サンリオ役員2.5億円問題、社員なら解雇?内部通報の使い方

懲戒

サンリオの常務取締役が約2.5億円の不適切な経費受給をしていた問題が話題になっています。Yahoo!ニュースによると、一般社員なら懲戒解雇レベルの不正でも、役員は報酬返納で済むという不公平さが指摘されています。

同じ会社の不正なのに、立場が違うだけで結末が変わる。釈然としない人は多いはずだ。

結論から言います。職場で不正を見つけた時、内部通報制度を正しく使えば、あなたは守られます。

現役の社会保険労務士として、このニュースから読み取れる職場での不正と内部通報について解説します。「正しい使い方」を外すと、通報した側が逆に追い込まれることもある。そこまで含めて書く。

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なぜ役員と一般社員で処分が違うのか

今回のサンリオの件では、2.5億円という巨額の不適切受給があったにも関わらず、常務取締役は報酬返納のみで済んでいます。

一方で一般社員なら、数万円の経費不正でも懲戒解雇になるケースは珍しくありません。金額の桁が4つも違うのに、重い処分を受けるのは下の立場の人間のほうだ。この逆転が、多くの人の怒りの正体だと思う。

なぜこのような差が生まれるのか。感情論ではなく、法律の構造を見ていきます。

役員と社員の法的地位の違い

答えはシンプルです。立っている土俵がそもそも違う。

役員は会社法上の「役員」であり、労働基準法でいう「労働者」ではありません。会社との関係は雇用ではなく委任契約です。だから労働法による保護を受けない代わりに、就業規則に基づく懲戒処分のルールも基本的には適用されない。

役員の処分は、株主総会や取締役会の判断に委ねられます。会社の身内が、身内の処遇を決める構図だ。報酬返納で幕引き、という判断になりやすい背景はここにあります。一方で一般社員は、就業規則に書かれた懲戒事由に沿って処分される。同じ「不正」という言葉でも、裁かれる仕組みが別物なのです。

📌 ポイント:役員と一般社員では適用される法律が違うため、同じ不正でも処分が異なる可能性があります。

一般社員の懲戒解雇基準

では、一般社員が経費不正をした場合、何で処分の重さが決まるのか。会社が好き勝手に決められるわけではありません。主に次の要素で判断されます。

  • 不正の金額・期間
  • 会社への損害の程度
  • 故意性・計画性
  • 反省の態度
  • 過去の処分歴

ここで誤解してほしくない点がある。「少額だから大丈夫」ではありません。数万円でも、故意で、しかも継続的に繰り返していたなら、懲戒解雇まで進む可能性は十分あります。裁判所が見るのは金額の大小だけではなく、会社との信頼関係を壊したかどうかだからです。

つまり、上の立場ほど軽く、下の立場ほど重い。サンリオの件で多くの人が抱いた違和感は、法律の建て付けの違いから生まれている、ということです。

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職場で不正を見つけた時の正しい対処法

では、あなたが職場で上司や同僚の不正を見つけたら、どう動けばいいのか。

ここが一番大事なところだ。動き方を間違えると、不正を告発したはずのあなたのほうが、立場を失うことすらある。

まず考えるべきこと

不正を目にした瞬間、頭に血が上るのは自然なことです。でも、感情のまま動いてはいけません。先に冷静に確かめてほしいことがあります。

  • 本当に不正なのか(自分の勘違いの可能性はないか)
  • 証拠はあるか
  • 通報することのリスクとメリット
⚠️ 注意:推測や憶測だけで通報すると、あなた自身が名誉毀損や業務妨害の責任を問われる可能性があります。

内部通報制度の活用方法

公益通報者保護法により、適切な内部通報を行った労働者は保護されます。これは正義感のある人を守るための法律だ。

ただし、誰の、どんな通報でも自動的に守られるわけではありません。保護を受けるには、おおむね次の条件を満たす必要があります。

  1. 法令違反の事実があること
  2. 不正の利益を図る目的でないこと(私怨や金銭目的ではない)
  3. 真実性があること(調査の結果として事実でなかったとしても、真実だと信じる相当の理由があればよい)

3つ目は特に覚えておいてほしい。「結果的に勘違いだったら罰せられる」のではなく、信じるだけの根拠があれば守られる、ということです。だから、思い込みで突っ走らず証拠を押さえる。それが自分を守る土台になります。

通報先は、いきなり外に出すのではなく、次の順序で検討するのが基本です。

  • 社内通報窓口(コンプライアンス室など)
  • 監督官庁(労働基準監督署、公正取引委員会など)
  • 報道機関(最終手段)
✅ やること:まず社内の通報窓口に相談し、適切な対処がされない場合に外部機関を検討しましょう。

通報者を守る法的な仕組み

「通報したら報復されるのでは」――ここで足がすくむ人は多い。当然の不安だと思う。

だからこそ法律は、通報した労働者を次のような不利益取扱いから守るしくみを用意しています。

  • 解雇
  • 降格・減給
  • 不当な配置転換
  • 嫌がらせ・いじめ

会社が「邪魔者」を追い出す典型的な手口が、ここに並んでいます。これらを通報の報復としてやることは、法律が禁じている。もし報復を受けた場合は、労働基準監督署や労働局に相談できます。泣き寝入りする必要はありません。

通報の際に注意すべきこと

守られるとはいえ、やり方が雑だと自分の首を絞めます。通報するときは、次の点を押さえてください。

  • 匿名通報が可能か確認する
  • 通報内容は事実のみを正確に伝える
  • 感情的な表現は避ける
  • 証拠となる資料があれば整理しておく

感情を込めて告発したくなる気持ちは分かる。でも、淡々と事実だけを積み上げたほうが、結果的に強い。怒りは内に置いて、紙の上では事実だけを語る。それが正しい使い方です。

⚠️ 注意:会社の機密情報を外部に漏らす場合は、守秘義務違反にならないよう慎重に判断してください。

よくある疑問 Q&A

Q: 上司の不正を通報したら、職場で居づらくなりませんか?
A: 公益通報者保護法により、通報を理由とした不利益取扱いは禁止されています。もし嫌がらせを受けた場合は、労働局に相談できます。
Q: 匿名で通報することはできますか?
A: 多くの企業では匿名通報制度があります。ただし、調査のために後日連絡が必要になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
Q: 通報したのに会社が何も対応してくれません。どうすれば?
A: 社内通報で適切な対応がない場合は、監督官庁への通報を検討してください。労働基準監督署や消費者庁など、不正の内容に応じた機関があります。

すぐやること3つ

  1. 自分の会社に内部通報制度があるか確認する
  2. 不正の疑いがある場合は、感情的にならず事実を整理する
  3. 通報前に証拠となる資料があれば、適法な範囲で保全する

まとめ

  • 役員と一般社員では適用される法律が違うため、同じ不正でも処分に差が出る
  • 職場で不正を見つけた場合は、公益通報者保護法に基づく内部通報制度を活用できる
  • 適切な手順で通報すれば、法的に保護される

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

Photo by Sebastian Herrmann on Unsplash

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