日経平均7万円でも給料が上がらない?社労士が解説

賃金・待遇

日経平均株価が初めて7万円台をつけた。
職場の同僚と「株が上がったね」と話した。
でも、自分の給与明細は変わっていない。

「株高なのになぜ給料が上がらないのか」——今、多くの労働者が感じている疑問です。

現役社会保険労務士の立場から、その構造と対処法を解説します。
2026年の春闘データをもとに、具体的に説明していきます。

  • 株価と賃金がリンクしない本当の理由
  • 「賃上げ5%」でも手取りが減るカラクリ
  • 賃上げを会社に求める具体的な方法

株高でも給料が増えない、3つの理由

日経平均が71,053円の最高値をつけた。
出典:Yahoo!ニュース
でも、これは「株を持っている人が儲かった」という話だ。

労働者の賃金とは、直接つながっていない。
なぜか。3つの理由がある。

理由1:株の利益は配当と内部留保に回る

会社の株価が上がっても、
そのお金は従業員の給料に自動的には回らない。

株主への配当が優先される。
または「内部留保」として会社の貯金になる。
これが現実だ。

📌 ポイント:株価上昇の恩恵は、まず株主に届く。労働者への分配は、労使交渉か制度改正がなければ起きない。

理由2:賃上げ5%でも手取りは増えていない

2026年春闘の賃上げ率は5.26%だった。
3年連続で5%を超えている。

それでも、実質賃金は4年連続マイナスだ。

答えはシンプルだ。

  • 物価上昇が賃上げを上回っている
  • 社会保険料の負担が増え続けている
  • 2026年から子ども・子育て支援金の徴収が始まった

給料の額面は増えても、
手元に残るお金は増えていない。

⚠️ 注意:「賃上げ5.26%」は大企業中心の数字だ。中小企業では賃上げが届いていないケースも多い。自分の会社の状況を確認してほしい。

理由3:会社の賃上げは「防衛的」だ

帝国データバンクの2026年調査によると、
会社が賃上げする一番の理由は「人材確保」だ。

つまり「儲かったから上げる」ではない。
「辞められたら困るから上げる」という発想だ。

景気が良くなっても、
会社側が自発的に賃上げする動機は薄い。
労働者が動かないと、給料は上がらない。

賃上げを会社に求める3つの方法

社労士として言う。
賃上げを「お願い」するだけでは動かない。
仕組みとロジックで交渉することが大切だ。

方法1:「市場価値」を数字で示す

転職サイトで同職種の賃金相場を調べる。
「同じ仕事でこれだけの水準がある」と伝える。

感情論ではなく、市場の数字を使う。
これが最も説得力がある。

✅ やること:Indeed・dodaなどで自分の職種・経験年数を検索してみよう。相場より低ければ、それが交渉の根拠になる。

方法2:労働組合・ユニオンを使う

会社に労働組合があれば、積極的に活用してほしい。
個人で交渉するより、組合を通じた方が効果的だ。

組合がない場合は、個人でも加入できる
「ユニオン(合同労組)」という選択肢がある。

1人では声が届きにくくても、
組合を通せば会社は無視できない。

方法3:賃金制度の透明化を求める

「どうすれば給料が上がるのか」がわからない会社は多い。
賃金制度・等級制度の内容を確認する権利は労働者にある。

2024年4月から労働条件明示ルールが改正された。
就業場所・業務の変更範囲の明示も義務化された。
賃金の根拠を聞くことは、正当な権利行使だ。

📌 ポイント:就業規則・賃金規程は労働者に閲覧させる義務が会社にある(労基法106条)。見せてもらえない場合は、労働基準監督署に相談できる。

よくある疑問 Q&A

Q: 賃上げを求めたら不利益な扱いを受けませんか?
A: 賃上げ要求を理由とした不利益取扱いは違法です。ただし交渉の仕方は重要です。データと根拠を示した冷静な交渉を心がけましょう。記録(メモ・メール)も残しておくと安心です。
Q: 中小企業でも賃上げは可能ですか?
A: 可能です。賃上げを行った中小企業向けに「賃上げ促進税制」があります。会社側がこの制度を知らないケースもあるため、一緒に確認することも一つの方法です。
Q: 転職と交渉、どちらを選ぶべきですか?
A: どちらかに絞る必要はありません。転職活動をしながら社内交渉をすることで、市場価値の把握と交渉材料の両方が得られます。選択肢を広げることが大切です。

すぐやること 3 つ

  1. 転職サイトで自分の市場価値を調べる
    同職種・経験年数で相場を検索し、現在の給与と比較する。
  2. 直近3ヶ月の給与明細を並べて確認する
    社会保険料・住民税の天引き額が増えていないか確認する。手取りの変化を把握することが交渉の出発点になる。
  3. 会社の就業規則・賃金規程を読む
    閲覧できない場合は会社に請求する権利がある。昇給の条件が明記されているか確認しよう。

まとめ

  • 日経平均7万円は「株主の利益」。労働者の給料とは直接リンクしない。
  • 賃上げ率5%超でも、物価・社会保険料の上昇で実質賃金は4年連続マイナスだ。
  • 給料を上げるには、市場価値の把握→根拠ある交渉→組合の活用が有効だ。

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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