「バイトをもっと増やしたいけど、親の扶養から外れたら迷惑をかけてしまう」
そう思って働く時間を抑えている学生は多い。でも2026年からは、その計算が少し変わる。
19歳以上23歳未満の子に限り、所得税の扶養控除が適用される年収上限が150万円に引き上げられます。(出典:税務・労務解説サイト taxlabor.com)
ただし、喜ぶ前に確認しておきたいことがある。「150万円まで大丈夫」というのは、あくまで所得税の話だ。健康保険の壁は別のまま残っている。この記事では、現役社会保険労務士として、制度の中身と注意点をはっきり整理する。
「年収の壁」は一本じゃない。まず整理する
「年収の壁」というと一つの線があるように聞こえるが、実際は複数の制度が絡んでいる。混乱の原因はここにある。
代表的な壁はこの3つだ。
- 103万円の壁:所得税がかかり始める。親の扶養控除(所得税)の対象外になる
- 106万円の壁:職場の規模や労働条件によっては、自分で社会保険に加入する必要が生じる
- 130万円の壁:親の健康保険の被扶養者から外れる。自分で保険料を払うことになる
これらは「どれか一つを超えたら全部アウト」ではなく、それぞれ別の制度だ。一つ超えても別の壁に引っかかるわけではない。
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2026年の改正点。何がどう変わるか
今回変わるのは、所得税の「特定扶養控除」の適用範囲だ。
特定扶養控除とは、19歳以上23歳未満の子を持つ親に適用される所得税の控除で、一般の扶養控除より控除額が高く設定されている。大学進学などで教育費がかかる時期の親の負担を軽くする趣旨の制度だ。
これまでは「子の年収が103万円以下」という条件があった。2026年からは、この年齢層に限り、年収150万円以下まで親の扶養控除が適用されることになる。
月収に換算すると、12.5万円程度まで働いても親の所得税の計算に影響しなくなる。週3〜4日、フルタイムに近い働き方でも壁を意識しなくてよくなる、というイメージだ。
ここが落とし穴。130万円の壁は変わっていない
重要なので繰り返す。
今回の改正は「所得税の扶養控除」の話だ。健康保険の被扶養者要件は別の制度であり、130万円の壁はそのまま残っている。
「150万円OKと聞いたから」と一気にシフトを増やして、気づいたら健康保険の扶養を外れていた——そういうケースが出てくることは容易に想像できる。壁ごとに何の制度の話かを確認する習慣をつけてほしい。
3つの壁の現状をまとめると、こうなる。
| 壁の種類 | 対象 | 2026年以降(19〜22歳) |
|---|---|---|
| 所得税の扶養控除 | 親の税負担 | 150万円まで控除適用(改正後) |
| 健康保険の被扶養者 | 健康保険の扱い | 130万円の壁は変わらず |
| 社会保険加入 | 本人の社会保険料 | 106万円の壁は変わらず |
よくある疑問 Q&A
- Q:19〜22歳の学生以外には、この改正は関係ないですか?
- A:今回の改正は「19歳以上23歳未満」の被扶養者に限った措置です。18歳以下や23歳以上の方には適用されません。ただし、今後さらなる制度改正の可能性もあります。
- Q:130万円を超えそうなとき、職場に相談すべきですか?
- A:相談することをおすすめします。勤務先によっては年収を調整してもらえる場合もあります。ただし、会社には調整義務はありません。まずは自分で年収の見通しを計算することが先決です。
- Q:「特定扶養控除」とは何ですか?
- A:19歳以上23歳未満の子を持つ親に適用される、所得税の控除です。控除額は一般の扶養控除より高く設定されています。大学進学などで教育費がかかる時期の親の税負担を軽くする制度です。
今日やること 3つ
- 自分の年収見込みを計算する:今年1月からの給与明細を確認し、年末までの合計を出す。130万円と150万円、それぞれどの時点で超えるかを把握しておく
- 130万円と150万円の違いを親に共有する:「150万円まで働ける」は所得税の話。健康保険は130万円のままだと伝える。認識のズレが後でトラブルになる
- 勤務先の社会保険加入基準を確認する:週20時間以上・月8.8万円以上の場合、職場の規模によっては106万円の壁に注意が必要。バイト先に確認する
まとめ
- 2026年から19〜22歳の子に限り、所得税の扶養控除が年収150万円まで適用される
- ただし健康保険の被扶養者要件(130万円の壁)は変わらない
- 「150万円まで大丈夫」は所得税の話。健康保険・社会保険は別制度として確認が必要
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