つながらない権利とは?2026年改正を社労士が解説

労働時間

「仕事が終わったのに、上司からLINEが来る。」
「休日なのに、メールへの返信を求められる。」
こんな経験、あなたにもありませんか?

2026年の労働基準法改正について、正社員の半数以上が「知らない」という調査結果が出ました。
さらに、約4割が勤務時間外に業務連絡を受けた経験があるとも報告されています。

出典:PR TIMES

この現実を受けて、いま「つながらない権利」の議論が進んでいます。
社会保険労務士の立場から、労働者が知っておくべきことを整理します。

「つながらない権利」とは何か

「つながらない権利」とは、勤務時間外に仕事の連絡を受けたり、対応したりしない権利のことです。
フランスでは2017年に法制化されました。
日本でもEU型の導入を求める声が高まっています。

2026年の労働基準法改正の議論では、この「つながらない権利」をどう扱うかが論点の一つになっています。
ただし、現時点で「つながらない権利」を明示的に定めた日本の法律はまだ存在しません。

⚠️ 注意:「議論が進んでいる」と「法律になった」は別です。現状では権利として明文化されていません。会社のルール次第というのが実態です。

では、現行法ではどう考えるのでしょうか。
ここが、多くの労働者が見落としているポイントです。

勤務時間外の連絡は「労働時間」になるのか

結論から言います。状況によっては、「労働時間」に該当する可能性があります。

労働基準法上の「労働時間」とは、使用者(会社)の指揮命令下に置かれている時間のことです。
時間外であっても、会社の命令に従わなければならない状態なら、労働時間とみなされる場合があります。

📌 ポイント:「指揮命令下に置かれている」かどうかが判断の分かれ目です。上司からのLINEに「返信しなければならない雰囲気」がある場合、それは指揮命令と評価される可能性があります。

ただし、すべての時間外連絡が労働時間になるわけではありません。
「読んだだけで対応は翌営業日でよい」という状況なら、労働時間と認定されにくいです。

判断のポイントは次の3つです。

  • 返信・対応を義務付けられているか
  • 返信しないことで不利益(注意・評価への影響)があるか
  • 会社が明示的・黙示的に対応を求めているか

これらが重なるほど、労働時間として認定される可能性が高くなります。

会社側の事情と、労働者がとれる現実的な対応

会社側にも言い分はあります。
緊急トラブルへの対応、グローバル対応、顧客への迅速な返答——こうした業務上の必要性を完全に否定することは難しいのも事実です。

一方で、「緊急でもないのに休日に連絡が来る」のは別の話です。
会社の都合だけで労働者の時間を際限なく使うことは、許されるべきではありません。

では、いま労働者にできることは何でしょうか。

✅ やること:時間外に業務連絡への対応をした記録を残してください。日時・内容・対応にかかった時間をメモしておくだけで、後から「労働時間」として請求できる根拠になります。

また、会社に「時間外連絡のルール」がないなら、労使で話し合うことを求めることができます。
労働組合がない職場でも、個人として意見を伝えることは権利の範囲内です。

よくある疑問 Q&A

Q: 休日に上司のLINEを「既読」にしてしまった。これは労働時間になる?
A: 既読にしただけでは、原則として労働時間にはなりません。問題は「対応を求められ、実際に業務をしたか」です。読んで終わりなら、労働時間と認定されるケースは少ないでしょう。
Q: 会社から「緊急対応として時間外連絡に出るよう」言われている。これは適法?
A: 適法かどうかは、就業規則の定めと実態次第です。対応した時間が「労働時間」として賃金に反映されているなら問題は小さい。ただし、無給で対応を強いているなら未払い残業が発生している可能性があります。
Q: 「つながらない権利」は今すぐ使える?
A: 現時点では、法律上の明文規定はありません。ただし、会社のルールや労使協定で定めることは可能です。まず自社の就業規則を確認してみてください。

すぐやること

  1. 時間外対応の記録を始める——日時・内容・対応時間をメモアプリなどに残す
  2. 自社の就業規則を確認する——時間外連絡に関するルールが定められているか確認する
  3. 未払いが疑われる場合は相談する——社労士・労働基準監督署・総合労働相談コーナーへ

まとめ

  • 「つながらない権利」は議論中であり、現時点では日本で法制化されていない
  • 勤務時間外でも、会社の指揮命令下で対応した時間は「労働時間」になる可能性がある
  • 時間外対応の記録を残すことが、自分を守る第一歩になる

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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

Photo by Mahavir Shah on Unsplash

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