フレックスでも残業代は出る?正しい計算方法を解説

労働時間

「フレックスで働いているんだから残業代は出ない」。会社にそう言われて、納得できずにこの記事を開いた人もいるはずだ。

結論から言う。フレックスタイム制でも残業代はゼロにならない。

むしろ「フレックスだから」を理由に残業代を払わない会社のほうが、法律を誤解している。この記事では、フレックスタイム制の仕組みと、あなたが本来持っている権利を正確に整理する。

読み進めれば、フレックスでも残業代が発生する理由、会社が個人単位でフレックスを適用できる条件、そして「自分もフレックスを使いたい」と申請するときの押さえどころが分かる。順番に見ていこう。

フレックスタイム制とはどんな制度?

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フレックスタイム制は、毎日の始業・終業時刻を自分で決められる制度だ。「何時に来て、何時に帰るか」を自分で動かせる。ただし、好き勝手に働ける制度ではない。あくまで時間配分の自由が与えられるだけで、働いた時間そのものが消えるわけではない。ここを取り違える会社が多い。

📌 ポイント:フレックスタイム制を導入するには、就業規則への記載労使協定の締結、この2つが法律上必須です(労基法第32条の3)。口頭での「うちはフレックスです」は無効になる可能性があります。

労使協定で定めるのは、対象となる従業員の範囲、清算期間(最長3か月まで設定可)、清算期間中の合計所定労働時間、1日の標準となる労働時間、そしてコアタイム・フレキシブルタイム(設ける場合のみ)だ。さらに、清算期間が1か月を超える場合は、この協定を労働基準監督署へ届け出る必要がある。つまり、要件はけっこう細かい。だからこそ、運用が雑な会社ほどどこかが抜けている。まずは自分の会社の就業規則を開いて、フレックスの規定がきちんと書かれているか確かめてほしい。

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「自分もフレックスを使いたい」と申請できる?

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個人単位でのフレックス申請は、法律上認められている。「部署単位でしか適用できない」と言う会社もあるが、それは会社の都合にすぎない。労使協定で個人を対象者として指定すること自体、制度上まったく問題ない。「ウチのルールでは無理」は法律上の根拠にならない。

✅ やること:フレックスを希望する場合は、まず上司か人事担当者に「申請したい」と伝えましょう。口頭だけでなく、メールや書面で意思を記録に残しておくと安心です。

ただし前提が1つある。フレックスの適用には、本人が希望していることが必要だ。会社が一方的に「あなたはフレックスで」と押しつけることはできない。逆も同じで、「フレックスは嫌だ、決まった時間で働きたい」と断る権利もあなたにある。申請が却下されたら、理由を書面で出してもらおう。口頭の説明は、後で簡単に覆される。

【実践メモ】

「フレックスを申請したい」と伝えた日時・相手・内容をメモしておきましょう。却下された場合も、「なぜダメなのか」を文書で残すよう依頼することが大切です。後から「そんな話はなかった」と言われないための備えになります。

フレックスでも残業代はちゃんと出る

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フレックスタイム制であっても、会社には労働時間を管理する義務がある。昭和63年3月14日付の厚生労働省通達(基発第150号)は「フレックスタイム制においても、使用者は各労働者の労働時間を把握する義務を負う」と明示している。だから「フレックスだから時間管理しなくていい」は、ただの言い訳だ。法律はそんな逃げ道を用意していない。

⚠️ 注意:「フレックスだから残業代は出ない」と言われても、それは誤りです。清算期間中の合計労働時間が所定時間を超えた分は、残業代として支払われなければなりません。

例えば、清算期間が1か月・所定労働時間が月170時間の設定で、実際に180時間働いたとする。超過した10時間分は、れっきとした時間外労働だ。会社には割増賃金を払う義務がある。これは交渉の余地がある話ではなく、最初から決まっている。さらに、時間外労働の上限規制もフレックスタイム制に適用される。原則として月45時間・年360時間という上限は、フレックスでも変わらない。

【実践メモ】

毎日の出退勤時刻を自分でも記録しておきましょう。スマホのメモアプリや手帳で十分です。「出社:〇時〇分、退社:〇時〇分」という簡単なものでOKです。会社の記録との食い違いが生じたとき、自分の記録が有力な証拠になります。

