2026年1月3日、台風6号が東海から関東を直撃しました。通勤時間帯に鉄道が止まり、学校も休校。「今日は休み」と会社から連絡が来た人も多かったはずです。出典:Yahoo!ニュースでも、この休業中の給料がどうなるのかに関心が集まりました。
そこで気になるのが、お金です。休まされた日の給料は、出るのか。出ないのか。
結論から言います。台風で会社が休みを決めたなら、給料をもらえる可能性は十分あります。
「天災なんだから仕方ない」。会社からそう言われて引き下がってしまう人が多い。でも、そこで諦めるのは早い。社会保険労務士として、なぜもらえるのかを法律の根拠から説明します。
- 台風休業で給料が出るかどうかの線引き
- 会社が使いがちな言い訳と、その崩し方
- もめたときに何を集めて、どう交渉するか
台風で会社が休みにした場合の賃金ルール
会社の都合で休ませた場合、賃金の60%以上を支払う義務があります。これが出発点です。
根拠は労働基準法第26条。「使用者の責に帰すべき事由による休業」のときは、平均賃金の60%以上の休業手当を払いなさい、と定めています。つまり会社の都合で仕事を休ませたら、お金が発生する。
台風で判断が割れるのは、ここに2つの顔があるからです。
- 台風そのものは自然災害。会社のせいではない(天災地変)
- でも「休業する」と決めたのは会社。これは会社の判断
具体的な判断基準
では、どこで線が引かれるのか。ざっくり言うと、出勤する手段が少しでも残っていたかどうかです。次の状況なら、休業手当をもらえる可能性が高い。
| 状況 | 休業手当 |
|---|---|
| 公共交通機関が一部でも動いている | 支払い義務あり |
| 他の交通手段で通勤可能 | 支払い義務あり |
| 在宅勤務が可能な業務 | 支払い義務あり |
| 完全に交通機関が停止 | 天災地変として義務なし |
見てのとおり、「義務なし」になるのは一番下の一行だけ。電車もバスもタクシーも全滅、在宅も無理。そこまで揃って、ようやく会社は払わなくてよくなる。逆に言えば、それ以外はだいたいもらえるということです。
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会社がよく使う言い訳とその対処法
台風休業でもめるとき、会社の言い分はだいたい2パターンに分かれます。順番に潰していきます。
「天災だから給料は出ない」と言われた場合
これは間違いです。天災地変だから休業手当を払わなくていい、という免責は、そう簡単には認められません。ものすごく狭い。
裁判で免責が通るには、たとえばこのレベルが求められます。
- 事業場が物理的に使えなくなった
- 従業員が物理的に出勤できなくなった
- 代わりの手段が一つも残っていない
「電車が止まったから」。これだけでは到底足りません。バスがある。タクシーがある。家でできる仕事ならパソコンがある。代替手段が一つでも残っていれば、会社は逃げられない。
「年次有給休暇を使って」と言われた場合
これも違法です。会社都合の休業を、勝手に有給で処理することはできません。
有給休暇は、いつ取るかを労働者が決める権利です。会社が「あの日は有給な」と一方的に消化させるのは、筋が通らない。労働基準法に反します。会社都合で休ませておいて、そのツケを社員の有給で払わせる。そんな虫のいい話はありません。
実際にトラブルになったときの対処法
給料が出ない、納得できない。そうなったら、どう動くか。気持ちより先に、手を動かすことです。
まずやること
証拠集めから始めてください。交渉は、証拠がある側が強い。これは例外がありません。
- 会社からの休業指示(メール・LINE。口頭なら録音)
- 当日の交通機関の運行状況(ウェブサイトのスクリーンショット)
- 他の従業員の扱い(誰が休みで、誰が出勤したか)
特に運行状況のスクショは急いでください。鉄道会社のサイトは、数日で当日の運休情報を消してしまう。「あの日は止まっていた」を証明できなくなる前に、画面を1枚残しておく。それだけで後がまるで違います。
会社との交渉
証拠が揃ったら、口頭ではなく書面で申し入れます。言った言わないを避けるためです。書面には、次の3つを必ず入れてください。
- 休業指示を受けた日時と内容
- 労働基準法第26条にもとづく休業手当の請求
- 支払期限(1週間程度が目安)
感情的にならず、淡々と法的根拠だけを並べる。怒りをぶつけたくなる気持ちは分かります。でも、相手を黙らせるのは熱量ではなく条文です。冷静に書いた書面ほど効く。
よくある疑問 Q&A
- Q: 台風で電車が止まって会社に行けませんでした。この場合も休業手当はもらえますか?
- A: 会社が「今日は休業」と指示した場合はもらえます。しかし、あなた個人の判断で休んだ場合は、一般的には欠勤扱いになります。ただし、安全配慮の観点から有給休暇の取得を認めてもらえることが多いです。
- Q: 在宅勤務ができる仕事なのに、会社が一律で休業を決めました。これでも休業手当はもらえますか?
- A: はい、もらえます。在宅勤務が可能なのに休業させた場合、明らかに会社の判断による休業です。労働基準法第26条の休業手当支払い義務が生じます。
- Q: パートタイムで働いています。台風休業でも休業手当はもらえますか?
- A: はい、雇用形態に関係なく休業手当の対象になります。ただし、金額は予定されていた勤務時間分の60%以上になります。
すぐやること 3つ
- 証拠を保存する – 会社からの指示と、交通機関の状況をスクリーンショットで残す
- 就業規則を確認する – 自然災害時の休業の扱いが書いてあるか目を通す
- 同僚と情報交換する – 同じく困っている人がいれば、一緒に交渉できる
まとめ
- 台風による会社都合の休業でも、原則として休業手当(賃金の60%以上)をもらう権利がある
- 「天災だから給料なし」は、多くの場合、法的に間違った説明
- 証拠を集め、労働基準法を根拠に、冷静に交渉する
※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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