女性の43.6%が最低生計費を下回る賃金?社労士が解説

「頑張って働いているのに、生活が全然楽にならない」。そう感じている女性は、決して少なくありません。

新たな調査で、非正規で働く女性の43.6%が最低生計費を下回る賃金しか受け取っていないことが明らかになりました。出典:Yahoo!ニュース

この数字、他人事ではありません。現役社会保険労務士として、この調査が示す現実と、あなたが今日できることを解説します。

「最低生計費を下回る」とはどういう意味か

まず、言葉の整理をします。

「最低生計費」とは、人間らしい生活を送るために最低限必要なお金のことです。家賃・食費・光熱費・医療費などを積み上げて計算します。

この額を下回る賃金しか受け取っていないということは、働いても生活が成り立たないラインで生きているということです。

最低賃金とは別の話です。最低賃金は法律で定められた賃金の下限です。最低生計費は、実際に生活するために必要な額の試算です。

📌 ポイント:最低賃金を守っていても、最低生計費を下回る賃金は存在しえます。「違法ではないが、生活できない」という状況が今、43.6%の非正規女性に起きています。

なぜ女性に集中するのか。背景に構造的な問題があります。

非正規雇用の比率は女性の方が高い。パート・アルバイト・派遣という働き方は、時給が低く設定されやすい。育児や介護を担うために短時間勤務を余儀なくされる。これらが重なった結果です。

あなたの賃金は最低賃金を下回っていないか確認する方法

最低生計費の問題は構造的なものです。すぐに変えるのは難しい。

ただし、最低賃金を下回る賃金の支払いは違法です。これは今すぐ確認できます。

最低賃金は都道府県ごとに異なります。2024年10月以降、全国加重平均は1,055円になりました。東京は1,163円です。

自分の時給がこの額を下回っていたら、会社に是正を求める権利があります。

⚠️ 注意:月給制の場合は計算が必要です。月給 ÷(1ヶ月の所定労働時間)で時給換算します。残業代が適切に支払われているかも合わせて確認しましょう。

確認の手順はシンプルです。

  1. 厚生労働省のウェブサイトで自分の都道府県の最低賃金を調べる
  2. 給与明細で実際の時給を計算する(月給制なら所定労働時間で割る)
  3. 下回っていたら、まず会社の担当部署か社労士・労働基準監督署に相談する

賃金を底上げするために動ける3つの手段

最低賃金違反でなくても、賃金が低くて困っているケースはたくさんあります。そのとき、どう動けるか。

①労使交渉・賃上げ要求

非正規でも、職場に労働組合があれば加入できます。組合を通じて賃上げを交渉できます。組合がなければ、地域の合同労組(ユニオン)に相談する手があります。一人でも加入できます。

②同一労働同一賃金の活用

パートタイム・有期雇用労働法により、正社員と同じ仕事をしているのに待遇差があれば、不合理な差別として是正を求めることができます。「自分と正社員の仕事内容の違い」を整理して、会社に説明を求めてみてください。

③転職・キャリアの見直し

構造的な問題を一人で変えるには限界があります。今の職場で改善が見込めないなら、転職という選択肢も現実的です。

✅ やること:まず給与明細を出してください。時給換算してみてください。それだけで、自分の状況が客観的に見えてきます。

よくある疑問 Q&A

Q:最低賃金違反が疑われる場合、どこに相談すればいいですか?
A:地域の労働基準監督署に相談できます。匿名でも相談可能です。「労働基準監督署 + 都道府県名」で検索すれば、近くの署が見つかります。相談は無料です。
Q:非正規でも同一労働同一賃金の対象になりますか?
A:はい。パート・アルバイト・有期雇用・派遣社員が対象です。正社員と職務内容・配置変更の範囲が同じ場合は、待遇差が禁止されています。
Q:会社に賃上げを要求したら、シフトを減らされたり解雇されたりしませんか?
A:正当な権利行使を理由にした不利益取り扱いは違法です。ただし証拠が重要になります。交渉前にやりとりを記録しておくことをお勧めします。不安なら労働組合や社労士に事前相談してください。

すぐやること

  1. 給与明細を手元に出し、時給換算する(月給 ÷ 月の所定労働時間)
  2. 厚労省の「地域別最低賃金」のページで自分の都道府県の最低賃金を確認する
  3. 違反が疑われる・待遇に疑問があるなら、労働基準監督署か地域の労働組合に相談する

まとめ

  • 非正規で働く女性の43.6%が最低生計費を下回る賃金という調査結果は、構造的な問題を示している
  • 最低賃金を下回る賃金の支払いは違法。まず自分の時給を計算して確認する
  • 改善手段は「労使交渉」「同一労働同一賃金の活用」「転職」の3つ。一人で抱え込まず、専門機関に相談することが最初の一歩

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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