同僚はOKで自分だけNG?不公平な運用に対抗する方法

同じ仕事をしているのに、フレックスを使える人と使えない人がいる。そんな職場は珍しくない。個人単位でフレックスを運用するなら、会社は合理的な選定基準を設けなければならない。「なんとなく」「上司の好み」では基準とは言えない。むしろ恣意的な運用は、法的に問題になりうる。

📌 ポイント:フレックスを個人に適用するなら、労使協定に合理的な選定基準が定められているはずです。基準が不透明なら、内容の開示を会社に求める権利があります。

労使協定は、労働者が閲覧を申し出ることができる書類だ。会社の机の中にしまい込んでいい性質のものではない。職場に労働組合があるなら、組合に相談するのも一手だ。一人で抱え込むより話が早い。

✅ やること:人事担当者に「フレックスの対象者選定基準を教えてください」と伝えてみましょう。回答を書面でもらえると、後の対応がしやすくなります。

よくある疑問

フレックスタイム制を「使いたくない」と断ることはできますか?
はい、できます。フレックスタイム制は本人の希望があることが前提の制度です。「規則的な生活を続けたい」「毎朝決まった時間に来たい」という理由で断っても問題はありません。ただし、就業規則の定め方によって確認が必要なケースもあるため、人事担当者に相談しておくと安心です。
清算期間が終わったあと、残業代はいつ支払われますか?
清算期間が終了した後の直近の賃金支払日に、超過分がまとめて支払われるのが原則です。「先月のフレックス超過分がいつまでも支払われない」という場合は、会社に書面で確認しましょう。それでも支払われない場合は、労働基準監督署への相談も選択肢の一つです。
フレックスタイム制と「みなし労働時間制」は同じものですか?
まったく別の制度です。みなし労働時間制は、実際の労働時間にかかわらず「〇時間働いたとみなす」制度です。フレックスタイム制は、実際の労働時間をきちんと計測・管理したうえで、始業・終業の時刻を自由にできる制度です。「フレックスだから何時間働いても給与は同じ」という運用は、法律違反にあたります。
同僚はフレックスを使えるのに自分だけ断られました。どうすればいいですか?
個人単位でフレックスを適用する場合、会社は合理的な選定基準を設ける必要があります。基準が不透明なら、会社に内容の開示を求める権利があります。労使協定の閲覧を申し出るか、職場に労働組合があれば組合に相談することも有効です。

フレックスタイム制を使うときのチェックリスト

確認項目 チェック
就業規則にフレックスタイム制の規定がある
労使協定が締結されており、内容を確認できる
清算期間と所定労働時間が明示されている
毎日の出退勤時刻を自分でも記録している
清算期間終了後に超過分が賃金に反映されている
個人選定の基準が不明な場合、会社に説明を求めた

今日からできること

まず、会社の就業規則・労使協定でフレックスの規定を確認しよう。就業規則には労基法第32条の3に基づく記載があるはずだ。なければ、そのフレックスは怪しい。

次に、今日から毎日の始業・終業時刻を自分でも記録し始めよう。会社の記録と食い違ったとき、自分の記録が有力な証拠になる。後から作るのは難しい。今日からだ。

そして、フレックスを希望する場合、あるいは今の運用に不満がある場合は、書面で意思を伝えよう。口頭ではなくメールや書面で残す。これだけで、立場がまるで変わる。


まとめ

フレックスタイム制は始業・終業を自分で決められる制度だが、導入には就業規則への記載と労使協定の締結が法律上必須だ(労基法第32条の3)。個人単位での申請・指定は法律上認められており、フレックスでも会社は労働時間の管理義務を負う(昭63.3.14基発第150号)。清算期間の超過時間には残業代が発生し、選定基準が不透明なら会社に説明を求める権利がある。要するに、「フレックスだから」で泣き寝入りする必要はない。

正しい知識を持てば、フレックスタイム制をめぐる問題は冷静に確認していける。疑問があれば就業規則・労使協定を確認したうえで、労働基準監督署や社労士に相談してほしい。

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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