円安で実質賃金が減る?社労士が教える対策

副業・兼業

2026年6月22日のニューヨーク外国為替市場で、円は1ドル=161円93銭まで下落しました。
1986年12月以来、約39年半ぶりの円安水準です。
調査では88.2%が「為替変動が生活に非常に影響がある」と回答しています。
出典:Yahoo!ニュース

物価は上がっているのに、手取りの実感は変わらない。
それが今、多くの労働者が感じている現実です。

現役の社会保険労務士として、この状況をどう読み解き、何をすべきかを解説します。

  • なぜ実質賃金が目減りするのか
  • 会社に賃上げを求める現実的な手順
  • 転職・副業という「もう一つの対抗策」

なぜ実質賃金は減り続けるのか

「賃金は上がっていません」という人は多い。
ただ、実は名目賃金は少しずつ上がっています。
問題は、物価の上昇スピードが賃金を上回っていることです。

📌 ポイント:実質賃金=名目賃金÷物価水準です。物価が5%上がって賃金が2%しか上がらなければ、実質的には3%の賃下げになります。

円安が続くと輸入品の値段が上がります。
食品、エネルギー、日用品——どれも海外からの調達が多い。
円安は、あなたのスーパーのカゴを直撃するのです。

1ドル161円台という数字は、一見「為替の話」に見えます。
でも、毎日の買い物コストに直結しています。
そこを押さえると、対策が立てやすくなります。

会社側の事情も理解しておきましょう。
中小企業は、コスト高でそもそも利益が出ていないケースもあります。
「賃上げしたくてもできない」企業が多いのも事実です。
だからこそ、戦略的に動くことが大切です。

会社に賃上げを求める現実的な手順

「賃上げを要求したい。でも、言っても無駄では」と思っていませんか。
諦める前に、少し整理しましょう。

✅ やること:賃上げ交渉の前に「自分の市場価値」を調べましょう。転職サイトで同職種・同経験年数の給与相場を確認し、数字で武装してから交渉します。

賃上げ交渉には根拠が必要です。
「物価が上がったから」だけでは、会社側は動きにくい。
「市場水準より低い」という事実を示すのが一番効きます。

労働基準法では、賃金の決定は労使合意が基本です。
労使合意とは、労働者と会社が話し合って決めること。
つまり、あなたには賃金について交渉する権利があるのです。

会社に労働組合があれば、組合を通じた交渉が有効です。
組合がない場合は、個人加盟できる「合同労組(ユニオン)」があります。
一人では言い出しにくいときの、心強い味方です。

⚠️ 注意:賃上げ交渉を理由に不利益な扱いをすることは、会社側に許されていません。交渉の記録(メール・面談メモ)は必ず手元に保存しておきましょう。

転職・副業という「もう一つの選択肢」

会社が変わらないなら、自分が動く。
これも立派な対抗策です。

転職市場では今、人手不足を背景に給与水準が上がっている業界があります。
IT・製造・医療介護・物流——採用ニーズが高い分野です。
在職中に転職活動を始めることがリスク最小化の鉄則です。

副業も一つの手です。
ただし、就業規則で副業を禁止している会社もあります。
始める前に、まず自分の会社のルールを確認してください。

📌 ポイント:副業・兼業をする場合、複数の会社での労働時間は通算されます。残業代や健康保険などの保護も、一定の条件で適用されます。始める前に確認しておきましょう。

今すぐ転職・副業しなくていい。
でも「選択肢を持っている」だけで、交渉の強さが変わります。
情報収集だけでも、今日から始める価値があります。

よくある疑問 Q&A

Q: 賃上げ交渉を断られたら、どうすればいいですか?
A: まず理由を確認しましょう。「業績が悪い」「評価基準を満たしていない」など理由が明確なら、次の交渉ポイントが見えてきます。理由なく断られ続けるなら、都道府県の労働相談センターや合同労組への相談も選択肢です。一人で抱え込まないでください。
Q: 物価高を理由に「物価手当」を会社に求めることはできますか?
A: 法律上の義務はありませんが、交渉は可能です。家族手当・物価手当など名目は問いません。「同業他社での支給事例」を調べて提示すると、会社側も検討しやすくなります。
Q: 今の会社を辞めずに収入を増やす方法はありますか?
A: 資格取得による手当増・社内公募制度の活用・職種転換などが考えられます。まず人事担当者に「収入アップの方法を教えてほしい」と率直に聞くのが、意外に近道です。

すぐやること 3つ

  1. 自分の「市場価値」を調べる——転職サイトに登録して、同職種・同経験年数の求人給与を確認する(無料・登録だけでOK)
  2. 給与明細と家計を見直す——「名目賃金は変わっていないのに生活が苦しい」という感覚を数字で確かめる。物価上昇分の赤字額が分かると、交渉の根拠になります
  3. 就業規則を確認する——賃上げ交渉の手順・副業禁止の有無を把握しておく(会社は社員に就業規則を見せる義務があります)

まとめ

  • 1ドル=161円台の円安は輸入物価を通じて実質賃金を直撃している。「為替の話」ではなく、あなたの生活費の問題です
  • 賃上げ交渉には「市場相場データ」という根拠が必要。労働者には交渉する権利があり、記録を残すことで身を守れる
  • 転職・副業はすぐ動かなくていい。選択肢を持つだけで交渉力が変わる。まず情報収集から始めましょう

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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