職場の性犯罪と会社の責任|社労士が解説する対処法

ハラスメント

元病院職員の男が、小学生女児10人への性加害で無期懲役を言い渡された。報道によれば、この男は病院で働きながら犯行を計画していたという。

この事件、ただのニュースとして消費して終わりにしてはいけない。働く人として、知っておくべきことがある。

出典:Yahoo!ニュースによれば、事件は現在、最高裁に上告中だ。社労士の立場から、職場と性犯罪の関係を整理しておく。

会社の安全配慮義務はどこまで及ぶのか

結論から言う。会社は、従業員の安全を守る義務を負っている。これを「安全配慮義務」と呼ぶ。

職場で起きる性犯罪を防ぐのも、会社の責任だ。セクハラやパワハラだけの話ではない。より重い性犯罪まで含めて、会社は環境を整える責任がある。

具体的に求められるのは、こういう対策だ。

  • 防犯カメラの設置
  • 従業員が一人きりにならない動線の設計
  • 定期的な研修の実施
  • 相談窓口の設置
📌 ポイント:会社が対策を怠り、その結果として被害が起きた場合、会社は損害賠償責任を負う可能性がある。

採用時の身元調査には限界がある

採用のとき、応募者の犯罪歴を調べることは原則として認められていない。

プライバシーの保護と、就職差別を防ぐためだ。つまり、会社は「危険な人物」を入口で完璧に見抜くことはできない。これが現実だ。

だからこそ、職場環境の整備が効いてくる。問題を抱えた人がいたとしても、犯行に及べない環境を先に作っておく。入口で防げないなら、中で防ぐしかない。

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職場で性被害を受けた場合の対処法

もし職場で性被害を受けてしまったら。動転する場面だが、やるべきことは決まっている。順番に説明する。

証拠の保全

最優先は証拠を残すことだ。記憶は時間とともに薄れ、相手は「やっていない」と言い張る。形に残った証拠だけが、あとであなたを守る。

  • 日時・場所・状況をメモに残す
  • 可能であれば録音・録画する
  • 目撃者がいれば証言をお願いする
  • 身体的な被害があれば医師の診断書をもらう
✅ やること:被害を受けたらすぐにメモを取り、信頼できる人に相談してください。

会社への報告と警察への届出

性犯罪は刑事事件だ。まず警察に届け出ること。これを最優先にしてほしい。

そのうえで、会社への報告も並行して進める。会社には、被害者を守り、再発を防ぐ責任があるからだ。

報告を受けた会社が取るべき対応は、こうだ。

  • 加害者の配置転換や出勤停止
  • 被害者のメンタルケア
  • 再発防止策の検討と実施

もし会社がこれを「なかったこと」にしようとするなら、それ自体が新たな問題になる。泣き寝入りする必要はない。

心理的負荷による労災認定

職場での性被害が原因で精神障害を発症した場合、労災として認定される可能性がある。「精神的なものだから労災にはならない」というのは誤解だ。

2023年に不同意性交罪が創設され、性被害をめぐる認定の枠組みも見直しが進んでいる。セクハラ・性被害は労災認定基準上、心理的負荷が「強」と評価されうる類型に位置づけられている。

労災認定のポイント

大まかに言えば、次の要件を満たすかどうかが見られる。

  • 職場での出来事が原因であること
  • 精神障害の診断があること
  • 業務以外に明らかな原因がないこと
⚠️ 注意:労災の給付には請求期限(時効)があります。休業補償給付などは2年、障害補償給付などは5年です。早めの手続きが大切です。

認定されれば、治療費や休業中の補償が支給される。一人で抱え込まず、まずは申請できるかどうかを確かめてほしい。

よくある疑問 Q&A

Q: 同僚からの性被害も会社の責任になりますか?
A: はい。会社は職場環境配慮義務があり、同僚間のトラブルも防止する責任があります。適切な対応を怠れば損害賠償責任を負います。
Q: 被害を相談したら不利益な扱いを受けませんか?
A: 相談したことを理由とした不利益取扱いは法律で禁止されています。もし不利益を受けたら、さらに別の法的責任を会社は負うことになります。
Q: 犯罪歴のある人の採用を断ることはできますか?
A: 職種によります。保育士や教員など法律で欠格事由が定められている職種以外では、一律に排除することは困難です。

すぐやること3つ

  1. 職場の相談窓口を確認する – 就業規則やイントラネットで確認
  2. 一人になりがちな場所を把握する – 危険な環境を事前に認識
  3. 信頼できる相談相手を見つける – 家族・友人・専門機関

まとめ

  • 会社には職場での性犯罪を防ぐ義務がある
  • 被害を受けたら証拠保全と警察への届出が最優先
  • 精神的な被害も労災認定の対象になりうる

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

Photo by Lucas on Unsplash

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