さな会社で働く人ほど、メンタルの不調を早く拾う仕組みから取り残されてきた。これが現実です。
2028年から何が変わるのか
2028年4月以降は、すべての事業所でストレスチェックが義務になります。会社の規模は関係ありません。
中小企業で働く人も、年1回、心理的な負荷を測る検査を受けられるようになります。これまで制度の外に置かれてきた人にとって、入り口が一つ増えるということです。
労働者が知っておくべき権利と保護
この制度、ただ検査を受けて終わりではありません。労働者を守るための仕組みがセットで組み込まれています。ここを知らないと損をします。
高ストレスと判定されたときの権利
高ストレスと判定されたら、医師による面接指導を受ける権利があります。
これは気休めの制度ではありません。労働安全衛生法66条の10にきちんと定められた権利です。
そして会社側には、その面接の機会を用意する義務があります。あなたが申し出れば、会社は応じなければならない。立場は対等です。
結果を理由にした不利益取扱いは禁止
「結果が悪いと評価が下がるのでは」と身構える人がいます。でも、それは法律が許していません。
ストレスチェックの結果を理由に、こうした扱いをすることは禁止されています。
- 解雇
- 配転・出向
- 降格
- 減給
- 雇い止め
実務上の課題と、労働者側の見方
もちろん、義務化で全部うまくいく、という話ではありません。新しい課題も出てきます。
「中小企業の負担が増える」という声について
義務化に対して、中小企業からはコスト負担を理由にした反対が必ず出ます。「うちには余裕がない」という言い分です。
でも、はっきり言います。これは安全配慮義務、つまり働く人の安全と健康に配慮する会社側の義務の一部です。負担ではなく、本来やるべきことをやるだけです。
人が心を壊して辞めれば、採用も教育もやり直し。働く人の健康を守ることは、長い目で見れば会社の利益にもなります。
形だけで終わらせないために
一番怖いのは、検査をやっただけで満足してしまう職場です。受けて、集計して、それっきり。これでは意味がありません。
大事なのはその先です。結果を職場環境の改善につなげること。例えば、特定の部署で高ストレス者が固まっているなら、業務量や人間関係に原因が隠れている可能性があります。数字を放置せず、改善の材料として使えるかどうか。そこが分かれ目です。
よくある疑問 Q&A
- Q: ストレスチェックの受検は本当に義務ですか?
- A: 労働者には受検義務はありません。事業者に実施義務があるだけで、労働者は受けないことも選択できます。
- Q: 結果が悪いと会社にバレて不利になりませんか?
- A: 個人の結果は本人の同意なく事業者には提供されません。また、結果を理由とした不利益取扱いは法律で禁止されています。
- Q: 2028年まで待たずに今からできることはありますか?
- A: 現在50人未満の職場でも、会社に制度導入を提案できます。労働安全衛生委員会や労働組合を通じて要望を出すのも有効です。
すぐやること 3つ
- 現在の職場の制度確認 – ストレスチェックが実施されているか確認する
- メンタルヘルス情報の収集 – 厚労省の「こころの耳」などで情報を得る
- 相談窓口の把握 – 職場や地域のメンタルヘルス相談窓口を調べておく
まとめ
- 2028年4月から全事業所でストレスチェックが義務化される
- 中小企業で働く労働者にとって大きなメリットがある制度
- 高ストレス判定時は医師面接を受ける権利があり、不利益取扱いは禁止
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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