ボーナス減額・ゼロ査定は違法?社労士が解説

労働契約・就業規則

「今年のボーナスは過去最高水準」というニュースを目にした人は多いと思います。でも、自分のボーナスはゼロ。または去年より大幅に下がった。そんな声もSNSでよく見かけます。

ボーナスは会社が必ず払わなければいけないのか。一方的な減額やゼロ査定は違法なのか。社労士の立場から、正直に解説します。

なお、今回の記事は出典:Yahoo!ニュースの報道をきっかけに書きました。春闘での賃上げを背景に、大企業を中心にボーナスが過去最高水準に達したという内容です。

ボーナスの支給は「会社の義務」ではない

まず、結論から言います。法律上、ボーナス(賞与)の支給は会社に義務付けられていません。

労働基準法が「必ず払え」と定めているのは、基本給などの「賃金」です。賞与は原則として、会社が自由に決めていい「任意の給付」に位置づけられています。

📌 ポイント:ボーナスをもらえる「権利」が発生するのは、就業規則や労働契約に「支給する」と明記されている場合だけです。

だから、「うちはもともとボーナスなし」という会社は、それ自体は違法ではありません。問題が起きるのは、「支給する」と約束されているのに支払われないケースです。

「約束されたボーナス」が払われないのは違法になる

就業規則に「賞与は年2回支給する」と書いてある。または雇用契約書に「夏・冬に賞与あり」と記載されている。こういう場合は話が変わります。

就業規則や労働契約に支給の根拠がある以上、正当な理由なく一方的にゼロにすることは、賃金の不払いと同じ問題になります。

ただし、「正当な理由」がどこまで認められるかは、就業規則の書き方次第です。

  • 「会社の業績を勘案して決定する」→ 業績が悪ければゼロも認められやすい
  • 「基本給の○ヶ月分を支給する」→ 金額が確定しているため削減しにくい
  • 「支給日に在籍した者に支給する」→ 退職者への支給義務が生じにくい

就業規則の文言が「会社の裁量が大きい書き方」か「金額が確定している書き方」かで、あなたの権利の強さがまったく変わります。

⚠️ 注意:就業規則を「見たことがない」という方は要注意です。会社には就業規則を労働者に周知する義務があります。請求すれば見せてもらえます。

査定でゼロにするのは認められるのか

「個人査定が悪かったからゼロ」という説明を受けるケースがあります。これは合法なのでしょうか。

結論として、査定によるゼロが全て違法とは言えません。ただし、いくつかの条件が必要です。

まず、就業規則に「査定によって増減することがある」と書かれていること。次に、査定の基準が合理的で、その基準にそって評価されていること。この2点がそろっていないと、「ゼロ査定」は問題になります。

たとえば、突然根拠も示さずに「今期はゼロ」と言われた場合。または、他の社員と明らかに不均衡な扱いを受けた場合。こうしたケースでは、会社側の裁量逸脱として争う余地があります。

✅ やること:査定の理由を会社に書面で確認しましょう。「なぜゼロになったのか教えてください」と聞くことは正当な権利です。

よくある疑問 Q&A

Q:就業規則に「業績により支給しないことがある」と書いてあります。これはもう何もできないのでしょうか?
A:必ずしもそうではありません。「業績による」という条件でも、明らかに業績が悪化していないのにゼロにされた場合や、説明が全くない場合は争える余地があります。まず就業規則の文言全体を確認してください。
Q:内定時に「ボーナスあり」と言われていましたが、就業規則には「支給しないことがある」と書かれています。どちらが優先されますか?
A:労働契約書や内定通知書に具体的な金額・回数が明記されていれば、その内容が優先されることがあります。内定時の書類を保管していれば、確認してみてください。
Q:ボーナスを減額されました。時効はありますか?
A:賃金請求権の時効は、原則5年(当面の間は3年)です。賞与が「賃金」に該当する場合、支給日から計算して3〜5年以内であれば請求できる可能性があります。

すぐやること

  1. 就業規則の賞与条項を確認する。「支給する」と明記されているか、金額の決め方はどう書かれているかを見る。
  2. 雇用契約書・内定通知書を確認する。ボーナスについて何か記載がないかを確認する。
  3. 疑問があれば早めに動く。時効があるため、「おかしい」と思ったら放置しない。社労士・弁護士・労働基準監督署への相談を検討する。

まとめ

  • ボーナスの支給は法律上の義務ではない。ただし就業規則・労働契約に「支給する」と書かれていれば権利が発生する。
  • 就業規則の文言次第で、会社の裁量の幅は大きく変わる。まず自分の会社の就業規則を確認することが第一歩。
  • 理由もなく一方的にゼロにされた場合は、争える余地がある。賃金請求権の時効(原則5年・当面3年)に注意して早めに相談を。

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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