2025年夏のボーナス速報。国家公務員の平均は約70万6,700円。民間会社員の平均は約42万6,337円。その差は実に約28万円です。(出典:Yahoo!ニュース)
「うちの会社、今年もボーナスが少ない…」「そもそもボーナスって払わないといけないの?」
この疑問に、社会保険労務士の立場からお答えします。
- 公務員と会社員でボーナス格差が生じる仕組み
- 賞与は法律上の義務かどうか
- 減額・不支給が違法になるケース
なぜ公務員と会社員でボーナスが28万円も違うのか
公務員のボーナスは「期末手当・勤勉手当」と呼ばれます。人事院が毎年、民間企業の支給実態を調査します。その結果をもとに金額が決まります。
理屈では「民間並み」になるはずです。ではなぜ格差が生じるのでしょうか。
民間企業の調査対象には、5人以上の小規模企業も含まれます。ボーナスが少ない・ゼロの企業が、平均を押し下げます。
大企業だけで比べると格差は縮まります。自分の会社の規模を意識することが大切です。
賞与(ボーナス)は法律上の義務なのか
結論から言います。賞与の支払いは、法律上の義務ではありません。
労働基準法に「ボーナスを払え」という条文はありません。賞与は会社が任意で支給するものだからです。
ただし、例外があります。就業規則や雇用契約書に「賞与を支給する」と明記されている場合です。その場合は、支給義務が発生します。
会社が一方的に「今年はゼロ」とすることは、原則できません。
ボーナス減額・不支給が違法になるケース
ケース1:就業規則に支給規定があるのに払われない
「年2回賞与を支給する」と就業規則に書いてある。なのに突然ゼロになった。
これは労働条件の不利益変更にあたります。つまり、一方的な変更は原則できません。
就業規則を変更するには条件があります。合理的な理由と、労働者への説明が必要です(労働契約法10条)。
ケース2:育休・産休を理由に大幅に減額される
育児休業・産前産後休業中にボーナスが大幅に削られた。これは問題です。
育児・介護休業法は、育休取得を理由とした不利益取扱いを禁止しています。
休業中の不就労分を比例減額することは、許容される場合があります。ただし、「育休を取ったから全額カット」のような扱いは違法になりえます。
ケース3:同じ仕事なのにパートだけボーナスゼロ
パートタイム・有期雇用労働法(2020年施行)があります。不合理な待遇格差は禁止されています。
正社員と同じ仕事をしているのに、パートだけボーナスがゼロ。これが合理的かどうかが争点になります。
最高裁(大阪医科薬科大学事件・2020年10月)は判断を示しました。有期雇用への賞与不支給が直ちに違法とはならないとしています。ただし、個々の状況によって判断は変わります。
「同じ仕事なのに差がある」と感じたら、会社に説明を求める権利があります。
よくある疑問 Q&A
- Q: ボーナスカットを突然言われました。拒否できますか?
- 就業規則に支給規定がある場合、一方的なカットは原則できません。まず就業規則と雇用契約書を確認してください。「業績による」という留保がある場合は、会社に業績悪化の根拠を確認する権利があります。
- Q: 産休中にボーナスが大幅に減額されました。違法ですか?
- 休業中の不就労分を比例減額することは、許容される場合があります。ただし、産休・育休取得を「理由」とした不利益な扱いは禁止されています。状況の詳細は、社労士や労働局に相談することをおすすめします。
- Q: 「支給日在籍者のみ支払う」という規定は有効ですか?
- 「支給日在籍要件」は原則として有効とされています。退職するタイミングには注意が必要です。転職・退職を検討している方は、ボーナス支給日を確認してから動くことが賢明です。
すぐやること 3 つ
- 就業規則のボーナス規定を確認する。「支給する」と明記されているか、「業績による」という留保があるかをチェックする。
- 過去の給与明細を保管する。ボーナスの減額・不支給トラブルが起きたとき、証拠として役立てる。
- 不合理な扱いを感じたら記録する。業務内容の違い・扱いの差をメモする。必要なら社労士や労働局に相談する。
まとめ
- 公務員と会社員のボーナス格差は約28万円(2025年夏)。調査対象の違いが格差を生んでいる。
- 民間企業のボーナスは法律上の義務ではない。ただし就業規則に支給規定があれば払う義務が生じる。
- 育休取得を理由とした大幅な減額・有期雇用の不合理な格差は違法になりうる。まず就業規則の確認が第一歩。
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