「育休中に副業をしたい。でも給付金が減らないか心配……」
この悩み、実は多くの方が育休に入るタイミングで直面します。収入が67%に下がる育休期間だからこそ、副業で少しでも補いたいと考えるのは自然なことです。
結論から言います。育休中の副業は可能です。ただし、2つのラインを越えると給付金が大幅に減るか、全額止まります。
現役社会保険労務士として、この仕組みを正確に整理します。「なんとなく大丈夫だろう」で始めて後から返還を求められた、というケースは避けたい。そのための記事です。
なお、本記事は出典:Money Forward BIZ「育休中の副業と育児休業給付金の関係」の話題をもとに、社労士の立場から独自に解説したものです。
給付金が減る・止まる2つのライン
育児休業給付金が変わるのは、副業収入の額そのものではありません。「就労日数」と「賃金額」の2つが判断基準になっています。ここを誤解している方が多い。
ライン①:就労日数が月10日を超えると全額不支給
育休中に働ける日数には上限があります。
1ヶ月の就労日数が10日を超えると、その月の給付金は支給されません。
「10日以下であれば無条件にOK」ではなく、就労時間が80時間以下であることも条件として課されています。どちらか一方を満たせばよい、という関係です。
副業でこなした作業日数も、本業の育休中の就労日数と合算されます。「副業は別カウント」という思い込みは危険です。
ライン②:賃金と給付金の合計が育休前賃金の80%を超えると全額不支給
育児休業給付金の給付率は、育休開始から180日までは67%、それ以降は50%です。
この期間に就労して賃金を得ると、給付金と賃金の合計が育休前賃金の80%を超えた部分は、給付金から差し引かれます。
合計が育休前賃金の80%以上に達した場合は、その月の給付金が全額不支給になります。
たとえば育休前の月給が30万円だとすると、80%ラインは24万円。給付金(67%なら約20万円)に副業収入を加えた合計が24万円を超えると、超えた分が給付金から削られます。4万円を超えた瞬間から全額ゼロです。数字で見ると、余裕がそれほどないことが分かります。
ライン③:副業先で雇用保険に加入した場合は別の手続きが必要
フリーランスや業務委託の副業であれば、雇用保険との関係はありません。
ただし副業先でアルバイトとして採用される場合、条件によっては副業先でも雇用保険に加入することになります。
その場合、副業先でも育児休業の申請が必要になる可能性があります。育休中であることを副業先に伝えずに働き始めると、後から手続きが複雑になります。事前に副業先へ状況を説明しておくのが現実的な対処法です。
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税金の話:給付金と副業収入は別物として扱われる
副業収入が年間20万円を超えると、確定申告が必要になります。育休中でも例外ではありません。
育児休業給付金は非課税所得です。所得税はかかりません。一方、副業収入(業務委託・フリーランス等)は課税所得になります。
つまり、給付金と副業収入は税務上まったく別物として扱われます。
もう一点、見落とされがちな話があります。住民税は翌年の課税に影響します。育休が明けて復職した後の住民税が、副業収入の分だけ想定より高くなることがある。復職後の家計を組む際に頭に入れておくと安心です。
よくある疑問 Q&A
- Q: 育休中に副業をすることを会社に報告する必要はありますか?
- A: 法律上の義務はありませんが、就業規則で副業を制限している会社もあります。まず就業規則を確認し、副業が認められているかを確かめましょう。無断で行うと後でトラブルになる可能性があります。
- Q: 育休中に副業をしたことをハローワークに申告しなかったらどうなりますか?
- A: 育児休業給付金の申請は事業主(会社)を通じて行います。就労日数や賃金は事業主が報告する仕組みです。虚偽の申告は不正受給になり、給付金の返還を求められるリスクがあります。正直に申告することが最善です。
- Q: クラウドソーシングや原稿料など単発の仕事は就労日数に含まれますか?
- A: 原則として、実際に作業した日数が就労日数として計算されます。ただし業務委託の場合は計算が複雑になることがあります。不安な場合はハローワークや社労士に確認することをお勧めします。
始める前にやること2つ
- 自分の育休前賃金を確認する
育児休業給付金の計算基礎となる「休業開始時賃金日額」を確認しましょう。会社から受け取った書類か、ハローワークの決定通知書に記載されています。この数字が分かれば、80%ラインが具体的な金額で見えてきます。 - 副業の形態と収入見込みをシミュレーションする
フリーランス・業務委託・アルバイトなど、副業の形態によってルールが変わります。月の就労日数・賃金がどうなるかを数字で確認してから始めましょう。「なんとなく少額だから大丈夫」は危ない。
まとめ
- 育休中の副業で給付金が減るのは「就労日数が月10日超」または「賃金と給付金の合計が育休前賃金の80%超」の場合
- 育児休業給付金は非課税。副業収入は課税対象で、年間20万円超なら確定申告が必要
- 副業の形態(業務委託・アルバイト)によってルールが異なるため、事前の確認が不可欠
- 復職後の住民税にも影響が出るため、育休中から記録をつけておくと安心
※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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