会社の不正を告発したら、翌月に解雇通知が届いた。そんな理不尽な話が現実に起きています。
出典:Yahoo!ニュースによると、内部告発後に解雇や不利益な扱いを受けたという相談は後を絶たないとのことです。
結論から言います。正当な内部告発を理由とする解雇は違法です。
公益通報者保護法は、条件を満たした通報をした労働者を守るために存在します。現役社会保険労務士として、この法律の仕組みと、報復を受けたときの具体的な対処法を解説します。
公益通報者保護法で守られるための3つの条件
内部告発が法的保護を受けるには、3つの条件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると保護の範囲が狭まるため、事前に確認してください。
条件1:通報の中身が法令違反であること
「あの上司が気に入らない」「会社の方針がおかしい」では保護されません。
保護の対象になるのは、具体的な法令違反です。
- 労働基準法違反(残業代の未払い・違法な長時間労働など)
- 食品衛生法違反
- 独占禁止法違反
- 個人情報保護法違反
- その他、刑事罰の対象となる行為
条件2:通報先が適切であること
どこに通報するかによって、求められる条件が変わります。
内部通報(社内の窓口)の場合:
会社に通報窓口があれば、まずそこへ通報することが基本です。ただし、証拠隠滅のおそれがある場合はこの限りではありません。
外部通報(行政機関など)の場合:
以下のいずれかに該当する必要があります。
- 内部通報では是正されないと信じるに足りる理由がある
- 人の生命・身体に危害が及ぶ緊急性がある
- 証拠が隠滅・改ざんされるおそれがある
条件3:通報内容に真実相当性があること
嘘だと知りながら通報した場合は、保護されません。
ただし、通報した時点で「真実だと信じるに足りる合理的な理由」があれば、結果として事実と異なっていても保護対象になります。通報後に新事実が出てきた、ということまでは問われません。
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会社から報復を受けたときの対処法
適法な通報をしたにもかかわらず、会社が動いてくることがあります。これは法律違反です。冷静に、順を追って対処してください。
禁止されている報復行為
公益通報者保護法は、以下の行為を明確に禁止しています。
- 解雇
- 降格・減給
- 配置転換(嫌がらせ目的の異動)
- 業務からの排除
- 退職の強要
やられたら、証拠を残してください。それだけで対抗手段が生まれます。
報復を受けたときの4ステップ
ステップ1:証拠を保全する
解雇通知書、人事辞令、上司とのやり取りの録音など、報復行為の証拠をすぐに記録・保管します。時間が経つほど証拠は散逸します。
ステップ2:都道府県労働局へ相談する
公益通報者保護制度に関する相談窓口が各都道府県の労働局に設置されています。無料で相談できます。
ステップ3:調停を申請する
労働局を通じて調停手続きを申請することができます。第三者が間に入り、話し合いによる解決を目指します。
ステップ4:民事訴訟へ
調停で決着しない場合は、裁判所に損害賠償請求や地位確認請求を起こすことができます。弁護士への相談を検討してください。
内部告発の現実——知っておくべきこと
法的に正しい告発であっても、職場の人間関係は変わります。「問題を表面化させた人」として見られることは、残念ながら珍しくありません。
これは法的には間違った扱いです。ただ、現実として起こりうる。だからこそ、通報前に専門家への相談をすすめます。
告発は「勇気ある行動」であると同時に、法律が明確に守っている行動です。一人で抱え込まず、使える制度と相談窓口を活用してください。
よくある疑問 Q&A
- Q: 匿名での内部告発も保護されますか?
- A: 匿名通報自体は可能ですが、身元が特定されない限り報復も受けにくいため、保護法の適用場面は限定的です。ただし、匿名通報後に身元がバレて報復された場合は保護対象となります。
- Q: パート・アルバイトでも公益通報者保護法は適用されますか?
- A: はい。雇用形態に関係なく、すべての労働者が保護対象です。正社員でなくても同じ保護を受けられます。
- Q: 会社を辞めた後に通報した場合はどうなりますか?
- A: 退職後1年以内であれば保護対象となります。在職中に知った違法行為を退職後に通報することも可能です。
すぐやること 3つ
- 違法行為の証拠を記録する
メール、写真、録音など客観的な証拠を安全な場所に保管する - 通報窓口を確認する
会社の内部通報制度があるか、適切な行政機関はどこかを調べる - 専門家に相談する
労働局の相談窓口や社労士・弁護士に事前相談する
まとめ
- 正当な内部告発を理由とする解雇・不利益取扱いは、公益通報者保護法で禁止されている
- 保護を受けるには「法令違反の内容」「適切な通報先」「真実相当性」の3条件が必要
- 報復を受けた場合は、証拠保全→労働局相談→調停→訴訟の順で対処する
※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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