フキハラは違法?警視正処分から社労士が解説

ハラスメント

上司が不機嫌な態度をとり続け、職場全体が萎縮してしまう。そんな「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」で、警視庁のエリート幹部が処分されたことが話題になっています。

出典:Yahoo!ニュースによると、警視正が部下に対して不機嫌な態度を繰り返し、職場環境を悪化させたとして処分を受けた、と報道されています。

「フキハラは法律違反になるのか」「被害を受けたらどうすればいいのか」——社労士の立場から、ポイントを整理します。

フキハラは違法なのか?法律の立ち位置を整理する

結論から言います。フキハラは、それ単体で「違法」と断定できる規定は現時点でありません。

ただし、「違法ではない」とも言い切れません。ここが大事なポイントです。

📌 ポイント:2022年4月から、全企業にパワーハラスメント防止措置が義務づけられています(労働施策総合推進法)。フキハラがパワハラの要件を満たす場合、会社は対応義務を負います。

パワハラの定義は3つの要件を満たす必要があります。

  1. 優越的な関係を背景とした言動
  2. 業務上の必要性・相当性を超えている
  3. 労働者の就業環境が害されている

上司が無言で資料を叩きつける。返事をしない。ため息を繰り返す。これらが続いて、「怖くて仕事の相談ができない」「気分を伺いながら業務している」という状態になれば、3つ目の要件を満たす可能性があります。

ただし、1回や2回の不機嫌がすぐパワハラになるわけではありません。「継続性・反復性」と「業務への支障」がポイントになります。

⚠️ 注意:上司が機嫌が悪い日があること自体は、残念ながら職場でゼロにはできません。問題になるのは「繰り返す」「職場全体に萎縮をもたらす」「業務に影響が出る」レベルに達したときです。

被害を受けたら——証拠の残し方と相談先

「フキハラかもしれない」と感じたとき、まず動いてほしいことがあります。

記録をつける

日時・場所・発言内容・周囲にいた人を記録してください。

メモ帳でも、スマートフォンのメモアプリでも構いません。「〇月〇日 13時、会議室で書類を床に投げられた。同席者は〇〇さん」のように具体的に残します。

「不機嫌な態度」は証拠化しにくいハラスメントです。だからこそ記録の積み重ねが力を持ちます。

録音は「可能であれば」検討する

会話の録音は、自分が当事者として参加している場合、一般的に違法にはなりません。ただし、会社のルールや状況によっては問題になることもあります。可能な範囲で、慎重に判断してください。

相談先を知っておく

一人で抱え込まないことが大切です。相談できる窓口はいくつかあります。

  • 会社の相談窓口・人事部門:まず内部で相談する選択肢
  • 総合労働相談コーナー:各都道府県の労働局に設置。無料・予約不要
  • みんなの人権110番(法務局):電話相談(0570-003-110)
  • 社会保険労務士・弁護士への相談:法的対応を検討するとき
✅ やること:「これはおかしい」と感じた日から記録を始めてください。後から「あのとき書いておけばよかった」と後悔するケースは多いです。

よくある疑問 Q&A

Q: 上司がため息ばかりついている。これもフキハラになりますか?
A: ため息1回でフキハラとは言えません。ただし、特定の部下に向けて繰り返し行われ、その部下が萎縮して業務に支障が出ているなら、パワハラの要件を検討できる状況になります。まずは記録をつけることが先決です。
Q: 上司ではなく同僚の不機嫌な態度でも問題になりますか?
A: パワハラの定義には「優越的な関係」が必要です。同僚間の場合、この要件を満たすかどうかは状況によります。ただし、会社はすべての従業員に対して職場環境配慮義務を負っています。同僚間でも深刻な場合は会社に相談する価値があります。
Q: 会社に相談したら逆に不利になりませんか?
A: 相談したことを理由に不利益な扱い(降格・異動・嫌がらせ等)をすることは、法律上禁止されています。ただし、心配な場合は社外の相談窓口(労働局など)に先に相談するのも選択肢です。

すぐやること

  1. 今日から記録をつける:日時・場所・内容・同席者をメモに残す
  2. 相談窓口を調べておく:最寄りの総合労働相談コーナーの場所を確認する
  3. 信頼できる同僚に状況を話しておく:後から証人になってもらえる可能性がある

まとめ

  • フキハラ単体を直接罰する法律はないが、パワハラの要件を満たせば違法となりうる
  • 継続性・業務への支障・職場環境の悪化がキーポイント
  • 証拠は「日時・場所・内容・同席者」を記録するところから始める

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

Photo by Vitaly Gariev on Unsplash

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