「就業規則を見せてほしい」と頼んだら、「そういうものはない」「見せられない」と言われた。そんな経験をしている人は、思っているより多い。
結論から言います。会社が就業規則を見せないのは、労働基準法違反の可能性があります。
出典:Yahoo!ニュースでも専門家がこの問題を解説しています。現役の社会保険労務士として、具体的な対処法を書きます。
労働基準法106条が定める「周知義務」とは何か
労働基準法第106条は、会社に対して就業規則を労働者に周知することを義務づけています。
見せるだけでなく、「きちんと知らせる」義務がある。これが重要な点です。
「周知」の方法として、法律は次の3つを認めています。
- 各作業場の見やすい場所に掲示または備え付ける
- 労働者に書面で交付する
- 磁気テープやディスクなど(今でいうメール配布など)で確認できるようにする
どれか一つでも実施していれば義務を果たしたことになります。逆に言えば、一つも実施していない会社は法律違反です。
あなたが「見せてください」と言ったとき、会社は断ることができません。断った時点で違反が疑われます。
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会社が就業規則を隠す3つの理由
なぜ隠すのか。理由はだいたい決まっています。
理由1:就業規則がない、または古すぎる
従業員が10人を超えているのに、就業規則を作っていない会社は実際に存在します。あるいは、10年以上前に作ったまま一度も見直していないケースも珍しくない。
法改正のたびに更新しなければいけないのに、それをやっていない。見せたら法律違反がバレる。だから隠す。そういう構図です。
理由2:労働者に不利な内容が書かれている
残業代の計算ルールが法律の基準を下回っていたり、有給休暇の取得条件が実態と食い違っていたりするケースがあります。
「書いてあるから従わなければならない」と思い込んでいる人が多いですが、そうではない。法律より悪い内容の条項は、最初から無効です。知らせたくないからこそ、隠します。
理由3:懲戒処分の根拠を知られたくない
会社が懲戒処分を下すとき、その根拠は就業規則に書かれていなければなりません。労働者が就業規則を読んでいると、「この処分はどの条項に基づいているのか」と追及されます。
答えられない処分を乱用しているケースでは、就業規則を知られること自体がリスクになる。だから最初から見せない、という発想です。
就業規則を手に入れる3つのステップ
では、実際にどう動くか。順を追って説明します。
Step1:書面(メール)で請求する
口頭で頼むだけでは記録が残りません。まずメールで請求してください。
文面はシンプルでいい。「労働基準法第106条に基づき、就業規則の閲覧を求めます」と書いて送信する。日付と送信記録が証拠になります。
返事が来ない、あるいは「対応できない」という回答が来た場合、それ自体が次のステップの証拠になります。
Step2:労働基準監督署に相談する
会社が請求に応じない場合、労働基準監督署(労基署)に申告できます。「労働基準法第106条違反の疑いがある」として相談してください。
労基署への相談は無料です。匿名でも相談できます。ただし、調査を求めるには実名での申告が必要になるケースもあります。
Step3:社会保険労務士または弁護士に相談する
懲戒処分を受けそうな状況や、すでに処分を受けた後など、個別の対応が必要なケースでは専門家を頼ってください。
特に、処分の取り消しや未払い賃金の請求を視野に入れている場合は、早めに動くことが大切です。時間が経つほど証拠が散逸します。
よくある疑問 Q&A
- Q: 従業員10人未満の会社は就業規則がなくてもいいの?
- A: 法的には作成義務がありません。ただし、トラブル防止のため作成している会社も多いです。ある場合は周知義務も発生します。
- Q: 派遣社員でも就業規則を見る権利はある?
- A: あります。派遣先の就業規則ではなく、派遣元(派遣会社)の就業規則を見る権利があります。
- Q: 懲戒処分を受けた後で就業規則を確認しても意味がない?
- A: 意味があります。処分が就業規則の根拠なく行われていれば、処分の取り消しを求めることができます。
すぐやること 3つ
- まず口頭で請求してみる(会社の反応を確認)
- 拒否されたらメールで正式に請求する(記録を残す)
- それでも応じない場合は労働基準監督署に相談する(法的解決へ)
まとめ
- 労働基準法106条により、会社には就業規則の周知義務がある
- 就業規則を見せないのは法律違反の可能性が高い
- 書面で請求し、応じない場合は労基署に相談することができる
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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