育休中に転籍を打診された?育児休業給付金が続く条件と止まる危険なケースを社労士が解説






育休中に転籍を打診された?育児休業給付金が続く条件と止まる危険なケース

育休中に「転籍してほしい」と打診された。そんな状況に戸惑っている方は少なくありません。「給付金はこのまま受け取れるの?」という不安、もっともです。

結論から言います。条件を満たせば、転籍後も育児休業給付金を続けて受け取れます。ただし条件を外れると、給付金が途中で止まる危険があります。

現役の社会保険労務士として、転籍時の給付金の扱いを日々確認しています。この記事では、労働者として知っておくべき注意点を整理しました。

この記事では、転籍後も給付金が継続できる条件、給付金が止まってしまう危険なケース、そして転籍前に必ず確認しておくことを順に説明します。

育休中の転籍、何が問題なのか

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育休中の転籍とは、今の会社から別の会社へと雇用契約ごと移ることです。社内異動(転勤)とは根本的に違います。雇用保険の加入先が変わるため、育児休業給付金の扱いも変わってきます。

📌 ポイント:転籍は法律上、「今の会社を退職して新しい会社に入社する」こととほぼ同じ扱いです。雇用保険の手続きも、旧会社・新会社それぞれで必要になります。

「会社が変わるだけ」と軽く考えてはいけません。給付金への影響を事前にしっかり確認することが大切です。

給付金が続くケース・止まるケース

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続けて受給できる条件

転籍後も給付金を受け取り続けるには、転籍した時点で子どもが1歳になっていないこと、および転籍前に育休を分割して取得していないこと(出生時育児休業は除く)、この両方を満たす必要があります。この2つが揃えば、転籍後も給付金を継続して受け取ることができます。

✅ やること:転籍の話が出たら、まず子どもの誕生日を確認してください。転籍予定日に子どもが1歳未満かどうか、これが最初の判断基準です。

給付金が止まる危険なケース

転籍した時点で子どもがすでに1歳を超えていた場合、注意が必要です。この場合、転籍後は給付金を受け取れなくなります。給付金は、転籍前の会社での退職日をもって支給が終わります。

⚠️ 注意:子どもが1歳を過ぎてから転籍した場合、転籍後は育児休業給付金がゼロになります。会社から「問題ない」と言われても、必ずご自身でハローワークに確認してください。

転籍後の育休は「2回目」として扱われる

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育児・介護休業法5条1項では、育休は「その事業主に申し出るもの」と定められています。転籍前と転籍後は別々の会社(事業主)であるため、転籍後の育休は「同じ子に対する2回目の取得」として扱われます。

📌 ポイント:転籍後の申請書には「過去に同一の子について育休を取得したことがあるか」という確認欄があります。ここには「あり(2回目)」と記入します。記入漏れや誤記入があると手続きが滞る場合があるため、注意してください。

2回目の取得扱いになることで、支給単位期間がリセットされます。転籍日を起点に、新たに1ヶ月区切りで計算し直しになります。一方で、「休業開始時賃金月額証明書」は1回目の申請で提出済みのため、再提出は不要です。

【実践メモ】

転籍後の会社の担当者が「手続きに慣れていない」という場合、管轄のハローワークに一緒に問い合わせるよう求めてください。転籍後の育休申請は通常の初回申請と流れが異なるため、ハローワークに直接確認するのが最も確実です。

転籍前後の手続きの流れ

転籍前の会社でやること

転籍前の会社が、管轄のハローワークへ雇用保険被保険者資格喪失届と育児休業給付金支給申請書(転籍日までの分)を提出します。あなた自身がやること:旧会社の担当者へ「給付金の手続きを転籍日前に完了させてほしい」と伝えることです。

✅ やること:転籍日が決まったら、すぐに旧会社の担当者へ「給付金の申請書類をいつ提出するか」を確認してください。手続きが遅れると給付金の支払いが一時的に止まる場合があります。

転籍後の会社でやること

転籍後の会社が、管轄のハローワークへ雇用保険被保険者資格取得届、育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書、そして労働条件通知書や育児休業申出書などを提出します。

⚠️ 注意:転籍後の労働条件が雇用保険の加入要件を満たしていないと、給付金を受け取れなくなります。週の所定労働時間が20時間未満になっていないか、労働条件通知書で必ず確認してください。

【実践メモ】

転籍後の労働条件通知書を受け取ったら、署名する前に労働時間・契約期間・賃金を確認してください。不明な点があれば、ハローワークや社会保険労務士に相談することをおすすめします。サインしてしまうと後から変更するのは難しくなります。

よくある疑問

転籍を断ることはできますか?
転籍には原則として労働者の同意が必要です。育休中であることを理由に同意を強要されたり、不利益な扱いを受けたりすることは許されません。育児・介護休業法では、育休の取得を理由とした不利益取り扱いを禁止しています。圧力を感じたら、労働局または社会保険労務士に相談してください。
転籍後に育休を1歳6ヶ月まで延長したい場合はどうなりますか?
延長を希望する場合、転籍後の会社で改めて申出と手続きが必要です。延長の要件(保育所に入れないなど)も転籍後の時点で確認されます。旧会社での申出は引き継がれませんので、早めに新会社の担当者に相談してください。
転籍ではなく出向を命じられた場合、扱いは違いますか?
出向の場合、雇用保険の被保険者資格は元の会社のままです。転籍とは手続きの流れが異なります。出向中の育休給付金の扱いは状況によって変わるため、ハローワークまたは社労士への個別確認をおすすめします。
転籍後に受け取る給付金の金額は変わりますか?
給付金の計算の基礎となる「休業開始時賃金月額」は、1回目の申請時に確定しています。転籍後もその金額が使われます。ただし、支給単位期間は転籍後にリセットされ、転籍日から1ヶ月区切りに変わります。

チェックリスト

確認項目 チェック
転籍予定日の時点で子どもが1歳未満かどうか確認した
転籍前に育休の分割取得(出生時育休を除く)がないか確認した
旧会社に給付金手続きを転籍日前に完了させるよう依頼した
転籍後の労働条件通知書で週の所定労働時間を確認した
新会社に育休の継続申出を行った
転籍後の申請書が「2回目の育休取得」扱いになることを把握した
不安な点はハローワークまたは専門家に確認した

今日からできること

まず、子どもの誕生日を確認し、転籍予定日に1歳未満かどうかを確かめてください。

次に、旧会社の担当者に「転籍日までに給付金の手続きを完了させてほしい」と伝えましょう。

そして、転籍後の労働条件通知書を入手し、雇用保険の加入要件を満たすか確認してください。

まとめ

育休中の転籍でも、転籍時点で子が1歳未満かつ分割取得なしの条件を満たせば育児休業給付金を継続受給できます。転籍時に子がすでに1歳を超えている場合は転籍後に給付金がゼロになります。転籍後の育休は育介法5条1項に基づき「2回目の取得」として扱われ、支給単位期間がリセットされます。旧会社・新会社それぞれでハローワーク手続きが必要であり、転籍後の労働条件が雇用保険の加入要件を満たすか確認が必要です。転籍への同意は慎重に行いましょう。

正しい知識を持つことで、転籍による育児休業給付金への影響を事前に確認し、必要な手続きを適切に進めることができます。疑問が生じたらハローワークや社会保険労務士に相談してください。

※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。


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