「賃上げはありがたいけど、体が先に限界を迎えそうだ」——そう思っている人は、今年の春闘の動きを知ってほしい。
2026年の春闘は、賃金だけでなく「休日の増加」と「勤務時間外の連絡ルール整備」が正式な交渉テーマになった年だ。
SmartHRの2026年HRトレンドレポート(出典:SmartHR Mag.)によると、年間休日の増加や勤務時間外の連絡ルール整備が労使交渉の主要テーマになっている。一部の大企業だけの話ではない。業界全体で「働き方そのもの」が交渉のテーブルに乗り始めた。
問題は、組合のない中小企業の労働者だ。「うちには組合がないから無理」と諦めているなら、それは早まった判断かもしれない。現役の社会保険労務士として、具体的な手順を説明する。
2026年春闘で何が変わったのか
これまでの春闘といえば「ベースアップ何円」という数字の話が中心だった。
ところが2026年は違う。年間休日の増加と、時間外の業務連絡を禁止するルールの整備が、賃金と並ぶ交渉テーマになっている。
背景には二つの流れがある。
一つ目は意識の変化だ。物価上昇が続く中で賃上げへの関心が高まる一方、「給料が増えても心身を壊したら元も子もない」という声が無視できなくなってきた。二つ目は、スマートフォンによる「常時接続」問題だ。深夜でも休日でもチャットが届く状態が当たり前になり、仕事とプライベートの境界が実質的に消えつつある。その反発が、今回の動きに繋がっている。
大企業・組合がある企業ではすでに動いている。では、組合がない職場の労働者はどう動けばいいか。
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組合がなくても会社に改善を求める3つの方法
① まず就業規則を確認する
手元の材料を確かめることから始めよう。就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場では作成・周知が義務付けられている(労働基準法第89条)。つまり、法律上あなたには就業規則を見る権利がある。
確認すべきポイントは二つ。年間休日の日数と、勤務時間の定め方だ。「勤務時間外の連絡対応」について何も書かれていない会社は多い。そこが交渉の出発点になる。
② 「改善しろ」ではなく「制度の提案」という形で出す
いきなり「改善してください」と言っても、会社は動きにくい。「こういうルールを作ってはどうでしょうか」という提案の形にする方が、話し合いのテーブルに乗ってもらいやすい。
例えば「夜21時以降はチャット通知をオフにするルール」や「返信は翌営業日でよいとする合意文書」を草案として作り、上司か総務部門に提出する。会社側も「ルールがない状態」のリスク——勤務時間外の連絡対応が残業代の未払い問題につながりうること——を認識すれば、無視できなくなる場合がある。
感情論よりも、会社側にとってのリスクを冷静に示す方が効果的だ。
③ 「労働者の過半数代表者」という制度を使う
一人で声を上げても聞いてもらえない。そう感じたときに使える仕組みがある。
労働基準法では、就業規則の変更や労使協定の締結には「労働者の過半数を代表する者」の意見が必要とされている。組合がなくても、職場の過半数を代表する人を選出すれば、会社と正式に交渉できる。この代表者は、管理監督者(課長以上など)以外の労働者の中から選ぶ必要がある。
同僚に声をかけて、代表者を選んでみることを検討してほしい。
よくある疑問 Q&A
- Q: 休日に上司からLINEが来る。返信しないと怒られそうで怖い。
- A: まず、そのやり取りの記録を残してください。返信した時間・内容が証拠になります。会社にルールがなければ、その連絡対応が「労働時間」にあたる可能性があります。社労士や労働基準監督署に相談する材料になります。
- Q: 年間休日を増やしてほしいが、どう会社に言えばいいか。
- A: 同業他社や業界平均の年間休日数を調べ、「同業他社は○日ですが、当社は○日です」と事実を示すのが効果的です。感情論より数字の比較の方が会社は動きやすいです。
- Q: 提案しても無視された場合はどうするか。
- A: 労働基準監督署への相談、または都道府県の労働局が行っている「個別労働関係紛争のあっせん」制度を利用できます。無料で使える公的な仕組みです。
すぐやること 3 つ
- 就業規則を会社に請求し、年間休日数と勤務時間の規定を確認する
- 勤務時間外に届いた業務連絡の記録(スクリーンショットなど)をためておく
- 改善を求めたい内容を紙一枚に整理し、上司または総務担当者に提出する
まとめ
- 2026年春闘では、賃上げに加えて休日増加・連絡ルール整備が交渉テーマになった
- 組合がなくても、就業規則の確認・制度提案・過半数代表者の活用という手順で会社に働きかけられる
- 勤務時間外の連絡対応は「労働時間」にあたる可能性があるため、記録を残すことが重要
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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