2026年春卒業予定の大学生の就職率が98.0%。過去最高水準だ。出典:Yahoo!ニュース
結論から言う。高い就職率は喜ばしい。だが同時に、ブラック企業に入ってしまうリスクも上がっている。
数字の明るさだけ見て安心してはいけない。社労士として、このニュースの裏側で労働者に何が起きるかを書く。就活生本人と、その家族に読んでほしい。
98.0%という数字の正体
なぜここまで就職率が上がったのか。理由ははっきりしている。企業の人手不足だ。多くの業界で働き手が足りていない。だから企業は採用のハードルを下げてでも人を集めようとする。
学生からすれば「就職しやすい」状況。それは事実だ。
ただ、ここに落とし穴がある。人手不足の企業の中には、労働環境が劣悪なブラック企業も混ざっているからだ。門が広いということは、ふだんなら人が寄りつかない会社にも入りやすいということでもある。
「なぜ人が足りないのか」を見抜く
企業の人手不足には、性質の違う2種類がある。
1つは、事業拡大による健全な人手不足。業績が伸び、新規事業や市場拡大で人が必要になっているケースだ。こういう会社なら、入る価値がある。
もう1つは、離職率の高さからくる慢性的な人手不足。労働条件が悪く、入っては辞め、入っては辞めを繰り返している会社だ。穴の空いたバケツに水を注ぎ続けているようなもので、いつまでも求人が止まらない。
後者に入ってしまうと、辞めていった人たちと同じ過酷な環境で働くことになる。
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ブラック企業の見分け方
就活では、次のポイントを確認してほしい。難しいことではない。見るべき場所を知っているかどうか、それだけだ。
求人情報でチェックする項目
最初に見るのは求人票の労働条件だ。書いてあることより、書いていないことに注目する。条件が曖昧にぼかされている企業は要注意。
具体的に確認したいのはこの4点。
- 基本給と諸手当の内訳が明確か
- 残業時間の上限が記載されているか
- 有給取得率が公開されているか
- 離職率のデータがあるか
給与額が「月給25万円」と書いてあっても、その中に何十時間分もの固定残業代が含まれている、というのはよくある話だ。内訳を見れば、実際の基本給がいくらなのかが分かる。
面接で必ず聞く質問
面接では遠慮しないでいい。労働条件を、こちらから聞く。次の3つは口に出して質問してほしい。
- 月平均の残業時間はどれくらいですか
- 有給休暇の取得率を教えてください
- 新卒の3年後定着率はいかがですか
この質問を嫌がる、はぐらかす、不機嫌になる。そういう企業は労働環境に問題を抱えている可能性が高い。
答えにくそうにする、数字を出さずに精神論で返してくる。それも一つのサインだと思っていい。
入社前に押さえる法的ポイント
内定が出たら終わり、ではない。入社前に労働条件通知書を必ず確認する。2024年4月から、企業には次の事項を明示する義務がある。
明示が必要な労働条件
- 就業場所(将来の変更範囲も含む)
- 従事する業務の内容(将来の変更範囲も含む)
- 労働時間・休憩・休日に関する事項
- 賃金の決定・計算・支払方法
これらが示されていないなら、法律違反の疑いがある。
「就業場所」「業務の変更範囲」まで明示が義務化されたのは大きい。入社後に遠方への配置転換や、聞いていなかった業務を命じられる。そういうトラブルを防ぐためのルールだからだ。
記載が曖昧なら、入社前に必ず確認する。後から「そんな話は聞いていない」と言っても、書面がなければ労働者側が不利になりやすい。口約束は証拠にならない。
よくある疑問 Q&A
- Q: 就職率が高いなら、条件にこだわらずとりあえず就職した方がいいですか?
- A: その考えは危険だ。ブラック企業で心身を壊せば、その後の転職もずっと難しくなる。最初の就職先こそ慎重に選んでほしい。
- Q: 面接で労働条件について質問すると、採用に不利になりませんか?
- A: 労働条件を聞くのは当然のことだ。むしろそれを嫌がる企業のほうを警戒したほうがいい。聞いて態度が変わる会社は、入ってからも何かを隠す。
- Q: 内定をもらった企業がブラック企業かもしれません。どうすればいいですか?
- A: 入社前なら内定辞退はできる。まず労働条件通知書をよく読み、不明点は企業に質問する。納得できないなら、辞退も立派な選択肢だ。
すぐやること 3つ
- 求人票の労働条件欄を詳細にチェックする – 曖昧な表現がないか確認
- 企業の離職率・有給取得率を調べる – 企業のホームページや四季報で確認
- 面接で労働条件について質問する準備をする – 遠慮せず聞くべき項目をリストアップ
まとめ
- 98.0%という高い就職率は人手不足が要因。だが裏でブラック企業への就職リスクも上がっている
- 求人票の労働条件を細かく確認し、面接では遠慮せず質問する。嫌がる企業は警戒する
- 入社前の労働条件通知書の確認は必須。曖昧な点は必ず質問してから決める
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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