岐阜大学の50歳准教授が、約半年間の無断欠勤を理由に懲戒免職となった。このニュースが今、波紋を広げている。
結論から言う。民間企業でも、同じことは起こる。だが労働者には、簡単に踏みにじられてはならない権利がある。
出典:Yahoo!ニュースによると、准教授は大学からのメールや電話に応答せず、「正当な理由がある」と主張したが、大学側はそれを認めなかったという。
では、もしこれがあなたの職場で起きたら、どうなるのか。社労士の立場で、会社に忖度せず本音で書く。
無断欠勤による懲戒免職の法的位置づけ
「半年も無断で休んだなら、クビは当然」——そう思った人もいるだろう。でも、話はそう単純ではない。
民間企業でも、無断欠勤を理由にした懲戒解雇は確かに可能だ。ただし、会社が好き勝手にできるわけではない。法律が課したハードルがある。
懲戒解雇が有効になる条件
懲戒解雇が法的に認められるには、最低でも次の条件をクリアしている必要がある。
- 就業規則に懲戒事由が明記されている
- 労働者の行為が社会通念上相当と認められる
- 段階的処分を経ている(原則)
ここを誤解している経営者は多い。「ルール違反したんだから即クビにできる」と思い込んでいる。違う。手順を飛ばした解雇は、後から無効と判断されることがある。
「正当な理由」とは何か
准教授が主張したという「正当な理由」。これが何を指すのかを考えてみたい。
労働者が欠勤する正当な理由には、例えば次のようなものがある。
- 病気やケガによる療養
- 家族の介護
- 交通事故などの不可抗力
- うつ病などの精神的疾患
特に見落とされがちなのが、うつ病だ。
うつ病は、症状そのものとして「会社に連絡できない」状態を引き起こすことがある。布団から出られない。スマホを手に取る気力すら湧かない。本人にとっては、サボりではなく病気なのだ。
この場合、医師の診断書があれば、扱いは「無断欠勤」ではなく「病気休暇」に変わる可能性がある。同じ「休んだ」でも、法的な意味はまったく別物になる。
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会社側の対応と労働者の自衛策
会社が取るべき手順
適正な懲戒処分には、会社の側にも踏むべき順序がある。労働者だけが責められる話ではない。
- 労働者への連絡・確認
- 事情聴取の機会を与える
- 段階的処分の実施
- 最終的な懲戒解雇の検討
岐阜大学のケースでは、メールや電話で繰り返し連絡を取ろうとしていたと報じられている。
この点だけを見れば、会社側として手順を踏んだ対応といえる。連絡もせずに一方的にクビを通告するケースとは、ここが決定的に違う。
労働者が取るべき自衛策
では、立場を労働者の側に戻そう。無断欠勤による懲戒解雇から身を守るために、できることがある。
連絡で伝えるべきことは、シンプルだ。
- 欠勤の理由(病気、家庭の事情など)
- 復帰の見込み
- 医師の診察を受ける予定
うつ病などで自分から連絡できないときは、家族に代理連絡を頼む。
避けたいのは、完全な音信不通だ。これだけは絶対にやってはいけない。会社に「正当な理由なく職場を放棄した」と判断する口実を与えてしまうからだ。一本の連絡が、自分の権利を守る盾になる。
よくある疑問 Q&A
- Q: 病気で会社に連絡できない状態でも「無断欠勤」扱いされますか?
- A: 医師の診断書があり、病状により連絡不能だったことが証明できれば「無断欠勤」ではありません。ただし、可能な限り家族による代理連絡を行うべきです。
- Q: 半年間の欠勤で即座に懲戒解雇されることはありますか?
- A: 民間企業でも段階的処分の原則があります。いきなり懲戒解雇は違法となる可能性が高く、まずは戒告や減給などの処分が先行するのが一般的です。
- Q: 「正当な理由」があると会社に伝えたのに認められない場合はどうすればいいですか?
- A: 医師の診断書や客観的な証拠を用意して再度説明しましょう。それでも認められない場合は、労働基準監督署や社労士に相談することをお勧めします。
すぐやること 3つ
- 体調不良の場合は当日中に必ず会社へ連絡する(電話・メール問わず)
- 病気の場合は速やかに医師の診察を受け診断書を取得する
- 連絡が困難な状況では家族に代理連絡を依頼する
まとめ
- 無断欠勤による懲戒免職は法的に可能だが、段階的処分の原則がある
- 病気などの正当な理由があれば「無断欠勤」とはならない可能性がある
- 最も重要なのは会社への連絡を怠らないこと
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