うつ病で復職後また再発|休職はもう一度取れる?

うつ病や適応障害が、せっかく復職したのにまたぶり返した。「もう一度休めるのか」「前にも休んだから無理と言われるのでは」と不安になっている人へ。

結論から言う。就業規則に制限の規定がなければ、もう一度フル期間の休職を取れる。それはあなたの権利だ。

この記事では、就業規則のどこを見ればいいのか、会社が後から「今回は短い」「もう使えない」と言ってきたときにどう反論するのかを、現役の社会保険労務士として具体的に書く。

私傷病休職制度とあなたの権利、通算規定や回数制限がない場合に何が起きるか、そして会社が後から制限を加えようとしてきたときの対処法。この順で見ていく。

「もう一度休職したい」は正当な権利

記事関連画像

うつ病や適応障害は、いったん回復して職場に戻っても、また調子を崩すことがある。めずらしいことではない。まず確認すべきは、自分の会社の就業規則だ。会社に私傷病休職制度が設けられているなら、そこに書かれた要件を満たせば休職を申請できる。これは会社のさじ加減ではない。規則に基づくあなたの権利だ。

📌 ポイント:私傷病休職制度は、法律で会社に義務づけられた制度ではありません。ただし、就業規則に設けられている以上、会社はその内容に従う義務を負います。

「再発だから」「前も休んだから」。それだけでは、会社が申請を拒む根拠にはならない。

就業規則に「通算規定」「回数制限」がない場合

記事関連画像

就業規則に「前回の休職期間を今回に通算する」「同一傷病による休職は○回限りとする」といった制限の文言がないなら、再発しても規定の最長期間いっぱいまで、もう一度休職を取れる。会社が「前回も休んだから今回は短くなる」と言ってくることがある。でも、就業規則にその根拠がなければ、その主張に法的な効力はない。口で言われただけだ。

✅ やること:就業規則の「私傷病休職」の項目を開いてください。「通算」「回数」「同一傷病」といった文言がないか確認することが出発点です。

【実践メモ】

就業規則は労働者が閲覧を求める権利があります(労働基準法第106条)。コピーの交付を求めることもできます。手元に紙またはデータで保存しておきましょう。

会社が後から「制限を加えようとする」場合

記事関連画像

ここからが本番だ。会社が就業規則を改正して「今後は同一傷病での休職は2回まで」といった制限規定を後から追加してくるケースがある。これは労働者にとっての不利益変更にあたる。

労働契約法第9条は、原則として労働者の同意なく就業規則を不利益に変更することを禁じている。第10条では、変更に合理的な理由があり、かつ適切な周知がなされた場合に限って、例外的に有効になると定めている。逆に言えば、その条件を満たさない一方的な改悪は通らない。

⚠️ 注意:「就業規則を変えたから、今回の休職はできない」と突然言われても、不利益変更が有効な手続きを踏んでいるか、慎重に確認する必要があります。

就業規則の不利益変更が有効かどうか。裁判所はここを厳しく見る。第四銀行事件(最高裁平成9年2月28日判決)では、就業規則の変更が労働者に不利益をもたらす場合、その変更に合理性があるかが厳密に問われるという考え方が示された。つまり、会社が一方的に休職期間を削ったり回数を制限したりしても、それだけでは効力は認められない。そういうことだ。

【実践メモ】

就業規則の変更を通知された場合は、変更前後の内容を印刷または保存してください。「いつ変更されたか」「自分が休職要件を満たしたのはいつか」が後に重要な証拠になります。変更前に休職要件を満たしていた場合は、旧規則の適用を主張できる余地があります。

今すぐ確認すべき就業規則のポイント

再発した、または再発しそうなら、まず就業規則を手元に用意してほしい。見るべきところは決まっている。

休職期間は何か月か

最長で何か月の休職が認められているかを確認する。「前回と同じ期間が取れるか」を判断する基準になる。

「通算規定」の有無

「復職後○か月以内に再発した場合は前回の期間を差し引く」という文言がないかを見る。この記載がなければ、期間はリセットされると主張できる。

「利用回数制限」の有無

「同一傷病による休職は○回まで」という記載がないかを見る。この記載がなければ、回数を理由に申請を断られても反論できる。

📌 ポイント:就業規則は書面または電子データで交付を求めることができます。もし閲覧を拒否された場合は労働基準監督署に相談できます。

よくある疑問

うつ病が再発しました。前回と同じ期間、休職できますか?
就業規則に通算規定や回数制限の記載がなければ、再度フルの休職期間を取れます。まず規則を確認してください。
会社から「前回の休職があるから今回は期間が短い」と言われました。
就業規則にその根拠となる規定がなければ、会社の主張には法的な根拠がありません。就業規則の該当箇所を示して、根拠を確認するよう求めてください。
就業規則が最近変わったようで、新しいルールでは休職回数が制限されています。
変更が不利益変更にあたる場合、合理的な理由と適切な手続きがなければ無効となる可能性があります(労働契約法第9条・第10条)。変更の経緯と手続きを確認し、必要であれば社労士や弁護士に相談してください。
就業規則を見せてもらえません。どうすればいいですか?
労働基準法第106条により、会社は就業規則を労働者に周知する義務があります。見せてもらえない場合は、労働基準監督署への申告を検討してください。

チェックリスト

確認項目 チェック
就業規則に私傷病休職の規定があるか
休職の最長期間(何か月か)を把握しているか
就業規則に「通算規定」の文言がないか確認したか
就業規則に「利用回数制限」の文言がないか確認したか
就業規則のコピーを手元に保管しているか
主治医の診断書を準備しているか
就業規則が最近変更された場合、変更前後の内容を保存しているか

今日からできること

まず、就業規則の「私傷病休職」の項目を開く。通算・回数制限の文言があるかないか、ここを確認する。

次に、その就業規則を書面またはデータで手元に保存する。後で「言った・言わない」にしないためだ。

そして、主治医に「就労不能」の診断書を準備してもらい、休職申請の準備を整えておく。動けるうちに動いておく。

まとめ

うつ病・適応障害が再発しても、就業規則に通算規定や回数制限がなければ、もう一度フル期間の休職を取れる。「前回休んだから」という口頭の説明は、就業規則の根拠がなければ会社側の主張として通らない。会社が後から不利益な制限を加えようとしてきた場合は、労働契約法第9条・第10条に照らして、その変更が本当に有効なのかを確認できる。

就業規則のコピーを手元に持ち、自分の目で中身を確認する。それが、自分の権利を守る第一歩だ。疑問があれば、社労士や弁護士、または労働基準監督署に相談してほしい。一人で抱え込まなくていい。

※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました