給料日の朝、振込がなかった。事務所に行ったらシャッターが下りていて、社長と連絡がつかない——エステ・脱毛サロンの倒産が相次ぐなか、こういう場面に放り込まれる人が増えている。2025年に入って業界の経営破綻は過去最多ペースだ。
結論から言う。会社が倒産しても、あなたの給料を取り戻す道は残っている。泣き寝入りする必要はない。
Yahoo!ニュースでも、人件費の高騰と競争激化でサロン業界の倒産が急増していると報じられている。現役の社労士として、会社が潰れたときに労働者が使える制度と、いま手を動かすべきことを順番に書く。
- 未払い賃金立替払い制度の使い方
- 解雇予告手当を請求できるケース
- 失業給付を早く受け取る方法
会社が倒産しても、あなたの権利は消えない
まず押さえてほしい。会社が倒産しても、労働者の権利は法律でしっかり守られている。なかでも効いてくるのが次の3つだ。
未払い賃金立替払い制度が使える
これは国が運営する救済制度だ。会社が倒産して給料が払われないとき、未払い賃金の80%を国が立て替えて払ってくれる。会社にお金が残っていなくても、国が間に入る。ここが大きい。
立て替えの対象になるのは、次のものだ。
- 未払いの賃金(基本給・残業代など)
- 退職手当(退職金)
- 倒産の6か月前から、立替払いを請求するまでの期間に支払われるはずだった分
注意点を一つ。立て替えられるのは8割で、満額ではない。さらに年齢による上限額もある(後述のQ&Aで触れる)。それでも、ゼロが8割になるのは大きい。
解雇予告手当を請求できる場合がある
会社が突然店を閉めた場合でも、解雇予告手当として平均賃金の30日分を請求できる。30日前の予告なしにいきなり解雇されたなら、その分のお金を会社に求める権利がある。
でも、現実はそう甘くない。倒産した会社にはたいてい払う金が残っていない。請求権はあっても、相手に財布がなければ取れない。だから実務では、この解雇予告手当も立替払い制度のほうに乗せて回収するのが現実的な道になる。
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失業給付を早く受け取る方法
自己都合で辞めた場合、失業給付には給付制限期間がついて、すぐにはお金が入らない(現在は原則1か月)。だが倒産や解雇による会社都合の離職なら、この給付制限がない。手続きをすれば早く受給に入れる。
あなたは「特定受給資格者」になる
倒産で職を失った人は、雇用保険上「特定受給資格者」として扱われる。これがかなり手厚い。具体的には、こうなる。
- 給付制限がない(待たずに失業給付がスタートする)
- 給付日数が長い(年齢・加入期間によって最大330日)
- 国民健康保険料の軽減を受けられる場合がある
同じ「会社を辞めた」でも、自己都合と会社都合では受け取れる総額が何十万円も変わる。ここを軽く扱う人が多いが、もったいない。
会社が潰れそうなときにやるべき5つのこと
倒産の兆候は、あとから振り返ると必ず出ている。給料の遅配、取引先からの督促電話、社長が急に姿を見せなくなる。おかしいと感じたら、動くのは早いほどいい。
1. 給与明細と労働契約書を保管する
未払い賃金を証明する書類が、後で命綱になる。給与明細、雇用契約書、タイムカードのコピーは、いまのうちに自宅へ持ち帰っておく。会社のサーバーやロッカーにしかないと、いざ閉鎖されたとき取り出せなくなる。
2. 未払い賃金の記録をつける
いつから給料が遅れているか、残業代がいくら未払いか。日付と金額をメモしておく。立替払いの申請では、この記録がそのまま根拠になる。記憶ではなく、紙やスマホのメモに残すこと。
3. 雇用保険被保険者証を確認する
失業給付の手続きで必要になる。会社が預かっている場合は、早めにコピーを取っておく。倒産後に取りに行くのは骨が折れる。
4. 転職活動を始める
倒産が確定してから動くのでは遅い。職場の空気がおかしいと感じた時点で、転職サイトに登録して求人を見ておく。先に動いた人ほど、選べる手札が多い。
5. 労働基準監督署に相談する
未払い賃金があるなら、労働基準監督署に相談できる。立替払い制度の手続きの流れも、ここで具体的に教えてもらえる。一人で抱え込まず、公的な窓口を使ってほしい。
よくある疑問 Q&A
- Q: 立替払い制度はいくらまで対象になりますか?
- A: 年齢によって上限があります。30歳未満は110万円、30歳以上45歳未満は220万円、45歳以上は370万円が上限です。未払い賃金の80%が支払われます。
- Q: アルバイトやパートでも立替払い制度は使えますか?
- A: はい、雇用形態に関係なく利用できます。労災保険に加入している事業所の労働者であれば対象になります。
- Q: 会社が夜逃げした場合はどうなりますか?
- A: 労働基準監督署が事実上の倒産として認定してくれる場合があります。まずは監督署に相談してください。
すぐやること3つ
- 給与明細と労働契約書のコピーを自宅に保管する
- 未払い賃金がある場合は労働基準監督署に相談する
- 転職活動を始める(転職サイトに登録)
まとめ
- 会社倒産時は未払い賃金立替払い制度で給料の80%を回収できる
- 会社都合の離職なら失業給付は給付制限なしで早く受給できる
- 倒産の兆候があったら、すぐに証拠の保全と転職準備に動く
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

