夜中にスマホで検索している。「退職代行 後悔」。辞めたい。でも失敗したくない。
結論から言う。退職代行には確かにデメリットがある。ただし、業者を正しく選べば大半は回避できる。
この記事で分かること:
- 退職代行の本当のデメリット3つ
- 「ブラックリスト」など噂の真偽
- デメリットを最小化する業者の選び方
退職代行のデメリットは3つだ
「退職代行のデメリット」として挙げられる情報は多い。ただし実質的なものは3つに絞られる。
①費用がかかる。民間業者は2〜5万円が相場だ。労働組合型は2〜3万円、弁護士型は5〜10万円程度になる。
ただし比較対象を間違えないでほしい。有給残が10日あれば、日給2万円の人で20万円になる。サービス代が有給消化で回収できるケースは珍しくない。
②交渉できる範囲が業者によって全然違う。これが最大のデメリットだ。次の見出しで詳しく説明する。
③業者の質にばらつきがある。2019年以降、退職代行業者は急増した。現在100社を超えるとされる。対応が雑な業者、途中で連絡が取れなくなる業者も存在する。
【実践メモ】まず「有給残日数×日給」を計算してほしい。サービス代と有給消化収入を比較してから判断する。それだけで「高い・安い」の見え方が変わる。
PR
退職でお悩みなら、弁護士に任せるという選択肢
弁護士法人みやびの退職代行サービス。有給消化・未払い賃金の請求交渉も弁護士が対応するので安心です。
民間業者に「交渉」させると法律違反になる
退職代行業者には3種類ある。民間業者、労働組合型、弁護士型だ。
民間業者は「退職の意思を会社に伝える」だけしかできない。有給消化の交渉、退職日の調整——これらを行うと弁護士法72条違反になる。「非弁行為」という違法行為だ。
弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得て法律事務を行うことを禁じている。退職条件の交渉は「法律事務」に該当する。民間業者には手が出せない範囲だ。
「有給消化もお任せ」と謳う民間業者には注意が要る。「伝える」なら合法。「交渉する」は違法だ。このラインを超えた業者も実在する。
労働組合型は団体交渉権(労働組合法6条・7条)を持つ。有給消化や退職条件の交渉が可能だ。弁護士型はさらに広く、未払い賃金の請求訴訟まで対応できる。
【実践メモ】有給残日数がある人、未払い残業代がある人は、労組型か弁護士型を選ぶ。退職の意思を伝えるだけなら、民間業者で費用を抑えられる。
よく言われる「デメリット」の真偽を仕分ける
ネットで流通する退職代行のデメリット情報には、根拠のないものが混ざっている。3つ仕分けする。
「ブラックリストに載る」→嘘だ。日本には退職方法を記録・共有する公的なブラックリストは存在しない。信用情報機関(CIC・JICC)は金融取引の情報しか扱わない。退職代行を使ったという情報が転職先に伝わるルートはない。
「即日退職できない」→2週間後が原則だが、有給で対応できる。民法627条1項は、無期雇用の解約申し入れから2週間で雇用が終了すると定めている。ただし有給休暇を組み合わせれば、実質的な「即日出社停止」が可能だ。
有給残が2週間分(10営業日)あれば、申し入れ翌日から有給消化して2週間後に退職できる。欠勤になる場合もあるが、損害賠償請求まで発展するケースは実務上ほぼない。損害の立証が困難なためだ。
「就業規則に1ヶ月前申し出とある」→民法627条が優先する。就業規則で法定より不利な条件を一方的に押しつけることはできない。1ヶ月前申し出が書いてあっても、2週間前の申し入れで退職できる。
【実践メモ】有給残日数が10日以上あれば、申し入れ翌日から有給消化で実質出社停止が取りやすい。まず給与明細か勤怠システムで有給残日数を確認する。
デメリットを最小化する業者の選び方
3つだけ確認する。
① 交渉が必要かどうかで業者の種類を決める。有給消化・退職日の調整・未払い賃金の回収が必要なら、労組型か弁護士型を選ぶ。退職の意思を伝えるだけなら、民間業者でコストを抑えられる。
② 料金体系が明示されているか確認する。追加料金が後から発生する業者がある。「一律◯万円(追加費用なし)」と明記している業者を選ぶ。
③ 運営歴と口コミを確認する。設立から3年以上、口コミが一定数ある業者が安全圏だ。問い合わせ時の返答速度と内容も、業者の実力を測る指標になる。
【実践メモ】決める前にLINEか電話で問い合わせてみる。1〜2時間以内に丁寧な返答が来るかどうか。それが業者選びの最短判断基準だ。
よくある質問
Q. 転職先に退職代行を使ったことはバレる?
バレない。源泉徴収票・雇用保険被保険者証には退職方法は記載されない。前職への在籍確認が行われる場合もあるが、退職方法まで回答する法的義務は前職の会社にない。
Q. 有給を消化させてもらえないと言われたら?
会社は原則として有給取得を拒否できない(労働基準法39条)。退職時には時季変更権を行使する「別の時季」がないため、事実上拒否できない。有給消化は法的に認められた権利だ。
Q. 退職後に損害賠償請求が来る?
実際に請求されるケースはほぼない。損害賠償には「実際の損害」「退職との因果関係」の立証が必要で、ハードルが極めて高い。引き継ぎを全く行わなかった場合は注意が要る。
Q. 有期契約(契約社員・アルバイト)でも退職代行を使える?
使えるが注意点がある。有期雇用は原則として契約期間中の途中退職が制限される(民法628条)。ただし1年を超えて勤務していれば退職できる(労働基準法137条)。
すぐやること3つ
- 雇用形態と勤続年数を確認する。正社員(無期雇用)か有期契約かで選択肢が変わる。有期の場合は勤続1年を超えているか確認する。
- 有給残日数を確認する。給与明細か勤怠システムで確認できる。残日数が多いほど、実質即日出社停止が取りやすい。
- 業者の種類を自分のニーズで決める。交渉が必要か否か、費用はどこまで出せるか——2点だけ明確にすれば選択肢は絞られる。
まとめ
- 退職代行の本当のデメリットは「費用」「民間業者の交渉力の限界」「業者の質」の3つだ
- 「ブラックリスト」「転職への影響」は根拠のない噂だ
- 有給消化・条件交渉が必要なら労組型か弁護士型を選ぶ
- 民法627条上は2週間後退職が原則。有給を組み合わせれば実質即日出社停止が可能だ
- 辞める権利はあなたにある。法律が保障している
次のステップ
辞め方そのもので迷ったら、退職代行の種類と選び方を社労士がまとめた記事が役に立ちます。→ 退職代行とは?3種類と選び方を社労士が解説
あわせて読みたい
※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
