「うちの会社には育休制度がない」——そう言われて、黙って引き下がった方はいませんか?
断言します。就業規則に育休の規定がなくても、育休は取れます。
現役社会保険労務士として、なぜ会社の言い分が通らないのか、どう動けばいいのかを解説します。
今回のテーマの参考情報:出典:Money Forward BizHint
育休は「会社が与える」ものではない
育児休業は、会社の善意でもらうものではありません。
育児・介護休業法という国の法律によって、労働者に保障された権利です。就業規則に書かれていようと書かれていまいと、その権利は消えない。
「制度がないから取れない」——これは法律の誤解か、意図的な隠蔽かのどちらかです。いずれにせよ、泣き寝入りする理由にはなりません。
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会社が「育休はない」と言う、本当の理由
現場ではこんな言葉がよく飛び出します。
- 「小さい会社だから制度が整っていない」
- 「前例がないから難しい」
- 「あなたが抜けると業務が回らない」
これらは、育休を断る法的な根拠になりません。どれ一つとして。
ただ、会社側の苦しさを全否定するのも公平ではないと思います。社員が一人抜けたとき、小規模な職場の負担は確かに重くなる。その困惑は理解できます。
でも、困惑は「拒否の理由」にはならない。そこははっきり分けて考えてください。
「育休はない」と言われたときの対処法3ステップ
では、実際に断られたらどう動くか。順番に動けば、ほとんどのケースは解決します。
ステップ1:法律の話を会社に伝える
まず感情的にならず、事実だけを伝えます。
「育児・介護休業法第5条により、育休は法律上の権利です。就業規則の有無は関係ないと理解しています」——穏やかに、しかしはっきりと。
このとき、口頭だけで終わらせないことが重要です。メールや書面で記録を残してください。「言った・言わない」の水掛け論を防ぐためです。
ステップ2:都道府県労働局に相談する
会社が応じない場合は、公的機関の出番です。
都道府県労働局の「雇用環境・均等部(室)」が窓口で、育児・介護休業法に関する相談を無料で受け付けています。一人で抱え込まず、早めに動いてください。
ステップ3:社労士や弁護士に相談する
会社との関係が悪化している、状況が複雑だ——そう感じたら、専門家に頼ることをためらわないでください。社労士は育児・介護休業法の専門家です。個別の事情に応じたアドバイスができます。
よくある疑問 Q&A
- Q: パートやアルバイトも育休は取れますか?
- A: 取れます。ただし条件があります。①同じ会社に1年以上継続して雇用されていること、②子どもが1歳6ヶ月になるまでの間に契約が満了しないことが見込まれること、の2点です。2022年の法改正で有期雇用労働者の育休取得要件は緩和されました。
- Q: 育休中の給与はどうなりますか?
- A: 会社からの給与は基本的にゼロになります。代わりに、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。休業開始から180日間は賃金の67%、それ以降は50%が目安です。
- Q: 育休を取った後、解雇されるのが怖いです。
- A: 育休を理由とした解雇は違法です。育休取得を申し出たこと、または取得したことを理由とする不利益な扱いは、育児・介護休業法で明確に禁止されています。もし実際に解雇や降格などの不利益を受けた場合は、すぐに労働局か専門家に相談してください。
すぐやること
- 育休取得の申し出を書面(メール可)で行う。口頭だけでは「言った・言わない」になるリスクがあります。
- 会社からの返答も記録しておく。拒否や難色を示す発言はメモや録音(可能な範囲で)を残しておくと後で役立ちます。
- 一人で抱え込まない。都道府県労働局、社労士、弁護士など、相談できる窓口は複数あります。
まとめ
- 育休は育児・介護休業法で保障された権利。就業規則がなくても取得できる。
- 「制度がない」「前例がない」は育休を断る法的根拠にならない。
- 会社が応じない場合は、都道府県労働局や専門家への相談が有効。
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

