子育てと仕事の両立で、勤務時間を短くしたいと考えている方はいませんか。
「もう少しだけ短くしてほしいけど、会社に言えるのかな…」と不安に感じている方へ。
会社が認めれば、1日5時間勤務は法律上も可能です。
育児短時間勤務の仕組みと、使う前に必ず知っておくべきポイントを解説します。
この記事では、「原則6時間」という言葉の正しい意味、5時間勤務を希望したときの会社の対応、そして制度を使う前に確認すべきポイントを順に説明します。
育児短時間勤務制度とは 労働者の権利をおさえよう
育児・介護休業法23条1項は、3歳未満の子を育てている社員が申し出た場合、会社に所定労働時間を短縮する義務を課しています。育児休業が終わった後も、法律が「働き続ける権利」を守ってくれているということです。
この制度、実は「6時間ちょうどに設定しなければならない」わけではありません。
「原則6時間」は、法律上の最長労働時間(1日8時間)から2時間を差し引いた基準点です。つまり会社の所定労働時間が8時間より短ければ、短縮後の時間もそれに応じて変わります。
5時間勤務を希望できる?できない場合の条件も確認
6時間未満は「会社の判断」に委ねられている
法律は短縮後の労働時間に「下限(最低何時間以上にしなければならない)」を定めていません。そのため、5時間勤務も法律上は問題ありません。ただし、6時間を下回るかどうかは会社が就業規則や労使の取り決めで決めることができます。
現在の勤務時間が6時間以下の方は注意が必要
育児短時間勤務を申し出られるのは、現在の所定労働時間が6時間を超えている社員に限られます。すでに1日6時間以下で働いている場合、会社に法的な対応義務はありません。パートや短時間契約の方はまず自分の所定労働時間を確認してみましょう。
制度を使う前に確認しておくこと
社会保険への影響を必ず確認する
労働時間が変わると、社会保険の加入条件も変わる場合があります。
2024年10月以降、従業員51人以上の会社では週20時間以上で社会保険に加入できます。1日5時間×週5日なら週25時間なので、この基準を満たしています。
注意が必要なのは、従業員50人以下の会社で働いている場合です。週の所定労働時間と労働日数が正社員の4分の3を下回ると、社会保険の対象外になる可能性があります。社会保険を外れると、将来の年金や傷病手当金に影響が出ます。
【実践メモ】
「時短後も社会保険に加入し続けられますか?」と人事担当者にメールで質問しておきましょう。口頭だけのやり取りは後でトラブルになりやすいです。文書や返信メールで回答をもらうのがベストです。
休憩時間の扱いを事前に取り決めておく
労働基準法34条は、1日6時間を超えるときに休憩を与えるよう定めています。1日5時間の勤務では、会社に休憩を与える法的な義務がありません。つまり「昼休みなし」でも、法律上は違反にならないということです。
他の社員が昼食休憩を取る中で自分だけ業務を続ける状態が続くと、体力的・精神的な負荷になる可能性があります。他の社員と同じタイミングで休憩が取れるかどうか、制度を使う前に確認しておくと安心です。
よくある疑問
- 育児短時間勤務は子どもが何歳まで使えますか?
- 法律上は3歳未満の子を養育している間が対象です。ただし会社が就業規則で小学校入学前まで認めているケースもあります。まず自社の規程を確認しましょう。
- 5時間勤務を希望したら断られました。どうすればいいですか?
- 6時間未満は会社の裁量範囲なので断られること自体は違法ではありません。ただし6時間への短縮は会社の義務です。「6時間も認められない」場合は、都道府県の労働局への相談を検討しましょう。
- 時短勤務中の給与はどうなりますか?
- 原則として実際に働いた時間分の賃金が支払われます。8時間から5時間になれば、その比率に応じて給与も下がります。家計への影響は事前に確認しておくと安心です。
- 所定労働時間がすでに6時間以下ですが、さらに短縮できますか?
- 法律上、会社に義務はありません。ただし会社が自主的に認めることはあります。「育児を理由に短縮したい」という事情をきちんと伝えて相談してみましょう。
チェックリスト
| 確認項目 | チェック |
|---|---|
| 会社の育児短時間勤務規程を確認した | □ |
| 現在の所定労働時間が6時間超であることを確認した | □ |
| 時短後の社会保険加入の可否を人事に書面で確認した | □ |
| 昼休憩の扱いについて書面で確認した | □ |
| 希望する開始日・終了予定日・希望労働時間をまとめた | □ |
今日からできること
まず、会社の「育児短時間勤務規程」を入手して読みましょう。自分の希望する勤務時間が規程の範囲内かどうかを確認してください。
次に、人事に「社会保険の継続加入」と「休憩の扱い」をメールで確認しましょう。口頭ではなく書面で回答をもらうことで、後のトラブルを防げます。
希望する勤務時間・開始日・その理由を1枚のメモにまとめておきましょう。人事や上司への相談をスムーズに進めるための準備になります。
まとめ
3歳未満の子を育てている社員には、育児短時間勤務を申し出る権利があります(育児・介護休業法23条1項・同法施行規則74条1項)。「原則6時間」は最低ラインではなく基準点であり、5時間勤務も会社次第で認められます。現在の所定労働時間が6時間以下の場合、会社に義務はありませんが相談する価値はあります。
制度を使う前に「社会保険の継続加入」と「休憩の扱い」を必ず書面で確認しましょう(労基法第34条)。会社とのやり取りは口頭だけでなく、メールや書面で記録を残すことが大切です。制度を正しく理解することで、育児と仕事を両立するための選択肢を広げることができます。
※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
