「106万円の壁がなくなるって本当?」「扶養を外れると損するのでは?」
そんな不安の声が、パートやアルバイトの方から急増しています。
結論から言います。106万円の壁は段階的に撤廃される方向です。でも、正しく理解すれば「損」を避けられます。
社会保険労務士として、労働者目線でわかりやすく解説します。
参考:出典:leadbrain.co.jp「106万円の壁撤廃」関連記事
そもそも「106万円の壁」とは何だったのか
まず、基本から整理します。
「106万円の壁」とは、パート・アルバイトが社会保険(健康保険・厚生年金)に加入しなければならない収入ラインのことです。
つまり、年収106万円を超えると、自分で社会保険料を払う義務が生じる。そのため手取りが減ってしまう。これが「壁」と呼ばれてきた理由です。
これまで多くのパート労働者が、「106万円を超えないように」と意図的に働く時間を減らしてきました。
企業側も人手不足に悩んでいた。国も税収・保険料収入が伸び悩んでいた。
「壁」は、労働者にとっても社会にとっても、大きな課題だったのです。
撤廃されると手取りはどうなる?正直に解説します
「壁がなくなる=手取りが増える」とは限りません。ここが一番の誤解ポイントです。
社会保険に加入すると、給与から健康保険料と厚生年金保険料が天引きされます。保険料率はおおよそ給与の15%前後です。
では、デメリットしかないのか。そうではありません。
社会保険に加入すると、将来もらえる年金が増えます。また、傷病手当金(病気やケガで働けないときの生活保障)の対象にもなります。
短期の手取り減少と、長期の保障・年金増加。この両面を理解した上で判断することが大切です。
損をしない働き方。社労士が考える3つのパターン
壁の撤廃後、どう働けばいいか。状況別に整理します。
パターン①:収入を増やしたい人
壁を気にして働く時間を抑えてきた方にとっては、むしろチャンスです。
106万円を気にせず、もっと稼ぐことができるようになります。
保険料を引いても、収入総額が増えれば手取りは増えます。「もっと働きたかった」という方は、積極的に時間を増やす選択肢があります。
パターン②:今の収入・時間を維持したい人
壁撤廃後も、「今の働き方を変えたくない」という方は多いはずです。
この場合、社会保険の加入要件(週20時間・月8万8,000円など)に注意が必要です。
勤務時間や月収が要件を下回るように調整することで、これまで通りの働き方を続けられる可能性があります。
パターン③:配偶者の扶養に入り続けたい人
「扶養の範囲内で働きたい」という方は、130万円の壁(配偶者の健康保険の扶養)に注意が必要です。
106万円の壁と130万円の壁は別物です。130万円の壁は現時点では別途議論されています。
106万円の壁が撤廃されても、130万円を超えると配偶者の扶養から外れる可能性は残ります。混同しないよう注意してください。
よくある疑問 Q&A
- Q:106万円の壁はいつ撤廃されるのですか?
- A:政府の方針として撤廃が検討されていますが、具体的な施行時期は審議中です。2026年以降の法改正を見据えて準備を進めることをおすすめします。最新情報は厚生労働省のサイトで確認してください。
- Q:社会保険に加入すると、すぐ損になりますか?
- A:短期的には手取りが減る場合があります。ただし、将来の年金額が増える・傷病手当金がもらえるなどのメリットもあります。一概に「損」とは言えません。
- Q:会社が社会保険に加入させてくれない場合はどうすればいいですか?
- A:加入要件を満たしているにもかかわらず会社が加入手続きをしない場合は、違法になる可能性があります。管轄の年金事務所か、社会保険労務士に相談してください。
すぐやること
- 今の勤務条件を確認する:週の勤務時間・月収・会社の規模(従業員数)を書き出しましょう。社会保険の加入要件に該当するかがわかります。
- 「106万円の壁」と「130万円の壁」を区別して理解する:混同すると、誤った判断につながります。扶養の仕組みについて、会社の担当者や社労士に確認することをおすすめします。
- 働き方の希望を明確にしておく:「収入を増やしたいのか」「今の時間を守りたいのか」「扶養を維持したいのか」。自分の優先事項を整理しておくと、制度変更があっても迷わずに動けます。
まとめ
- 106万円の壁は撤廃の方向だが、130万円の壁は別の問題。混同しないことが大切
- 社会保険加入で手取りは短期的に減るが、将来の年金・保障が充実するというメリットもある
- 「損か得か」は人によって異なる。自分の働き方の希望を整理してから判断することが重要
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

