懲戒解雇で退職金はゼロ?失業保険は?社労士が解説

懲戒

中傷動画をめぐる懲戒解雇が、いまニュースで取り上げられています。Yahoo!ニュースでも触れられているとおり、懲戒解雇になると退職金が出ない、失業保険の給付も制限される——そう聞いて、頭が真っ白になっている人もいるはずです。

でも、結論から言います。懲戒解雇されても、全部を諦める必要はありません。

社労士として労働の現場を見てきた経験から言えば、懲戒解雇には争える余地が残っているケースが少なくない。会社の言い分をそのまま受け入れる前に、知っておいてほしいことがあります。

懲戒解雇で退職金が出ない、その理屈

懲戒解雇は、会社が下せる最も重い処分です。言い換えれば「会社に大きな損害を与えた」と会社側が判断した、ということ。

多くの会社の退職金規程には、こう書かれています。「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」。理屈はシンプルで、退職金は本来「お疲れ様でした」という性格のお金だから、重大な違反をした人には払わない、という発想です。

📌 ポイント:退職金は法律で義務づけられたものではありません。会社の就業規則や退職金規程のルールに従います。

ただ、ここが大事なところ。懲戒解雇だから退職金がゼロになる、と決まっているわけではありません。

裁判所はこう判断しています。退職金の全額不支給が認められるのは、それまでの勤続の功績を帳消しにするほど重大で悪質な行為があった場合に限られる、と。つまり、悪質性が高くなければ全額カットは通らない可能性があるわけです。

例えば、こんなケースでは退職金の一部、あるいは全部が認められることがあります。

  • 長年まじめに勤めてきて、これまでの貢献が大きい
  • 違反の中身が軽く、懲戒解雇という処分が明らかに重すぎる
  • 会社の処分手続きに不備があった

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失業保険はどうなる?「給付制限」の中身

懲戒解雇は、失業保険(雇用保険の基本手当)にも響きます。

いちばん厄介なのが「重責解雇」として扱われることです。

重責解雇とは、労働者本人の重大な責任で解雇されたとみなされる状態。これに当たると、次のような扱いを受けます。

項目 通常の離職 重責解雇
給付制限期間 なし(すぐ受給開始) 3ヶ月間給付なし
給付日数 年齢・勤務期間で決定 短縮される場合あり
国民健康保険料 軽減措置あり 軽減措置なし
⚠️ 注意:懲戒解雇=必ず重責解雇になるわけではありません。ハローワークが個別に判断します。

ここを誤解している人が多い。懲戒解雇でも、会社都合離職として認定されることはあります。会社の処分そのものが不当だと判断されれば、給付制限を受けずに済む可能性が出てくるのです。会社が「重責だから」と言ったから終わり、ではありません。

争う方法:泣き寝入りする前にできること

処分に納得できないなら、打つ手はあります。順に見ていきます。

1. 労働審判・訴訟で処分の無効を求める

懲戒解雇そのものが無効になれば、退職金も失業保険も通常どおりの扱いに戻ります。ここで問われるのは、次の3点です。

  • 処分の理由が、就業規則にちゃんと書かれているか
  • 処分が重すぎないか(相当性があるか)
  • 解雇までの手続きが、きちんと踏まれているか

2. 退職金の減額交渉

全額不支給を、一部支給に変えてもらう交渉です。特に長く勤めてきた人は、交渉で道が開けることがあります。ゼロか満額か、の二択ではない。

✅ やること:争う場合は3年以内(退職金は5年以内)に行動する必要があります。早めの相談が重要です。

3. ハローワークでの離職理由変更申請

重責解雇という判定に納得できないなら、ハローワークに異議を申し立てられます。会社の処分が不当だったと示せる証拠を集めて、申請しましょう。黙っていても判定は変わりません。

よくある疑問 Q&A

Q: 懲戒解雇されたら転職に響きますか?
A: 履歴書には「一身上の都合により退職」と書けます。ただし、転職先から前職の退職理由を詳しく聞かれた場合は正直に答える必要があります。
Q: 退職金の代わりに何か受け取れるものはありますか?
A: 未払いの残業代や有給買取、最後の月の給与は別問題です。これらは懲戒解雇でも請求できます。
Q: 会社から「懲戒解雇か自己都合退職か選べ」と言われました
A: 多くの場合、自己都合退職を選んだ方が有利です。退職金も失業保険も通常どおり受けられる可能性が高いためです。

すぐやること 3つ

  1. 処分通知書をコピーして保管する
    争うときの重要な証拠になります
  2. ハローワークで離職票の内容を確認する
    重責解雇の記載があれば異議申立てを検討
  3. 労働問題に詳しい弁護士・社労士に相談する
    無料相談を活用して方針を決める

次のステップ

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まとめ

  • 懲戒解雇でも退職金が一部支給されるケースがある
  • 失業保険の重責解雇判定はハローワークが個別に判断する
  • 処分が不当なら労働審判や訴訟で争える

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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