定年後5年を超えて有期契約更新中:無期転換権が発生している可能性





定年後の無期転換権:特例が使えない2つのケースと権利確認の手順

定年後に再雇用され、何年も有期契約を更新している。「いつ打ち切られるかわからない」という不安を抱えていませんか。

実は、条件次第で「無期契約に切り替える権利」があります。会社が必要な手続きを怠っている場合、あなたには強力な権利が残っているかもしれません。この記事では、現役の社会保険労務士が無期転換権の基本的な仕組み、定年後の特例が適用される条件、そして自分の権利を確認する具体的な手順を解説します。

まず基本から:無期転換権とは何か

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労働契約法18条1項に、こんなルールがあります。同じ会社との有期契約が通算5年を超えて更新された場合、労働者は「無期契約にしてほしい」と申し込む権利があります。これが「無期転換権」です。会社はこの申し込みを断ることができません。つまり、5年を超えて働いた有期社員には、安定した雇用を求める法律上の権利があります。

📌 ポイント:有期契約が通算5年を超えたら、「無期に切り替えて」と会社に申し込める。会社はこれを拒否できない。

定年後の特例:会社が手続きして初めて使える制度

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定年後再雇用には、無期転換権に関する特例(有期雇用特別措置法)があります。この特例では、60歳の定年に達した後も同一の事業主またはグループ会社(特殊関係事業主)に引き続き雇用される場合、継続雇用されている期間は無期転換権が発生しないとされています。これは「継続雇用の高齢者関係の特例」とも呼ばれます。

ただし、ここが重要です。この特例は、会社が自動的に使えるものではありません。会社が都道府県労働局に計画書を提出し認定を受けて初めて有効です。この手続きをしていない会社には特例の適用はなく、通常の無期転換ルールがそのまま適用されます。なお、認定を受けた後も、計画が不適当とされて指導・助言に従わない場合などには認定が取り消され、その場合も通常の無期転換ルールが適用されることになります。

⚠️ 注意:特例は「会社が申請して認定を受けた場合のみ」有効です。手続きに漏れがあれば、あなたに無期転換権が発生している可能性があります。

【実践メモ】

「うちの会社は特例を受けているの?」と気になったら、まず確認しましょう。会社の人事部門に「有期雇用特別措置法の認定を受けていますか?」と聞いてみてください。回答を得られない場合は、都道府県労働局への相談も選択肢の一つです。

特例が使えないケース:権利が発生する場面

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以下のどちらかに当てはまれば、無期転換権が発生します。

会社が認定を受けていない場合

特例を使うには、会社が事前に計画書を作成し、行政機関への提出と認定取得が必須です。この手続きをしていない会社には特例の適用はありません。定年後再雇用であっても、通常の5年ルールが適用されます。実は、この手続きを知らずに怠っている会社も少なくありません。

グループ会社以外への転籍の場合

定年後に、元の会社と特殊関係にない別の会社で働く場合があります。この場合、特例の対象外となります。特殊関係事業主(グループ会社)以外への転籍では、無期転換権が発生します。転籍先が本当にグループ会社かどうか確認することをお勧めします。

✅ やること:再雇用された会社が「元の会社の特殊関係事業主(グループ会社)かどうか」を確認してください。グループ外なら、無期転換権が使える可能性があります。

権利を確認する手順

通算契約期間を計算する

有期契約の更新回数と期間を全て足してみてください。通算5年を超えていれば、無期転換権の申し込みができます。契約書が手元にない場合、ハローワークで雇用保険の加入記録を確認できます。

会社の認定状況を確認する

人事部門に「有期雇用特別措置法の認定を受けているか」を確認してください。認定を受けていない場合、特例は適用されません。つまり、あなたには無期転換権が発生している可能性が高いということです。

申し込みを行う

権利を使うには、会社に対して申し込む必要があります。口頭でも有効ですが、書面で残すのが確実です。申し込み後、会社は拒否することができません。

【実践メモ】

申し込みの際は、日付・氏名・無期転換を求める旨を記した書面を作成してください。受領のサインをもらうか、内容証明郵便で送ると記録が残ります。一人で動くのが不安なら、社会保険労務士や労働組合への相談も検討してみてください。

📌 ポイント:無期転換権は「申し込んで初めて効力が生じる」権利です。黙っていても自動的には切り替わりません。自分からアクションを起こすことが必要です。

よくある疑問 Q&A

Q: 定年後5年を超えたら、必ず無期転換できますか?
A: 会社が特例の認定を受けていない場合、5年超えた時点で無期転換権が発生します。ただし、自分から申し込む必要があります。自動的には切り替わりません。
Q: 会社が特例の認定を受けているか、どうやって確認できますか?
A: まず会社の人事部門に直接確認するのが最初のステップです。教えてもらえない場合は、管轄の都道府県労働局に問い合わせることができます。
Q: 無期転換を申し込んだら、契約を打ち切られませんか?
A: 申し込みを理由とした解雇や雇い止めは、不当解雇に当たる可能性があります。申し込みの事実を記録しておき、不当な対応があればすぐに専門家に相談してください。
Q: グループ会社に転籍した場合、元の会社での勤務期間は通算されますか?
A: グループ会社への転籍では、元の会社での有期雇用期間は原則として引き継がれません。転籍後の契約から改めてカウントが始まります。詳細は専門家への相談をお勧めします。

チェックリスト

確認項目 チェック
定年後に有期契約で再雇用されているか
有期契約の通算期間が5年を超えているか
再雇用先が元の会社またはグループ会社(特殊関係事業主)か
会社が有期雇用特別措置法の認定を受けているか確認したか
無期転換申し込みの書面を準備したか
申し込みの記録(日付・送付方法)を保管しているか

今すぐはじめる3つのアクション

まず有期契約の通算期間を計算してください。契約書・雇用保険記録で通算5年を超えているかどうかを確認しましょう。

次に、会社の人事部門に「有期雇用特別措置法の認定」の有無を確認しましょう。認定を受けていなければ、あなたに無期転換権が発生している可能性があります。

そして、無期転換権の申し込みを検討し、必要なら書面を準備してください。権利は申し込んで初めて効力を持ちます。

まとめ

有期契約が通算5年を超えると労働契約法18条1項に基づく無期転換権が発生します。定年後再雇用には有期雇用特別措置法による「継続雇用の高齢者関係の特例」がありますが、この特例は会社が都道府県労働局に計画書を提出して認定を受けた場合のみ有効です。認定を受けていなければ通常の無期転換ルールが適用され、また特殊関係事業主(グループ会社)以外での継続雇用は特例の対象外となり無期転換権が発生します。認定が取り消された場合も同様に通常の無期転換ルールが適用されます。

権利は自分から申し込まないと効力を持ちません。記録を残して行動しましょう。定年後も、あなたには安定した雇用を求める権利があります。老後の生活と尊厳を守るために、この権利を知り、堂々と行使してください。

※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。



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