ダブル台風で出社強制?休業手当と権利を社労士が解説

テレワーク

2026年6月、台風7号と台風8号が同時に日本へ接近しています(出典:Yahoo!ニュース)。

台風7号は6月26〜28日ごろ沖縄・九州方面へ。台風8号「ヒーゴス」は6月27日ごろ関東・伊豆諸島方面へ。

日本全土に同時に影響が及ぶ、ダブル台風の事態です。

こんな状況でも、会社は「普通に出社しろ」と言ってくる。

あなたには断る権利があるのか。休業手当はもらえるのか。

現役社労士として、法律に基づいて正直に解説します。

  • 台風時の出社義務の法的な基準
  • 会社都合の休業で受け取れる休業手当
  • 在宅勤務を求める権利と賃金の扱い

台風でも出社命令は有効なのか

結論から言います。電車が動いていれば、出社命令は法的に有効です。

台風が来ても、警報が出ても、それだけでは出社命令を拒否できません。

ただし、会社には重要な義務があります。

📌 ポイント:労働契約法第5条は「会社は従業員に安全配慮義務を負う」と定めています。出勤を命じた結果、通勤中に事故が起きれば、会社は義務違反を問われます。

出社させてはいけない2つの状況

以下の状況では、出社命令は実質的に機能しません。

  1. 警戒レベル5(緊急安全確保)が発令されたとき
  2. 交通機関が計画運休して移動手段がないとき

この2つが判断の境界線です。

電車が止まったら、スクリーンショットで記録してください。

⚠️ 注意:警戒レベル4(避難指示)が出ていても、電車が動いていれば「出社できない」とは法律上いえません。レベル5か交通機関の停止が、判断の境界線です。

休業手当をもらえるケース・もらえないケース

ここが労働者にとって最も重要なポイントです。

📌 ポイント:労働基準法第26条。会社都合で休業させた場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません。違反した会社には30万円以下の罰金が科されます。

カギは「会社都合か、不可抗力か」の区別です。

厚労省の行政通達(昭和23年基収119号)は、不可抗力の2要件を示しています。

  1. 外部から発生した事故であること
  2. 会社が最大の注意を尽くしても防げなかったこと

この2つを両方満たして初めて「不可抗力」です。

どちらか一つでも欠けると、会社都合の休業になります。

状況 判定 手当の有無
計画運休で物理的に出社不可 不可抗力 なし(無給でも合法)
電車が動いているのに会社が一律休業 会社都合 60%以上の手当が必要
事業所が被災・停電で操業不能 不可抗力 なし(無給でも合法)
台風が逸れたのに会社が休業命令 会社都合 100%請求の可能性も

【実践メモ】

会社が「無給で休め」と言ってきたら、まず「これは会社都合の休業ですか?」と確認してください。会社都合であれば休業手当を請求できます。やり取りはメールやチャットに残しましょう。口頭だけでは後から否定されます。

在宅勤務は「労働」。給料は全額出る

台風時に最もスマートな方法は、在宅勤務への切り替えです。

在宅勤務は「休業」ではありません。「労働」です。

通常の賃金が全額支払われます。休業手当の問題は生じません。

✅ やること:台風が接近する前日までに「在宅勤務を希望します」とメールや社内チャットで申し出てください。口頭でなく、文書で残すことが重要です。

コロナ禍以降、テレワーク環境を整えた会社は増えています。

台風時のリモート対応は、今や現実的な選択肢です。

会社が「テレワーク設備がない」と言う場合は、別の話になります。

ただし、設備があるのに「出社しろ」は、交渉の余地があります。

よくある疑問 Q&A

Q: 自己判断で休んだら欠勤になりますか?
A: 電車が動いていて会社が出勤命令を出している場合は、原則として欠勤扱いです。ただし、交通機関が実際に止まった証明があれば、特別休暇として認める会社も増えています。「電車が止まったスクリーンショット」を必ず保存しておきましょう。
Q: 「有給休暇を使って休め」と言われた。断れますか?
A: 断れます。会社が一方的に「有給を使え」と命じることは違法です。有給休暇は労働者自身が申請するものです(労働基準法第39条)。ただし、自分から「有給を取りたい」と申請した場合は問題ありません。
Q: アルバイトでも休業手当をもらえますか?
A: もらえます。労働基準法第26条は雇用形態を問いません。パート・アルバイト・派遣社員も対象です。会社都合の休業なら、平均賃金の60%以上を受け取る権利があります。

すぐやること 3 つ

  1. 交通機関の計画運休情報を確認し、スクリーンショットで保存する
  2. 「在宅勤務を希望します」とメールや社内チャットで文書化して申し出る
  3. 会社が無給で一方的に休業させた場合は、労働基準監督署へ相談する

まとめ

  • 電車が動いていれば出社命令は有効だが、安全配慮義務は会社にある(労働契約法第5条)
  • 会社都合で休業させた場合は平均賃金の60%以上の休業手当が必要(労働基準法第26条)
  • 在宅勤務は「労働」なので賃金は全額支払われる。台風時の最善策はリモートへの切り替えを申し出ること

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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