退職後の保険料、任意継続vs国保どっちが得?

社会保険・給付金

「退職したら国保に扶養がない」——そのことを知らずに困惑する声が広がっています。

出典:Yahoo!ニュースによると、退職後に国民健康保険へ切り替えた際、会社員時代は扶養に入れていた配偶者の分まで保険料がかかると知って困惑するケースが相次いでいます。

結論から言います。退職後の健康保険には「任意継続」と「国保」の2択があり、どちらが安いかは世帯収入によって変わります。

現役社会保険労務士として、選び方のポイントを整理します。

国保に「扶養」がないのはなぜか

会社員のときは、配偶者を「被扶養者」として健康保険に入れられました。

しかし国民健康保険に扶養の概念はありません。家族全員が個別に被保険者となり、それぞれに保険料がかかります。

これは制度の仕組みの違いです。会社の健康保険(健康保険組合・協会けんぽ)は、扶養家族を追加しても保険料が変わらない設計になっています。一方、国保は加入者の人数と所得に応じて保険料が計算されます。

📌 ポイント:国保の保険料は「均等割(加入人数)」「所得割(前年所得)」「平等割(世帯数)」の合計で決まります。夫婦2人なら均等割が2人分かかるため、単純に2倍近くなるケースもあります。

任意継続とはどんな制度か

退職後も、最長2年間は在職中の健康保険に加入し続けられます。これが「任意継続」です。

保険料は「退職時の標準報酬月額」か「加入する保険の平均標準報酬月額」のいずれか低い方をもとに計算されます。会社が折半していた分も自己負担になるため、在職中の約2倍になるのが目安です。

一方で、扶養家族はそのまま扶養に入れられます。配偶者がいる場合は保険料が増えないのが大きなメリットです。

⚠️ 注意:任意継続の加入申請は、退職日の翌日から20日以内が期限です。この期限を過ぎると、任意継続は選べなくなります。退職が決まったら早めに動いてください。

どちらが安い?比較のポイント

どちらが得かは、「退職前の給与水準」と「世帯の人数」で大きく変わります。

任意継続が有利になるケース

  • 配偶者や子どもを扶養に入れたい
  • 在職中の給与が低く、任意継続の保険料上限(標準報酬月額30万円)を下回っていた
  • 退職後の収入が前年より大幅に減る見込みがある(ただし翌年の国保料に反映されるのは翌年6月以降)

国保が有利になるケース

  • 前年の所得が低かった(低所得者向けの軽減制度が適用される)
  • 扶養に入れる家族がいない(単身の場合)
  • 自治体によっては国保料の上限額が低い場合がある
✅ やること:退職前に、①任意継続の保険料(会社の人事・健保組合に確認)と②国保の試算額(お住まいの市区町村の窓口またはWebシミュレーター)を両方出し、比較してから選んでください。

よくある疑問 Q&A

Q: 任意継続から国保に途中で切り替えることはできますか?
A: 2022年1月の法改正で、任意継続被保険者の任意脱退が認められるようになりました。保険者(健保組合・協会けんぽ)に申し出れば、翌月1日付で資格喪失できます。翌年の国保料が大幅に下がる場合は切り替えを検討する価値があります。
Q: 退職後すぐ国保に加入しないとどうなりますか?
A: 日本は国民皆保険制度のため、いずれかの保険に加入する義務があります。空白期間があっても国保は遡って加入・保険料徴収となります。放置せず早めに手続きしてください。
Q: 配偶者がパート収入がある場合、任意継続の扶養に入れますか?
A: 扶養に入るには年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)などの要件があります。パート収入が基準を超える場合は扶養に入れないため、それぞれ個別に国保加入となる可能性があります。

すぐやること

  1. 退職日が決まったら20日以内ルールを意識する:任意継続を選ぶ場合、退職翌日から20日以内に申請が必要です。退職日が決まり次第、会社の人事担当に任意継続の保険料を確認してください。
  2. 市区町村の窓口またはWebで国保料を試算する:前年の源泉徴収票を用意して、お住まいの自治体の国保料シミュレーターで金額を出します。多くの自治体がオンラインで試算できます。
  3. 2つの金額を並べて比較してから手続きする:どちらが安いかを確認してから動く。焦って国保に切り替えたあと、任意継続の方が安かったと気づいても遡れません。

次のステップ

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まとめ

  • 国保に扶養制度はなく、家族全員分の保険料がかかる
  • 任意継続は扶養を継続でき、配偶者がいる家庭では有利になりやすい
  • 退職後20日以内に任意継続の申請が必要。期限厳守で両者を比較してから選ぶ

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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