職場の熱中症は労災になる?会社の義務と権利を解説

労働契約・就業規則

2026年6月21日、三重県尾鷲市で猛暑日(35℃以上)が観測されました。
出典:Yahoo!ニュース(tenki.jp)
さらに7月は関東〜九州で「猛烈な暑さ」の予報が出ています。
今年の夏、職場での熱中症リスクは見逃せません。

結論から言います。職場の熱中症対策は、会社の法的義務です。
我慢する必要はありません。
現役社労士として、労働者が知っておくべき権利を解説します。

会社には熱中症を防ぐ「法的義務」がある

根拠となる法律は2つあります。

1つ目は労働契約法第5条(安全配慮義務)
会社は労働者の生命と健康を守らなければなりません。
暑さ対策を怠ることは、この義務への違反です。

2つ目は労働安全衛生法第65条(作業環境管理)
職場環境を安全に保つことを義務付けた条文です。
気温管理もこの「環境管理」に含まれます。

📌 ポイント:厚生労働省は「WBGT(湿球黒球温度)指数」での管理を推奨しています。WBGT28℃以上は「厳重警戒」レベル。会社はこの指数を計測・把握し、具体的な対策を講じる義務があります。

会社が実施すべき対策はこちらです。

  • 冷房設備の整備または休憩スペースの確保
  • 水・塩分・スポーツドリンクの積極的な提供
  • 暑熱順化期間の設定(体を暑さに慣れさせる期間)
  • 緊急時の連絡体制と応急処置の準備

「うちは中小企業だから」は言い訳になりません。
企業規模を問わず、すべての会社に義務があります。

⚠️ 注意:「暑いのは仕方ない」「根性で乗り越えろ」は安全配慮義務違反の可能性があります。一方で、労働者側も体調の変化を会社に申告する必要があります。互いに声を上げることが大切です。

仕事中に熱中症になったら「労災」になる

仕事中に熱中症で倒れた。
これは労働災害(労災)として認定される可能性があります。

認定の条件はシンプルです。
「業務上の暑熱環境が原因で発症したこと」。これだけです。

屋外の炎天下作業はもちろん対象です。
空調のない倉庫・工場・厨房での作業も含まれます。

労災が認定されると、次の補償が受けられます。

  • 治療費は全額補償(療養補償給付)
  • 休業4日目から給付金が支給(給付基礎日額の80%相当)
  • 休業1〜3日目は会社が平均賃金の60%を補償する義務あり
✅ やること:職場で具合が悪くなったら必ず記録してください。日時・場所・症状・目撃者のメモが、労災申請の証拠になります。申請先は労働基準監督署です。会社を経由せず、直接申請できます。

よくある疑問 Q&A

Q: 熱中症で休んでも、賃金は出ますか?
A: 労災認定されれば、休業補償給付として休業4日目から給付金が出ます(給付基礎日額の80%相当)。最初の3日間は会社が平均賃金の6割を支払う義務があります。
Q: 「水を飲んでいいか確認を取れ」と言われています。おかしくないですか?
A: おかしいです。熱中症予防のための水分補給は労働者の権利です。会社は積極的に水分補給を促す義務があります。許可制にすることは安全配慮義務違反の恐れがあります。
Q: 熱中症の症状が出たとき、仕事を中断してもいいですか?
A: 中断してください。頭痛・めまい・気分の悪さは熱中症の初期症状です。安全配慮義務のもと、体調不良を申告し涼しい場所で休む権利があります。

すぐやること 2つ

  1. 今日から体調の変化を記録する。
    日時・症状・作業場所をスマホのメモに残してください。
    万一のとき、労災申請の証拠になります。
  2. 職場の温度・WBGT値を確認する。
    スマートフォンの天気アプリで暑さ指数を確認できます。
    WBGT28℃以上なら、会社に対策を求める根拠になります。

次のステップ

パワハラの相談先・相談の進め方はこちらの記事で詳しく解説しています

パワハラ相談先はどこがベスト?社労士が教える正しい相談順序 »

まとめ

  • 職場の熱中症対策は安全配慮義務として会社の法的義務(規模を問わず適用)
  • 仕事中の熱中症は労災認定の対象になり、治療費・給付金が受けられる
  • 体調が悪いときに休むのは権利。記録を残しつつ、遠慮せず申告することが大切

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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