「資格を取りたい。でも無収入では生活できない」と感じている方はいませんか。
勉強のための休暇を取ると、雇用保険から給付金がもらえます。
この制度を「教育訓練休暇給付金」といいます。仕組みと受給条件をわかりやすく解説します。
教育訓練休暇給付金とはどんな制度か、受給できる条件、給付金の金額と日数、対象となる休暇・教育訓練の種類、手続きの流れ、そして見落としがちな注意点を順に説明します。
教育訓練休暇給付金とはどんな制度?
教育訓練休暇給付金は、雇用保険の制度のひとつです。スキルアップのために仕事を休む場合に、生活費として支給されます。休暇中は無給になりますが、給付金がその分をある程度補ってくれます。
「自分の意志で学ぶ」ことが大前提
この制度には大切な条件があります。会社の業務命令ではなく、自分の意志で取る休暇であること。上司や会社から「取ってみれば?」と勧められてもOKです。ただし、最終的に「自分が取りたい」という意思が必要です。
受給できる条件
給付金を受け取るには、2つの条件を両方満たす必要があります。
直近2年間の雇用保険加入期間
休暇開始前の2年間を振り返り、雇用保険の被保険者期間が12か月以上必要です。賃金支払いの基礎日数が月11日以上ある月が、12か月以上あればOKです。週5日フルタイムなら、ほぼ問題なく満たせます。
通算5年以上の算定基礎期間
雇用保険の「算定基礎期間」が5年以上必要です。算定基礎期間とは、雇用保険に加入してきた通算の期間のことです。転職を経験していても大丈夫です。前の職場を辞めてから12か月以内に次の仕事についていれば、期間を合算できます。
給付金の金額と日数
給付金の金額は、休暇開始前6か月の賃金から「賃金日額」を算出し、その賃金日額をもとに1日分の給付額(給付日額)が決まります。計算の仕組みは、失業給付(基本手当)と同じ方法です。
もらえる日数は加入期間によって変わる
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 5年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
受給できる期間は、休暇開始日から1年間です。この1年の間に、上の日数分の給付を受け取れます。
どんな休暇・教育訓練が対象?
休暇の条件:連続30日以上の無給休暇
最低でも連続30日以上、無給で休む必要があります。休暇中に出勤を事前に予定することはできません。「予定はしていなかったが、結果的に出勤した」場合は問題ありません。その日だけが給付の対象外になりますが、受給資格を失うわけではありません。また、会社の就業規則や労働協約に教育訓練休暇の規定があることが前提です。
対象となる教育訓練の種類
大学・大学院・短大・専門学校などが提供する課程、雇用保険の「教育訓練給付金」の指定講座、司法修習・語学留学・海外大学院での学位取得などが対象です。身近なところでは、TOEICや簿記・ITパスポートの講座も指定講座に含まれます。
【実践メモ】
自分が受けたい講座が指定講座かどうかは、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で調べられます。キーワードや分野で検索できるので、まず受けたい講座名を入力してみましょう。
手続きの流れ(労働者がやること)
手続きは、会社とハローワークの両方で行います。
会社への申し出と合意
まず、会社に休暇取得の希望を伝えます。会社と日程を調整し、合意します。その後、「教育訓練休暇取得確認票」に記入して会社に提出します。
会社がハローワークに届け出(会社の役割)
会社が休暇開始日から10日以内に、ハローワークへ書類を提出します。この手続きは会社が行います。
ハローワークで受給資格を確定させる
ハローワークから会社経由で書類が届きます。必要事項を記入してハローワークに提出すると、受給資格が決まります。
30日ごとに日程申告を繰り返す
受給中は30日ごとに「日程申告書」をハローワークへ提出します。この申告を続けることで、給付が継続して受け取れます。
よくある疑問
- 転職経験があっても受給できますか?
- 条件を満たせば受給できます。前の職場を辞めてから12か月以内に次の仕事についていれば、雇用保険の加入期間を通算できます。合計5年以上になれば条件を満たします。
- 会社に教育訓練休暇制度がない場合はどうすればいいですか?
- まず会社に制度を導入してもらう必要があります。リスキリングへの注目が高まっている今、人事担当者に相談してみる価値はあります。
- 社会保険料はどうなりますか?
- 育児休業と異なり、社会保険料の免除制度はありません。休暇中も健康保険・厚生年金の自己負担分が発生します。給付金の受取額と照らして収支を事前に計算しておきましょう。
- 会社に「資格を取ってきて」と言われて取る休暇は対象ですか?
- 対象外です。業務命令による休暇は受給できません。あくまで「自分の意志で学ぶための休暇」が条件です。
チェックリスト
| 確認項目 | チェック |
|---|---|
| 雇用保険に加入している | □ |
| 直近2年間に被保険者期間が12か月以上ある | □ |
| 雇用保険の通算加入期間が5年以上ある | □ |
| 会社の就業規則に教育訓練休暇制度の規定がある | □ |
| 30日以上連続して休暇を取れる見込みがある | □ |
| 受けたい訓練が対象の教育訓練に該当する | □ |
| 休暇中の社会保険料の自己負担分を準備できる | □ |
今日からできること
まず、自分の雇用保険加入期間を確認しましょう。ハローワークの窓口かマイナポータルで調べられます。
次に、会社の就業規則を確認しましょう。教育訓練休暇制度の規定があるか調べてください。なければ人事に相談しましょう。
受けたい講座が対象かどうか、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで「指定講座」かどうかを調べることができます。
まとめ
教育訓練休暇給付金は、スキルアップのための休暇中に雇用保険から支給される給付金です。受給には「直近2年間で12か月以上の被保険者期間」と「通算5年以上の加入期間」が必要で、給付日数は加入期間に応じて90日・120日・150日のいずれかです。30日以上連続した無給休暇が条件で会社の就業規則への規定も必要です。育児休業と異なり社会保険料の免除はないため事前の収支計算が重要です。業務命令による休暇は対象外で、あくまで「自分の意志」での受講が条件です。
教育訓練休暇給付金を活用することで、生活費の不安を軽減しながらスキルアップのための休暇を取ることができます。まずは雇用保険の加入期間と就業規則を確認してください。
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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