飲み会のセクハラは会社の責任|社労士が教える対処法

ハラスメント

元TBSアナウンサーの木村郁美さんが、飲み会での性的被害を自ら語りました。

これは芸能界だけの話ではない。あなたの職場でも起こりうる。

出典:Yahoo!ニュースによると、木村さんは飲み会で胸を触られ、泣いたところ「それくらい普通」と返されたといいます。「酒の席だから」で片づけられる話ではありません。現役の社会保険労務士として、この問題が法律上どう扱われるのか、そして被害に遭ったとき何をすればいいのかを解説します。

  • 職場がらみの性的被害は法的にどう扱われるか
  • 被害を受けたときに最初にやるべきこと
  • 会社が負っている防止義務の中身

飲み会のセクハラも、会社が責任を負う

結論から言います。

職場の人間関係の中で起きた性的言動は、男女雇用機会均等法(第11条)で会社が防ぐべきものと定められています。

なぜなら、この法律は「職場におけるセクシュアルハラスメント」を会社が放置することを許していないからです。そして、ここでいう「職場」は、オフィスの中だけを指すわけではありません。

木村さんの事例のように、飲み会や歓送迎会であっても、職場の上司や同僚が関わる場であれば「職場」に含まれると考えられています。実質的に仕事の延長と評価される場だからです。

とはいえ「飲み会は業務じゃないだろう」と思う人もいるでしょう。でも、参加が事実上強制されていたり、上司の指示で開かれた場であれば、なおさら職場の延長です。

つまり、会社には防止義務がある。「酒の席だった」は言い訳になりません。

📌 ポイント:職場の飲み会や歓送迎会でのセクハラも、会社が対応すべき問題です。「酒の席だから」「職場外だから」は通用しません。

セクハラには2つのタイプがある

法律上、セクハラは大きく2種類に分かれます。

対価型セクハラは、性的な要求を断ったことで降格や解雇などの不利益を受けるパターン。

環境型セクハラは、性的な言動によって職場で働き続けるのが苦痛になるパターンです。

木村さんの事例は環境型にあたります。体を触る行為は、環境型の典型例です。例えば、肩や腰に繰り返し触れる、断っても接触をやめない、といったケースも同じ枠に入ります。

「これくらいなら」と本人が我慢してしまいがちですが、線引きはあなたの感じ方が出発点です。

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被害を受けたとき、最初にやること

もし同じような目に遭ったら、順番に動いてください。あわてて相手に直接抗議する前に、やるべきことがあります。

とにかく記録を残す

最優先は証拠の記録です。

理由は単純で、時間が経つほど記憶は薄れ、相手は「そんなことしていない」と言い出すからです。日時・場所・相手・何をされたか・誰が見ていたかを、できるだけ細かくメモしてください。

余裕があれば、こうした証拠も押さえておきましょう。

  • 写真や動画(可能な範囲で)
  • 相手から届いたメッセージやSNSのやり取り
  • 医師の診断書(眠れない、出社できないなど精神的な影響がある場合)
✅ やること:被害を受けた直後に、5W1Hを詳しくメモしてください。時間が経つと記憶があいまいになります。

会社の相談窓口に伝える

記録が整ったら、会社の相談窓口に報告します。

会社には事実を調べる義務と、再発を防ぐ義務があります。

これは均等法が会社に課しているもので、「個人間のもめごと」として突き放すことは許されません。相談するときは、次の3点を意識してください。

  • できれば書面やメールで(後から証拠になります)
  • 起きたことを時系列で具体的に
  • 「相手と席を離してほしい」など、希望する対応をはっきり伝える
⚠️ 注意:会社が適切に対応しない場合は、労働局の雇用環境・均等部に相談できます。無料で利用可能です。

会社が果たすべき義務

ここからは、会社側が何をしなければならないかを見ていきます。これは経営者への忖度ではなく、あなたが「会社はサボっていないか」を見極めるための基準です。

会社には、均等法に基づくセクハラ防止措置義務が課されています。これは努力目標ではなく、しなければならない義務です。

会社に義務付けられている措置

均等法と国の指針により、会社は次のことをしなければなりません。

  1. セクハラを許さない方針を決めて、社員に周知する
  2. 相談窓口を設置する
  3. 相談があったら適切に事後対応する
  4. 相談者・行為者のプライバシーを守る

飲み会など職場の外で開かれるイベントについても、線引きとルールを示しておくことが求められます。やっていない会社は、義務を果たしていません。

📌 ポイント:「それくらい普通」という発言は、セクハラを軽視する職場文化の表れです。会社はこうした文化の改善も求められます。

管理職には、より重い責任がある

上司や管理職には、一般社員より重い責任があります。

部下が安全に働けるよう配慮する義務(安全配慮義務)を負っているからです。

飲み会の席であっても、危ない言動があれば止めるのが管理職の仕事です。見て見ぬふりをすれば、管理責任を問われることもあります。「自分はやっていないから関係ない」では済みません。

よくある疑問 Q&A

Q: 飲み会でのセクハラも会社に相談できますか?
A: はい、可能です。職場関係者が関わる場合、場所に関係なく会社に対応義務があります。
Q: 証拠がない場合はどうすればいいですか?
A: 目撃者の証言や、当日のメモでも証拠になります。完璧な証拠がなくても相談してください。
Q: 相談したことで不利益を受けませんか?
A: 相談者への報復は法的に禁止されています。もし不利益を受けた場合は、それ自体が法違反です。

すぐやること 3つ

  1. 自分の会社の相談窓口を確認する(就業規則や社内イントラネットで確認)
  2. もし被害を受けた場合は詳細な記録を残す(日時・場所・内容・目撃者)
  3. 周りで困っている人がいたら適切な相談先を教える(労働局雇用環境・均等部など)

次のステップ

パワハラの相談先・相談の進め方はこちらの記事で詳しく解説しています

パワハラ相談先はどこがベスト?社労士が教える正しい相談順序 »

まとめ

  • 飲み会でも、職場の人が関わるセクハラは均等法上の問題で、会社に防止義務がある
  • 被害を受けたら、まず記録を残し、会社の相談窓口に報告する
  • 「それくらい普通」で済ませる職場文化そのものが、変わるべき問題

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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