2026年6月1日、診療報酬が改定された。初診料も再診料も上がる。労働者の医療費負担は増える。これは決定事項だ。
結論から言う。医療費は上がる。でも、使える制度を知っていれば負担は抑えられる。
現役の社労士として、この改定が会社員にどう響くのか、そして何をすればいいのかを正直に書く。
出典:Yahoo!ニュースによると、3割負担の外来患者で初診料は57円増、再診料は21円増。入院時の食事代も引き上げられる。
- 診療報酬改定で実際にいくら負担が増えるのか
- 労働者が使える医療費軽減制度
- 会社員が今日からできる備え
診療報酬改定で医療費はどう変わる?
今回の改定で、あなたの窓口負担は増える。金額で示す。
3割負担の場合の値上げ額
- 初診料:57円増(月1回まで)
- 再診料:21円増(受診のたび)
- 入院時食事代:詳細は今後発表
月2回通院したら、ざっと80円の負担増。年間で1,000円ほどだ。「たった1,000円」と思うかもしれない。でも、これは平均的な人の話だ。
たとえば高血圧や糖尿病で月2回、年中通っている人。再診料21円増が毎回積み上がる。家族で複数人が通院していれば、世帯単位ではもっと膨らむ。「うちは関係ない」では済まない人がいる。
なぜ値上げされるのか
理由はこうだ。
- 医療資材の物価高騰
- 医療従事者の賃上げ対応
- 医療の質向上のための投資
社労士として一つ補足する。この改定は医療現場で働く人の労働環境改善にもつながる。看護師や医療スタッフの長時間労働は何年も問題視されてきた。彼らの賃上げや働き方改革の原資が、この診療報酬だ。患者である労働者にとっても、医療が崩れないことは利益になる。負担増を一方的に「悪」とは言い切れない。ここは正直に書いておく。
労働者が使える医療費軽減制度
医療費が上がっても、知識があれば負担は抑えられる。制度は申請しないと使えない。知らない人が損をする仕組みになっている。
高額療養費制度を活用しよう
高額療養費制度は、1か月の医療費が一定額を超えた分を払い戻してくれる制度だ。入院や手術で医療費がかさんだとき、最大の味方になる。
所得区分別の自己負担限度額(70歳未満)
| 年収 | 月の自己負担限度額 |
|---|---|
| 約370万円未満 | 57,600円 |
| 約370万円〜約770万円 | 80,100円+(医療費−267,000円)×1% |
| 約770万円〜約1,160万円 | 167,400円+(医療費−558,000円)×1% |
年収500万円の会社員が100万円の医療費を使ったとする。窓口では3割の30万円。だが高額療養費制度を使えば、最終的な自己負担は約8万7,000円まで下がる。差額の20万円以上が戻ってくる計算だ。使わない手はない。
払い戻しは後から。でも認定証を先に出せば、最初から限度額しか払わなくて済む。一時的な立て替えがきついなら、入院が決まった時点で健康保険組合か協会けんぽに申請しておくこと。
傷病手当金で収入もカバー
医療費の話だけでは足りない。病気で働けなくなると、収入そのものが止まる。ここを支えるのが傷病手当金だ。働けない間、給料のおおむね3分の2が支給される。
支給の条件はこうだ。
- 業務外の病気・ケガであること
- 働けない状態が4日以上続くこと(連続3日の待期を経て4日目から)
- その間、給料が支払われていないこと
最大で1年6か月受け取れる。会社が教えてくれないこともある制度だ。だから自分で知っておく。医療費が上がる今、収入の防波堤になる。
今からできる医療費対策
改定はもう始まっている。それでも今日から打てる手はある。
健康管理で医療費を抑える
身も蓋もないが、最強の節約は病気にならないことだ。窓口負担が57円上がろうが、受診回数がゼロなら影響もゼロになる。
付け加えると、会社の健康診断は労働安全衛生法で会社に実施義務がある。費用は会社負担だ。受けないのはもったいない。早期発見できれば、重症化して高い医療費を払う前に手を打てる。
かかりつけ医を持つ
初診料の57円増がじわじわ効くなら、初診を減らせばいい。かかりつけ医を持つメリットはこうだ。
- 初診料の節約(同じ医療機関なら再診料で済む)
- 重複検査の回避
- 必要なときに適切な専門医を紹介してもらえる
ジェネリック医薬品を選択
薬代も削れる。ジェネリック医薬品(後発医薬品)に切り替えれば、薬代を2〜7割ほど抑えられる。やることは一つ。窓口で「ジェネリックでお願いします」と言うだけだ。それで終わる。
よくある疑問Q&A
- Q: 診療報酬改定は全ての病院で同じですか?
- A: はい。診療報酬は全国一律なので、どの病院でも同じ料金体系になります。
- Q: 会社の健康保険でも影響はありますか?
- A: 自己負担額が上がるので影響があります。ただし、高額療養費制度などの給付は変わりません。
- Q: 医療費控除の対象になりますか?
- A: なります。年間10万円を超えた医療費は所得控除の対象です。領収書は必ず保管してください。
すぐやること3つ
- 限度額適用認定証を確認:加入している健康保険の申請方法を調べる
- かかりつけ医を決める:普段通う医療機関を1つに絞る
- 医療費を記録する:2026年分から領収書を1か所にまとめる
まとめ
- 2026年6月から医療費は上がる。平均的な人で年間1,000円程度、定期通院者はそれ以上
- 高額療養費制度や傷病手当金を使えば、大きな負担はかわせる
- 日頃の健康管理とかかりつけ医の確保が、いちばん効く対策
※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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