体調が悪いのに「休めない」と感じている女性が、約5割にのぼる。
そんな調査結果が話題になっています(出典:Yahoo!ニュース)。
結論を先に言う。有給休暇は、理由を問わず取得できる権利だ。
会社は原則として拒否できない。
現役社会保険労務士の立場から、この問題をはっきり解説する。
有給休暇の基本——「理由を言う義務はない」
有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法第39条に定められた労働者の権利だ。
「時季指定権」という言葉がある。難しく聞こえるが、要は「いつ休むかを労働者自身が決められる」ということだ。上司の許可をもらうのではなく、「この日に休みます」と伝える権利がある。
会社が有給を断れる唯一の手段は「時季変更権」だ。「その日は業務に重大な支障があるので、別の日にしてほしい」と会社がお願いできる——それだけだ。
ここが重要。時季変更権は「日程を変える」権利であって、「取得そのものをなかったことにする」権利ではない。
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「休めない空気」が生まれる理由と、それでも休んでいい理由
約5割の女性が体調不良でも休めていない。この現実には、単純に「会社が悪い」とは言い切れない背景もある。
小規模な職場では、一人が休めば別の誰かに直接しわ寄せがいく。管理職自身も有給を消化できていない職場では、「上が休まないから下も休みにくい」という空気が自然と生まれる。
ただし。
「職場の雰囲気」は法律の上に立てない。
2019年の働き方改革関連法改正により、年10日以上の有給を持つ労働者には、年5日の有給取得が会社に義務づけられた。義務を守らなければ、会社には罰則が科される。これは会社側の義務だ。「忙しいから」では免除されない。
それでも休めないときの動き方
まず申請は口頭を避ける。メールかチャットで行い、記録を残す。「言った・言わない」の水掛け論を防げるし、後で相談する際の証拠になる。
上司に拒否された場合は、人事部門や総務に相談する手もある。それでも動かないなら、会社の外に出る。
- 労働基準監督署:匿名でも相談可能。違法な有給拒否があれば動いてもらえる場合があります。
- 都道府県の労働局(総合労働相談コーナー):無料で相談できます。
- 社会保険労務士・弁護士:個別の状況に応じたアドバイスが得られます。
「こんなことで相談していいのか」と思わなくていい。むしろ記録もなく我慢し続けることの方が、後々の選択肢を狭める。
よくある疑問 Q&A
- Q:「有給を使いすぎると評価が下がる」と言われました。これは合法ですか?
- A:違法になる可能性があります。有給の取得を理由とした不利益取扱いは、労働基準法で禁止されています。ただし、評価への影響は立証が難しいため、記録を残しておくことが重要です。
- Q:パート・アルバイトでも有給は取れますか?
- A:取れます。週1日以上勤務し、6ヶ月以上継続勤務していれば、雇用形態にかかわらず有給は発生します。「正社員じゃないから関係ない」は誤りです。
- Q:有給が足りない場合、欠勤扱いになりますか?
- A:有給が残っていない場合は、欠勤・病気休暇・特別休暇(会社独自制度)などを確認してみてください。就業規則に定めがある場合もあります。会社に確認する権利があります。
今日すぐやること
- 自分の有給残日数を確認する(給与明細・社内システムで確認できる場合が多いです)
- 有給申請はメール・チャットで行い、記録を残す習慣をつける
- 拒否された場合は、日時・内容をメモに残しておく(相談する際の証拠になります)
まとめ
- 有給休暇は理由を問わず取得できる法律上の権利。会社は原則拒否できない。
- 「職場の雰囲気」や「上司の圧力」は違法行為を正当化しない。
- 拒否されたら記録を残し、労基署や労働局などの外部窓口に相談する選択肢がある。
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
Photo by Waldemar Brandt on Unsplash

