干された・無視される…職場のパワハラ、社労士が解説

ハラスメント

「仕事を取り上げられた」「一人だけ会議に呼ばれない」——そんな状況に追い込まれていませんか。

これは「過小な要求型パワハラ」に該当する可能性があります。

今回は、出典:マネーフォワード クラウド給与の記事をもとに、現役社会保険労務士の立場から解説します。

「干される」ことがパワハラになる条件とは

パワハラには6つの類型があります。

その一つが「過小な要求」型です。意味のない仕事しか与えない、または仕事そのものを与えないことを指します。

ただし、すべての業務調整がパワハラになるわけではありません。

📌 ポイント:パワハラと認定されるには「優越的な関係を背景に」「業務上の適正な範囲を超えて」「精神的・身体的苦痛を与える」という3つの要素がすべて必要です(労働施策総合推進法30条の2)。

たとえば、懲戒処分中の業務制限や、病気療養中の業務調整は適正な範囲内とされることがあります。

一方で、特定の個人だけを意図的に孤立させる、意味もなく長期間仕事を与えないといった行為は、この要件を満たしやすくなります。

⚠️ 注意:「気のせいかも」「自分が悪いのかも」と感じやすい類型です。しかし被害者の感覚は正しいことが多い。まず記録を残してください。

証拠の残し方——具体的に何をするか

パワハラ被害で最も重要なのは記録です。

感情ではなく事実を残します。以下の4点を日付とともにメモしてください。

  • いつ:日付・時刻
  • 誰が誰に:上司の名前、立ち会った同僚の名前
  • 何をされたか:「会議から外された」「メールのCCから削除された」など具体的な事実
  • どんな影響があったか:業務に支障が出た、精神的に不調になったなど
✅ やること:手書きのメモより、スマホのメモアプリ(タイムスタンプが自動で残る)が有効です。メールやチャットの履歴はスクリーンショットで保存しておきましょう。

録音については、自分が参加している会話であれば違法にはなりません。

ただし、できる限り上司との面談など記録の必要性が高い場面に限定するのが現実的です。

証拠は「量より質」。5年分のぼんやりした記録より、3ヶ月分の具体的な記録の方が力を持ちます。

相談先——どこに行けばいいか

相談先は状況によって変わります。

まず社内から。会社に相談窓口(ハラスメント相談窓口)があれば、まずそこに相談する記録を残しておくことが重要です。会社には措置義務があるからです。

社内が機能しない場合は外部へ。

  • 都道府県労働局の雇用環境・均等室:無料・匿名相談可能。あっせん制度もあります
  • 労働基準監督署:賃金未払いや労働条件の違反が伴う場合
  • 社会保険労務士・弁護士への個別相談:状況を整理して具体的なアドバイスをもらえます
📌 ポイント:2022年4月から、パワハラ防止措置義務はすべての企業に適用されています(中小企業も含む)。会社は「相談体制を整える義務」を負っています。

よくある疑問 Q&A

Q:仕事をもらえないだけで、直接暴言はない。それでもパワハラになりますか?
A: なります。パワハラは暴言・暴力だけではありません。意図的な孤立化・業務の取り上げも、精神的苦痛を与える行為として認定されます。言葉による攻撃よりむしろ、証明が難しい分、丁寧な記録が必要です。
Q:相談したら報復が怖い。どうすればいいですか?
A: 会社への相談前に、外部機関(労働局など)に匿名相談だけしておく方法があります。また、相談したことを理由とした不利益取り扱いは法律で禁止されています。報復があれば、それ自体が新たな違法行為になります。
Q:会社に証拠を出すタイミングはいつですか?
A: 交渉や申告の段階で初めて出します。集め終わるまで社内では見せないでください。証拠の存在を知られると、記録が消される・関係者の口裏合わせが行われるリスクがあります。

すぐやること

  1. 今日から記録を始める——スマホのメモアプリに日付・事実・影響を書く
  2. 証拠を保存する——メール・チャット・業務指示のスクリーンショットを外部ストレージに保管する
  3. 一人で抱え込まない——都道府県労働局または社労士・弁護士に匿名相談だけでも行う

次のステップ

パワハラの相談先・相談の進め方はこちらの記事で詳しく解説しています

パワハラ相談先はどこがベスト?社労士が教える正しい相談順序 »

まとめ

  • 仕事を与えない・孤立させる行為は「過小な要求型パワハラ」に該当しうる
  • 認定には「優越的関係・適正範囲超え・苦痛の付与」の3要件が必要
  • 証拠は日付・事実・影響の3点セットで、タイムスタンプ付きで残す
  • 社内窓口→労働局→社労士・弁護士の順に相談先を選ぶ
  • 相談したことを理由とした報復は法律で禁止されている

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

Photo by Rémi Bertogliati on Unsplash

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