市長が産休取得へ|あなたの産休・育休の権利を社労士が解説

育児介護

京都府八幡市の川田翔子市長(35歳)が、全国初の現職女性市長として産前産後休暇を取得すると発表しました。

出典:Yahoo!ニュースによると、今夏から産前休暇約6〜8週間と産後休暇8週間を取る方針です。

現役の社会保険労務士として、はっきり言います。これは「市長のニュース」では終わりません。あなたの産休・育休の権利に直結する話です。

  • なぜ市長の産休が「全国初」なのか
  • 会社員のあなたが法律で守られている範囲
  • 産休を実際に取りやすくする具体的な動き方

なぜ市長の産休が「全国初」なのか

結論から言います。市長は労働者ではないからです。

労働基準法65条の産前産後休業は、会社などと雇用関係がある労働者が対象です。市長は会社に雇われているわけではなく、住民の投票で選ばれた特別職。だから、そのままでは労基法の産休が適用されません。

📌 ポイント:今回は条例を準用して産休を実現しました。法的な土台がない中での前例づくりです。

これまで女性政治家は、出産と職務の両立で割を食ってきました。「休んだら職務放棄と言われる」。そんな空気が長く残っていたのです。

国会議員ですら、産休の扱いが整い始めたのはここ最近のこと。今回の一件は、どんな立場であっても、出産・育児を理由に仕事を諦める必要はないという強いメッセージになっています。

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一般労働者の産休・育休はどうなっている?

あなたが会社員なら、話はもっとシンプルです。産休・育休は、法律であなたに保障された権利だからです。

市長のケースと並べて、あなた自身の権利を確認しましょう。

産前産後休業(労働基準法65条)

項目 一般労働者 市長のケース
産前休業 出産予定日の6週間前から(多胎は14週間前から) 6〜8週間(条例準用)
産後休業 出産日の翌日から8週間 8週間(条例準用)
取得義務 産後8週間は強制休業(本人請求+医師許可で6週間経過後は就業可) 自主的な判断

産前休業は、あなたが請求すれば必ず取れます。会社に拒否権はありません。

そして産後8週間。ここは原則として働いてはいけない期間です。「人手が足りないから早く戻って」と会社が言ってきても、断って構いません。むしろ無理に働かせる会社のほうが問題です。

✅ やること:妊娠がわかったら、早めに会社へ報告し、産休の申請手続きと提出書類を確認しましょう。

育児休業(育児介護休業法)

市長には育休の法的根拠がありません。でも、会社員のあなたには整った制度があります。

  • 期間:原則、子が1歳になるまで(保育園に入れない等の事情があれば2歳まで延長可能)
  • 対象:男女問わず取得できる
  • 産後パパ育休(出生時育児休業):子の出生後8週間以内に、4週間まで取得可能
  • 分割取得:育休は2回に分けて取れる(2022年改正)

育休中は、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。

金額はこうです。最初の180日が休業前賃金の67%。その後は50%。さらに、給付金は非課税で、育休中は社会保険料も免除されます。手取りベースで見ると、思っているより目減りしません。

産休を取りやすい環境をつくるには

市長の産休は、社会全体の理解を一段進めるきっかけになります。とはいえ、制度があっても職場の空気が壁になる。これが現実です。

では、どう動くか。会社側と労働者側、両方の視点で見ていきます。

会社側に必要な準備

  • 業務の引き継ぎ体制:代替要員の確保、業務分担の見直し
  • 制度の周知:産休・育休の手続きをわかりやすく説明する
  • 復帰支援:復職時のフォロー、時短勤務制度の用意
⚠️ 注意:「代わりがいない」を理由に産休を拒否することはできません。代替要員の確保や業務調整は、会社が負うべき責任です。

労働者として知っておくべきこと

大前提を一つ。産休・育休は権利です。お願いではありません。だから、後ろめたく思う必要はありません。

ただ、円滑に取るための工夫はあります。権利を主張することと、現場を回す段取りは別の話だからです。

  • 早めの相談:妊娠がわかったら、できるだけ早く上司へ報告する
  • 引き継ぎ計画:誰が何を引き継ぐか、スケジュールを紙に落とす
  • 復帰意思の共有:復職予定の時期を事前に伝えておく

段取りは、あなたが折れるためではありません。「休む権利」と「戻ってくる場所」を両方守るための準備です。

よくある疑問 Q&A

Q: 会社から「産休は取らないで」と言われました。従わなければいけませんか?
A: 従う必要はありません。産休は法律で保障された権利です。取得を妨げる発言や不利益な扱いは違法になり得ます。証拠を残したうえで、労働基準監督署に相談してください。
Q: 産休中の給与はどうなりますか?
A: 会社に給与の支払い義務はありません。代わりに、健康保険から出産手当金(標準報酬日額の3分の2、おおむね賃金の約67%)が支給されます。さらに出産育児一時金(原則50万円)も受け取れます。
Q: 産休後に復職できるか不安です。
A: 法律上、産休・育休後の復職は保障されています。会社は原則として元の職務、または同等の職務へ復帰させる義務があります。産休・育休を理由とした降格や不利益な配置転換は禁止されています。

すぐやること 3つ

  1. 就業規則をチェック:あなたの会社の産休・育休制度を確認する
  2. 健康保険組合に問い合わせ:出産手当金・出産育児一時金の申請方法を確認する
  3. 上司との面談:妊娠・出産について早めに相談する場をつくる

まとめ

  • 市長の産休取得は、社会全体で出産・育児への理解を進める一歩
  • 会社員の産休・育休は法律で保障された権利。遠慮はいらない
  • 円滑な取得のカギは、早めの相談と計画的な段取り

※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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